はじめに

ICO(Initial Coin Offering)や仮想通貨取引所などの仮想通貨ビジネスをしたいけれども、自社だけでは「何を、どうすればいいのか?さっぱりわからない」という方が多いのではないでしょうか?

ネットにある断片的な情報をかき集めてみたものの、専門性が高そうで自力では無理だ、弁護士などの専門家に相談しよう!と考え始めている頃かと思います。

ただ、弁護士などの専門家に相談するにしても、「丸投げ」の姿勢ではなく事前準備が必要です。

他方で、ICOの専門家・コンサルタントと名乗る人の中には、経験やバックボーンが大してないにもかかわらず、「わかってる風」なフレーバーのみの輩も多いのが実情です。

そこで今回は、ICO・仮想通貨・ブロックチェーンの専門家(弁護士など)に相談をする前に、相談者の方で事前に知っておくべきことや準備しておくべきことなどについて、仮想通貨・ブロックチェーンビジネスに詳しい弁護士がわかりやすく解説していきます。

目次

1  ICO・仮想通貨に強い弁護士に相談すべき場合とは?

仮想通貨に強い弁護士

そもそもどのような場合にICO・仮想通貨に関する法律相談を弁護士に相談すべきなのでしょうか。相談内容についておおまかに分けると、

  1. 仮想通貨取引所をつくりたい
  2. ICOを合法的にすすめたい
  3. 仮想通貨を使ったサービスを始めたい

の3つの相談事項があるかと思います。

企業としては、弁護士に相談をする前に、上記のいずれを相談したいのかについて整理しておきましょう。

具体例として、ICO・仮想通貨に関する相談の一例を挙げておきます。

  • DAPPSゲームなどブロックチェーンを使ったアプリケーションを開発したい
  • bitFlyerなどのような「仮想通貨取引所」を開設したい
  • 日本国内でICO(Initial Coin Offering)をしたいが、金融庁の規制をクリアして合法的に資金調達をするにはどうすればいいか
  • ICOをしやすい国はどこなのか、海外にあるとしたら海外ICOをしたい(スイス・シンガポールなど)
  • 日本国内でICOをしていたが、突然、金融庁から「仮想通貨交換業の登録がないので違法なICO。やめないと法的措置をとる」といった怖い書面が届いた場合の金融庁対応をしてほしい
  • ICOにおける「トークンの開発」を請け負っているが、なにか守るべき法律はあるのか?仮に発行体企業がICO詐欺であったケースでは、トークン開発を受託した者は責任を負うのか?
  • ICOでアフィリエイトなどの代理店を使う場合の法的な注意点はなにか?
  • ICOプロジェクトのメンバー間でのレベニューシェアや責任の所在に関する覚書を作りたい
  • ICOにおいて発行する独自トークンが「前払式支払手段」に該当しないためのスキーム作りをしてもらいたい
  • 仮想通貨のマイニングマシンを販売する際のリーガルリスクをチェックし、マイニングにまつわる契約書を作成してほしい
  • 従来の「アプリ内コイン」や「ポイントサービス」のように仮想通貨を利用したサービスを作りたいので、そのための合法的なスキームを考えてほしい
  • 仮想通貨を使った送金サービスその他の新規事業を考えているが、その際のリーガルリスクを知りたい
  • 仮想通貨で出た儲けに関する税金の問題、確定申告が必要なのか、必要だとしてどのようにすればいいのか

以下では、ご相談の中でも最も多い、①ICO(Initial Coin Offering)の相談、②仮想通貨取引所の開設その他の「仮想通貨交換業のライセンスの取得申請」の相談を中心に、解説していきます。

2 ICO・仮想通貨の法律問題を弁護士に依頼すると何をしてくれる?

弁護士のアドバイス

それでは、実際にICO・仮想通貨の法律問題を弁護士に相談した場合、どのような対応をしてくれるのでしょうか?

この点については、当然ながら相談内容によって変わります。もっとも、基本的には、仮想通貨を取り扱ったサービスやICOを合法的に行うにはどうすればいいのかといったことやICOをスムーズに行うための助言や提案、金融庁との交渉や手続きの代行などをしてくれます。

以下でその一例をみていきましょう。

(1)要件定義をしてくれます

相談者の多くは、そもそも自分たちが何をしたいのか?がわかっていない、あるいは、ICOにまつわる法規制を誤解し、その上で違法なスキームでビジネスを組み立ててしまっているのが実情です。

そこで、ICO・仮想通貨に強い弁護士であれば、

  1. そもそも相談者が何をしたいのかを因数分解
  2. ICOではなく、エクイッティやデッド等の代替案の可能性も模索
  3. 海外取引所を作る可能性の示唆
  4. ICOなどをする場合には、検討事項をピックアップ

してくれるはずです。

これにより相談者としては、自社の目的は何なのか?その手段としてICOが適切で、ICOや仮想通貨取引所を作る上での課題を明確に認識できます。

(2)ICOその他仮想通貨ビジネスへのスキームの提案

ICOをしたいと思った場合に、まず考えなければならないのは「どのようなスキームでICOをするのか」という点です。ですが、よほど詳しい方でない限り、合法的なICOスキームは分からないかと思います。専門家のアドバイスなしに難しいICOスキームを構築するのはなかなか骨が折れる作業となるでしょう。

この点、弁護士に相談すれば、プロジェクトの内容を加味した上で適切なICOスキームを具体的に提案してもらえる可能性があります。また、ICOに限らず、仮想通貨を使った新規事業の場合でも、法的な問題点の摘示や助言・スキームの提案をうけることができます。

(3)ストラクチャリングの検討

ICO(Initial Coin Offering)を相談する場合、どこの国で・どこの居住者向けにICOを実施するのか、という「ストラクチャリング」の検討をしてくれます。

具体的には

  1. マーケットは日本か?日本に限定されないのか?
  2. 法律の規制をクリアできそうか?できないか?
  3. 税務(TAX)の問題はどうするか?

などを検討してくれます。

日本でのICOや、仮想通貨取引所を開設する場合には、改正資金決済法や金融商品取引法など、クリアするのが難しい法律規制が山のようにあります。

それだけでなく、日本国内でのICOの場合、集めた資金については、「売上」計上され、法人税が課されてしまうリスクがあります。

以上のことから、ICOや仮想通貨取引所を作る場合には、日本ではなく、ICOその他仮想通貨に関する法律規制が相対的に緩やかな国で実施することも有力な選択肢になります。仮想通貨取引所の場合には、海外で取引実績を作った後、レギュレーションが整った段階で、日本国内でのライセンスの取得を目指す、というのが現状ではむしろ現実的です。

こういった視点をもってアドバイスをくれるか?という点が、仮想通貨に強い弁護士か否かを見極める一つのファクターともいえます。

※なお、世界でのICO規制の詳細を知りたい場合には、「ICOにおける日本・中国・アメリカ各国の法律規制を弁護士が解説!」をご覧ください。

(4)ホワイトペーパーのレビュー

ICOを行う上で欠かせないのが「ホワイトペーパー」です。「ホワイトペーパー」とは、自分たちのICOに関する情報をまとめたもので、いわゆる「事業計画書」です。より多くの投資家からお金を集めるため、ほとんどのICO企業はこの「ホワイトペーパー」を用意して、自分たちのプロジェクトの内容や魅力を伝えます。他方で、投資家は、ホワイトペーパーの内容から「このICOに参加するかどうか」を判断することになります。

そのため、ホワイトペーパーがしっかりと作成できているか・内容が充実しているかという点は、とても重要になってくるのです。

もっとも、実際にホワイトペーパーを作ったことがない場合、これを1から作成するのはとても大変です。現状、ネット上にもホワイトペーパーの具体的な作成手順について詳しく解説したサイトはほとんどありません。

また、仮に頑張って自分たちで作成したとしても、「これで本当に大丈夫かな?不備があるかも?」といった不安は残ると思います。

この点、弁護士に相談をすれば、独自のノウハウを活かし、プロジェクトに沿った最適なホワイトペーパーを作成してくれます。また、作成したホワイトペーパーに不備がないか・法的に問題が無いかなどのレビューも行ってくれます。

(5)ICO用のWebサイトのレビュー

ICO企業は、自社が実施するICOに関して、多くの情報を投資家に向けて発信するために、ICO専用のWebサイトを立ち上げることが通例となっています。投資家は、ICO企業から提供されたさまざまな情報に基づいて、投資をするかどうかを判断します。

このように、投資家にとって専用サイトに掲載される情報は、大変重要な材料であるため、正確な情報である必要があります。

ICO用の専用サイトは、多くの場合、ホワイトペーパーの内容をベースに作ります。ホワイトペーパーのダイジェスト版がICO用の専用サイトということです。

ここで、厳密にはICOではなく「IEO(Initial Exchange Offering)」ということになりますが、弁護士コインプロジェクトにおける専用サイトの一部を見てみましょう。

BENGOSHI COIN

BENGOSHI COIN-2

BENGOSHI COIN-3

https://bengoshi-coin.io/wp/

ICO専用サイトは、投資家に対するアピールの場でもありますので、さまざまな工夫をしている企業も少なくありません。専用サイトを開設する際には、他企業のサイトを参考にしてみるのもいいかと思います。

(6)仮想通貨取引所との上場交渉

ICOをする場合、投資家の期待に応えるためにも、自社で発行するトークンを仮想通貨取引所(多くの場合、海外に拠点を持つ海外取引所)に上場させていくことになります。

この際に、取引所との「上場交渉」が求められるのですが、ビジネス面から、システム面・リーガル面にいたるまで多岐にわたる交渉を繰り返し行っていくことになります。

日本では有名な「COINEXCHANGE」ですと、上場交渉の過程で以下のような点が求められます(※一例にどとまります)。

【交渉事項の一例】

  1. What is the innovation in your coin?How is it different from other coins?
  2. How long has the coin been under development?
  3. How many members in your development team?

ICOを体感したことがない相談者では、何をどのように回答すればいいのかわからないと思いますので、その点については、ICO・仮想通貨に強い弁護士に相談して対応してもらうことになります。

なお、仮想通貨取引所へトークンを上場させる際には、取引手数料などがかかりますが、

  1. どこの取引所で、いくらかかるのか?
  2. どういった質問がくるのか?

などについてきちんと把握していない弁護士は、「偽物」(経験が実際にはない)の可能性が大です。

本当にICO・仮想通貨に強い弁護士か否かを見極める一つの重要なファクターにもなりますので、相談へ行った際には、質問をぶつけてみてください。

(7)仮想通貨取引所の開設(手続代行)

仮想通貨を扱ったサービスやICOだけでなく、自分たちで仮想通貨の取引所を開設したいという事業者の方もいるかと思います。この点、日本国内で取引所を開設するためには、「仮想通貨交換業者」として国から登録をうけなければなりません。

この「仮想通貨交換業者の登録をうける手続き」は、社内規定の作成やたくさんの提出書類を用意しなければならないなど、自分たちだけで準備するのはとても大変です。

これを弁護士に依頼すれば、社内規定作成への助言や法的なアドバイス、提出書類の作成など、仮想通貨交換業の登録手続きを代行してくれます。

(8)金融庁との緊急対応

日本国内でICOをしていると、金融庁から突然、「仮想通貨交換業は、登録を受けたものでなければできない。貴社が行っているICOは、これに違反しているおそれがあります。」「つきましては、〇年〇月〇日までに書面によりご回答願います。なお、期限までに回答がなされない場合捜査当局への情報提供等、必要な措置を行うことがありますので、念のため申し添えます。」などといった怖い書面が不幸にも届いてしまうケースがあります。

このような緊急時における対応は、素人では難しいため、ICOに強い弁護士が間に入って金融庁と実際に交渉してくれます。

3 ICO・仮想通貨の法律問題を弁護士に依頼するメリット

メリット

ICO・仮想通貨の法律問題について、わざわざお金を払って弁護士に相談するなんてもったいない!と思う方もいるかもしれません。

そこで以下では、弁護士に相談することのメリットを解説します。

(1)安全にICO・仮想通貨ビジネスができる

ICO・仮想通貨の領域では、「リーガル面をきちんと整備できるかどうかで成否が分かれる」とされているくらい、法律面の整備がとても大事になってきます。ですが、金融庁のレギュレーションの変化に対応しながら合法的なスキームを作り上げることは、高度な専門性が必要になります。そのため、企業が自前でやることは、事実上難しいといえます。

この点、弁護士に相談することで、自分たちが実現したいプロジェクトやビジネススキームに沿った的確な法的アドバイスをうけることができ、合法的にICO・仮想通貨ビジネスを行うことができます。

(2)全てを任せることができる

ホワイトペーパーの作成や取引所の開設(仮想通貨交換業の登録)の部分で述べたとおり、これらの作業を自分たちだけで行うことはとても大変です。

この点、弁護士に依頼することで、面倒な作業や法的な心配をすることなく、ICO・仮想通貨ビジネスに必要な手続きや法的問題点のピックアップなどを任せることができます。

(3)ステークホルダーからの見え方がよい

ICOをする場合や金融庁への対応においても、弁護士によるサポートを受けているという事実があることにより、そのプロジェクトを行う上で相対的には好意的な見え方をします。

昨今、「ICO詐欺」が横行している中で、「きちんと弁護士のサポートを受けたプロジェクト」という印象を与えることができるのは、企業側からみてメリットといえます。

(4)相談が義務付けられる場合もある

日本国内でICOをしていると、金融庁から突然、「貴社のICOは違法だから、直ちにやめなさい」といった怖い書面が届くケースがあります。

このような場合、怖い書面をガン無視することはできず、そこには、以下のような記載があることがほとんです。

仮想通貨交換業の該当性についての貴社の認識その根拠、弁護士等への法令照会の内容及び見解を詳細に記載ください。

この緊急対応のケースでは、自前で処理してもいいのですが、この書面にあるとおり、「仮想通貨交換業の該当性についての貴社の認識その根拠」を「弁護士」などに相談し、その見解を得なければなりません。

4 ICO・仮想通貨の法律問題を弁護士に依頼するデメリット(弁護士費用)

デメリット

ICO・仮想通貨の法律問題を弁護士に依頼することには、大きなメリットがある一方で、デメリットもあります。

以下では、弁護士に依頼するデメリットを解説します。

(1)費用がかかる

ある意味当然のことではありますが、弁護士の先生に相談すると、「弁護士費用」がかかります。

弁護士もボランティアではないので、原則として、相談時間に応じた法律相談料を相談者側が負担しなければなりません。

(2)回答が的外れな可能性があること

相談する弁護士によっては、相談によって解消したかった点を解消できなかったなど、回答が的外れである可能性があります。このようなことが起きる一番の要因として、相談を受けた弁護士がICO・仮想通貨の法律問題に詳しくなかったということが挙げられます。

5 ICO・仮想通貨に強い弁護士の見分け方は?

見分け方

では、ICO・仮想通貨に強く、これらの法律問題に精通している弁護士とそうでない弁護士をどのように見分ければいいでしょうか。

(1)ICO・仮想通貨に関する法的な知識が豊富か?

まずポイントとなるのが「ICO・仮想通貨に関する知識が豊富であること」という点です。わざわざお金を払って依頼するのに、仮想通貨やICOについてまったく知りません!という弁護士に頼みたいと思う人はいないですよね。

仮想通貨やICOに関しては、法律の整備がまだ追いついていない部分が多く、微妙な法律問題がたくさんあります。たとえば、

  • ICO企業が発行するトークンが「仮想通貨」にあたるか?
  • ICOの局面において、「仮想通貨交換業」の登録をうける必要があるのはどういう場合か
  • ICO企業が発行するトークンが「前払式支払手段」にあたるか?
  • 配当型トークンについて金商法の「ファンド規制」が適用されるか

など、立法的な解決が図られていない部分が多々あります。

そういう状況下においても、

  1. 現状の法規制はどうなっているのかを把握している
  2. 法律が未整備なまでも各種省庁が出している「ガイドライン」の存在と内容を理解している
  3. その上で、スキームの提案をしてくれる

といった弁護士であれば、ICO・仮想通貨に強い弁護士といえるでしょう。

(2)ICO・仮想通貨の経験値があるか?

一口にICO・仮想通貨といっても、クライアントが相談したい事項は多岐にわたります。

ただ、大別すると以下のパターンに分類できます。

  1. ICOを日本国内で合法的に進めたい
  2. 仮想通貨交換業のライセンスを取りたい
  3. 金融庁との緊急対応

いずれの類型についても、以下の事項を把握し、提案までできる弁護士であれば、ICO・仮想通貨(ブロックチェーン)に強い弁護士といえるでしょう。

  • 日本国内でするICOにおいて最も大事な法的問題は、発行体のトークンが「仮想通貨」に該当するのか?という点であることを理解していること
  • ICOの文脈において「仮想通貨交換業の登録」がどういった場合に必要なのか?を理解していること
  • 「仮想通貨」の該当性を判断するにあたり必要な金融庁その他の団体が出している「ガイドライン」の存在・内容を理解していること
  • 「仮想通貨」にあたらないとしても、守るべき法律規制があり、その内容を把握し理解していること
  • 海外に法人を立てつつ、日本居住者向けにICOをした場合にどうなるのか?についての金融庁のスタンスを把握し、かつ、自己の見解を持っていること
  • 仮想通貨交換業のライセンスを取る場合の手続きを理解し、的確な指示を出してくれること
  • 仮想通貨交換業のライセンス申請における標準処理期間を理解し、その上で実際のスケジュール感を把握していること
  • STO(Security Token Offering)の存在・法的なスキームを理解していること
  • DAPPS開発・ローンチに伴うリーガルリスクを理解している

(3)ICO・仮想通貨を「ビジネス面」からも理解しているか?

ICO・仮想通貨をとりまく法律は複雑であるため、この点を理解していることは当然必要です。ですが、ICO等のサポートにおいては、単に法律の解釈を知っているだけでは足りません。

合法になるようにトークン自体を設計すると同時に、投資家にとってメリットのある(=投資したくなる)トークンを組み立てていく必要があるからです。

またICOをする場合、通常、取引所への上場も予定していることから、上場した後の市場で「売り圧力」にどう対処するのか?という視点も踏まえたトークン設計が求められます。

こういったリーガル面とは離れた「ビジネス」への理解があるかどうかも、ICOに真に強い弁護士かどうかの判断基準となります。

(4)仮想通貨取引所との交渉実務を把握しているか?

ICOの場合、トークンを最終的には仮想通貨取引所へ上場させていくわけですが、上場の際に、取引所担当者との間で、主に英語で交渉をしていくことになります。

この際に弁護士側で、

  1. どういった交渉事項があり
  2. それに対してどう対応していくべきなのか
  3. 上場手数料はいくらかかるのか?
  4. トークンとのペアはBTCのみか、ETH等もあるのか

などについて事前に把握しておかないと、交渉を有利にすすめることはできませんし、当然、相談者に対してきちんとしたアドバイスはできません。

そのため、上記の取引所との交渉実務を理解しているか?という点は、ICO・仮想通貨に強い弁護士かどうかを見分ける一つの重要なファクターになります。

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6 ICO・仮想通貨に強い弁護士の探し方とは?

探し方

では、ICO・仮想通貨に強い弁護士はどのように探せばいいのでしょうか。

ICO・仮想通貨の領域で対応できる弁護士は、日本では指で数えられる程度の数しかいません。その中でも、法律面のみならず、ビジネス・テクロジーまで理解している専門家は、極めて少ないのが実情です。

そのため、離婚・債務整理などに対応できる弁護士を集めた「〇〇ドットコム」などの弁護士検索サイトで調べたとしても、本当にICO等に詳しい弁護士は出てきません(ただし、詳しいと名乗っているだけの人は出てくるかもしれませんが)。

そこで、以下では少ないものの、ICO・仮想通貨に強い弁護士にアクセスする方法をご紹介します。

(1)知人の紹介

一つは、知人から紹介を受ける方法です。そもそもICO等の領域で対応できる弁護士は数が限られているため、クリプト界隈の知人をたどれば、何人かはピックアップできて、アクセスできる可能性があります。

クリプト界隈は非常に業界としてせまいため、紹介という形であっても、ICO等に強い弁護士にアクセスできる可能性はあります。

(2)検索エンジン上で法律事務所のサイトを検索する

ICO等に強い弁護士の中には、インターネット上で情報発信をしている方もいます。

そこで、検索エンジン上で「ICO 弁護士」「ICO 相談」などと検索すれば、いくつかの法律事務所がヒットするはずです。

そこに問い合わせをして、相談に行くという方法があります。

7 相談前に準備・確認すべきこと

確認すること

実際に、仮想通貨やICOの法律相談を弁護士にするときには、以下の点を前もって準備していく必要があります。

(1)相談の概要をテキストでまとめて送る

以下の点をテキストで整理し、事前にメールで送りましょう。弁護士は口頭よりもテキストを好むので大変スムーズに話が進みますし、相談者としても有料である面談時間を有意義に活用することができます。

①仮想通貨交換業のライセンスを取りたい場合

仮想通貨取引所を作りたい、その他「仮想通貨交換業」のライセンス取得の件で相談を希望する場合には、以下の点をまとめておきましょう。

  • 【ポイント①】:取引所システムの完成予定時期
  • 【ポイント②】:業務開始予定月
  • 【ポイント③】:現在の従業員数
  • 【ポイント④】:登録申請時の想定従業員数(金融庁の申請受理時点)
  • 【ポイント⑤】:収益モデル(ICO手数料、取引手数料など)
  • 【ポイント⑥】:3期分の事業計画

②ICOをする場合

ICO(Initial Coin Offering)の相談を希望する場合、以下の点をまとめておきましょう。

  • 【ポイント①】ICOプロジェクトの概要
  • 【ポイント②】発行するトークンの性質(ユーティリティ、セキュリティ等)
  • 【ポイント③】プロジェクトのマーケットは日本か海外か
  • 【ポイント④】調達希望額
  • 【ポイント⑤】マーケティングなどのビジネスコンサルタントの有無
  • 【ポイント⑥】トークン発行その他システム面のコンサルタントの有無
  • 【ポイント⑦】ホワイトペーパーの有無・内容
  • 【ポイント⑧】ICO用のLPの有無・内容
  • 【ポイント⑨】投資家の宛はあるのか?あるとしたらどういった属性の人か

(2)サービス資料(ホワイトペーパーなど)を送る

なんの前説明もなく相談にこられると、弁護士としては十分な対応がしにくいですし、ヒアリングに時間を割くことになるため、相談料をできるだけ節約したいのであれば事前に必要な資料をメール等で送りましょう。

特に、ICOやSTOを希望している場合には、事前に資料を送ってあげてください。法律相談の場でだーっと「これまじ儲かるんすよ」「絶対コインの価値あがりますから!」といった説明をされる方が多いですが、そういった相談スタンスは、ロジカルに判断しがちな弁護士とはミスマッチになりがちですので、事前説明をしておくとスムーズです。

(3)日程調整をする

資料を送ったら、あるいは資料送付と同タイミングで、日程調整をします。

だいたい、弁護士の方から日程案が送られてきますので、自分の都合のよいお日にちを指定してください。当日は、事務所の方へ訪問することになります。

(4)相談料の有無・額を確認する

法律事務所によりますが、法律相談料は基本かかる(=有料)と考えておいた方がよいです。

特に、ICO・ブロックチェーンの業界は、プレイヤーと法律専門家との需給のバランスがおかしいのと、専門性が極めて高いため、相談料は一般消費者事件とは異なり、相対的に高めの設定となっています。

相談料の相場:2万~6万【税別】/1時間

以上のやりとりが完了したら、後は当日面談することになります。

8 弁護士との信頼関係

信頼関係

(1)弁護士との信頼関係がなぜ必要?

信頼関係にある相手とそうでない相手から、何かを頼まれた場合、これが仕事上の依頼ともなれば、両者を差別することは決して好ましいことではありません。ですが、弁護士も人間ですので、信頼関係にある相手から受けた依頼に対しては、より親身になり、寝る間も惜しんで最善の方法を模索してくれるかもしれません。反対に、信頼関係にない相手から受けた依頼に対しては、最低限の対応にとどまる可能性もあります。

このように、あくまで可能性の問題ではありますが、弁護士と信頼関係を築くことは「最善の解決」を図るためにも必要なことであるといえるのです。

もっとも、信頼関係を築くとはいっても、友人と信頼関係を築くわけではありません。

弁護士と信頼関係を築くためには、どのようなことが必要になってくるのでしょうか。

以下で、具体的に見てみましょう。

(2)弁護士と信頼関係を築くために必要なことは?

クライアントから見て弁護士は、困っていること・望んでいることなどの解消・実現に力を貸してくれる存在です。このような関係性にあるため、弁護士と信頼関係を築くには、

  1. 相性
  2. 疑問点を溜めない
  3. 弁護士に隠し事をしない

といった点に気を付けるべきだと考えられます。

簡単に見てみましょう。

①相性

信頼関係を築くとはいえ、お互いが人間である以上、そもそもの「相性」があります。話がかみ合わない、弁護士が威嚇的などといったように相性に問題を感じた場合には、信頼関係を築くことも簡単ではありません。

そのような場合には、相性がいい弁護士を別に探すという選択をした方がいいかもしれません。

②疑問点を溜めない

案件に対応してもらう過程で、弁護士の対応や相手方から出た言い分の意味などに疑問を持つことは少なくありません。このような場面で、聞きにくい・聞いてもよくわからない、といった理由で疑問点を溜めていくクライアントがいます。

このような関係性が続いてしまうと、弁護士はクライアントが理解していることを前提に案件処理を進めていきますし、クライアントはわけもわからないまま、時間だけが経っていくということになります。これでは、両者間に意思疎通が図られているとは到底いえないため、信頼関係を築いていくことはできません。

疑問点があれば、その都度、弁護士と密に連絡を取り、疑問点を質問することで、弁護士との意思疎通を図ることができ、信頼関係を築くことができます。

③弁護士に隠し事をしない

自分にとって不利な事情などを弁護士に伝えないクライアントが多く存在します。弁護士はクライアントが抱えている不利な事情も含め、最善の解決を模索するわけですから、後になって、「実は〇〇なんです」などと打ち明けるようなことは控えるようにしましょう。弁護士がクライアントに不信感を抱くきっかけにもなりますし、到底信頼関係を築くなんてことはできません。

弁護士に包み隠さずにすべての事情を打ち明けることによって、弁護士もクライアントにとって最善の解決となるよう尽力してくれるのです。

 

以上のように、弁護士と信頼関係を築いているかどうかは、クライアントにとっては、依頼した案件の解決内容にどの程度の満足を得られるか、といった点を左右する一つの要素にもなり得るものです。友人との信頼関係においても、以上のことは基本的にあてはまりますので、内容はご理解いただけたと思います。

9  小括

サマリー

現状、ICOや仮想通貨(ブロックチェーン含む。)の分野は、その分野に強い弁護士が指で数えられるぐらいしかいないほど専門性の高い分野です。そのため、ICOや仮想通貨を使ったビジネスを始めるにあたっては、そもそもどのような場合に相談をすべきか、また、どのような弁護士に相談すべきか、など見極めなければならないことが多岐にわたります。

このような多岐にわたる事項の丁寧な検討・見極めがICOや仮想通貨ビジネスの成功に不可欠であるといっても過言ではありません。

10  まとめ

これまでの解説をまとめると、以下のようになります。

  • ①仮想通貨取引所の開設、②合法的なICOの実施、③仮想通貨を使ったサービスの提供、などについては、 ICO・仮想通貨に強い弁護士に相談すべきである
  • ICO・仮想通貨の法律問題に強い弁護士に依頼すると、①要件提起、②スキームの提案、③ストラクチャリングの検討、④ホワイトペーパーのレビュー、⑤ICO専用のwebサイトのレビュー、⑥仮想通貨取引所との上場交渉、⑦仮想通貨取引所の開設(手続代行)、⑧金融庁との緊急対応、などをしてくれる
  • ICO・仮想通貨の法律問題を弁護士に依頼するメリットとして、①安全にICO・仮想通貨ビジネスができる、②すべてを一任できる、③ステークホルダーからの見え方がよい、④相談が義務付けられる場合に対応してくれる、といったことが挙げられる
  • ICO・仮想通貨の法律問題を弁護士に依頼するデメリットとして、①費用がかかる、②回答が的外れな可能性がある、といったことが挙げられる
  • ICO・仮想通貨に強い弁護士であるかどうかは、①ICO・仮想通貨に関する法的な知識、②ICO・仮想通貨の経験値、③ICO・仮想通貨のビジネス面からの理解、④仮想通貨取引所との交渉実務への理解・経験などによって見分ける
  • ICO・仮想通貨に強い弁護士は、①知人による紹介、②検索エンジンによる法律事務所サイトの検索、などといった方法で探す
  • 弁護士に相談する前に、①相談概要をテキストで送る、②サービス資料を送る、③日程調整、④相談料についての確認、といったことを準備・確認する
  • 弁護士と信頼関係を築くためには、①相性、②疑問点の解消、③弁護士に隠し事をしない、といったことが必要である