商標登録とは?登録NGな4つの商標や商標登録の確認方法を解説

はじめに
事業者が、自社の商品やサービスを表すために使用する文字やマークなどを「商標」といいます。
現在では、マークを見るだけで「〇〇の商品だ」「〇〇が提供しているサービスだ」とすぐにわかることも多く、既に私たちの中では当たり前になっている商標が多数存在します。
商標は、うまく戦略的に活用することで、ビジネスにおいて強力な武器となる可能性も秘めています。
今回は、この「商標」について、登録制度などを中心にわかりやすく解説します。
1 商標登録とは

「商標登録」について見ていく前に、「商標」そのものについて簡単におさらいしておきましょう。
(1)商標とは
「商標」とは、事業者が、自社の取り扱う商品やサービスを他社の商品やサービスと区別するために使用するマークのことをいいます。
商品を購入する場合、商品のマークや名称を一つの目印として選ぶ方も多いと思います。
私たちは商品などを購入したり使用したりすることで、その商品や企業に信頼感をもつようになります。
その結果、商品に使用されている商標に信頼感や安心感をもつようになり、商標そのものにブランドイメージがついていきます。
このように「商標」というものは、企業にとって、自社の商品やサービスの顔ともなる重要な役割を担っているのです。
もっとも、商標に一定の価値が認められる以上、何らかの形で守らなければ、第三者に勝手に使われたりするおそれもあります。
そのために「商標権」という権利が存在しているのです。
(2)商標登録とは
商標権を取得するためは、特許庁から「商標登録」を受ける必要があります。
- 
【商標法5条1項】
商標登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に必要な書面を添付して特許庁長官に提出しなければならない。
商標登録を受けずに商標を使用している場合において、他社が同じような商標の登録を先に受けていると、商標権侵害にあたる可能性があります。
2 登録ができない4つの商標

商標として登録することができないものは、商標法において多数定められていますが、以下ではその中でも特に注意すべき4つを挙げています。
- 商標として認識されないもの
- 公益に反するもの
- 他社の商標と類似しており紛らわしいもの
- 業務に使用しないもの
(1)商標として認識されないもの
商品やサービスの普通名称や産地、特徴などを表示するにすぎないものは、商標が本来有する「他社との区別」という機能を果たさないため、商標として登録することはできません。
たとえば、食品に係る産地の文字や産地に係る地図の図形は、食品の産地を表示しているに過ぎないため、商標登録はできません。
(2)公益に反するもの
公益的な団体や事業などを表す著名なロゴや名称などと同じ商標や、それに類似する商標については、公益団体などが主体となって出願する場合を除き、登録することはできません。
たとえば、国の施策を表すマークや各都道府県のシンボルマークを商標として登録することはできません。
(3)他社の商標と類似しており紛らわしいもの
他社が登録している商標と類似しているなど、紛らわしい商標は登録することができません。
具体的には、使われているマークが類似していることに加え、商品やサービスも類似しているような場合には、紛らわしい商標として登録できません。
また、商品やサービスが類似していなくても、有名な商標と誤認や混同を生じる可能性のある商標は登録することができません。
(4)業務に使用しないもの
商標として登録できるのは、「自社の業務に係る商品やサービスで使用する」商標です。
たとえば、商品やサービスなどから考えて、およそ業務で使用することが考えられないような商標は、登録することができません。
3 商標登録の確認

商標登録を取得するためには、出願のための書類を作成する必要がありますが、その前に以下の点を確認することが大切です。
(1)登録しようとする商標が登録されていないか
既に見たように、商標はすでに他社によって登録されている商標と同じものや類似しているものについては登録することができません。
そのため、出願のための書類を作成する前に、登録しようとする商標がすでに登録されていないかを確認する必要があります。
商標登録は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で簡単に確認することができます。
(2)商標の区分
「商標の区分」とは、ざっくり言うと、商品やサービスのカテゴリのことをいいます。
特許庁により45の区分に分けられており、1類〜34類までが商品、35類〜45類までがサービスとなっています。
商標登録を出願する際には、その商標をどのような商品やサービスで使用するのかを指定しなければなりません。
そのため、自社が取得しようとしている商標がどの区分にあたるかを確認することが必要です。
ここで注意しなければならないのが、登録商標は、登録を受けた区分の範囲内でしか保護されないということです。
そのため、商標の使用を予定している事業が複数の区分にわたる場合は、そのすべての区分について出願することが必要です。
4 商標登録までの期間

商標登録の出願をすると、特許庁により審査が行われ、そのうえで登録の是非を判断されることになります。
ここでいう審査に要する期間は、審査方法に応じて、以下の3つに分かれています。
- 通常の審査
- ファストトラックの審査
- 早期審査
(1)通常の審査
通常の審査期間は、商標登録の出願後約9ヶ月~1年強となっています。
商標登録の出願件数が増えていることもあり、特許庁の審査が追いついていないというのが実情です。
とはいえ、こんなに長くかかっていては、事業に支障を来すという事業者もいると思います。
そこで、一定の条件を満たす場合には、例外的に審査期間を短縮できるようになっています。
それが、以下で見る「ファストトラック」と「早期審査」です。
(2)ファストトラックの審査
「ファストトラック」は、特許庁の指定に従って商品やサービスを記載することにより、自動的に審査期間が短くなる制度です。
ファストトラックの審査期間は、商標登録の出願後約6ヶ月となっています。
もっとも、商標登録をしようとする商品やサービスが、特許庁の指定に該当しないケースもあります。
このような場合にまで審査期間を優先してしまうと、守りたいものも守れなくなるため注意が必要です。
(3)早期審査
「早期審査」も、ファストトラック審査と同様、一定の要件を満たしていることで審査期間が短くなる制度です。
早期審査の審査期間は、商標登録の出願後約2ヶ月となっています。
もっとも、ファストトラック審査に比べ審査期間がさらに短くなるため、その分求められる要件も多くなっています。
一つは、ファストトラック審査の場合に求められる要件と同様、特許庁の指定に従った記載をすることが必要です。
加えて、出願書類に記載した商品やサービスの一つ以上について、出願した商標と同じ商標を出願人がすでに使用していることが必要になってきます。
5 まとめ
「商標」は、商品やサービスの提供者であるということを一般消費者などに示す機能があります。
また、それだけでなく、同じ商標が付された商品やサービスが同じ品質を備えているという信頼をも保証してくれるものです。
商品やサービスの広告などに商標を用いることにより、その企業の商品であることを一般消費者に伝え、購買欲を掻き立てることが期待できます。
弊所では、商標の出願にも対応しております。
そのほかにも、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
 
       
   
   
   
  