女性が離婚を有利に進める4つのコツ!得する離婚をする方法を解説!

夫との離婚をできるだけ有利に進めたい、得する形で離婚したい。
離婚を考えている方の中には、このような思いでいる方も多いでしょう。
実際、女性の離婚は、夫に請求する「お金」のことや、子どもの「親権」など、有利に進められることがたくさんあります。
特に子どもがいる母親の方などは、子育ても含めた離婚後の生活もかかっていますから、離婚を有利に進めることはとても大切です。
そこで本記事では、あなたが離婚を有利に進め、できる限り得するための4つのコツと具体的な方法を解説していきます。
逆に有利に離婚するために「やってはいけないこと」や、離婚前にやっておきたい準備も解説しているので、離婚を考えている女性の方はぜひ参考にしてみてください。
【この記事でわかること】
- 女性にとって有利な離婚とは「夫に拒否されても離婚できる」「夫から多くお金をとる」「親権を確実にとる」ことを実現すること
- 離婚を有利に進めるには、以下のことが重要!
- 【コツ①】離婚条件について把握する
- 【コツ②】証拠を多く集める
- 【コツ③】早めに弁護士に相談する
- 【コツ④】離婚の準備は密かに進める
 
- 民法で定められた「法廷離婚事由」を証明すれば、夫に拒否されても離婚できる
- 離婚で夫から多くお金をとるには、「どんな名目でお金を請求できるのか」知ることが何より重要
- 親権は基本的に女性(母親)であるあなたに有利だが、「自分が子どもの世話をしていた」証拠を用意すればより安心
1.女性にとって有利な離婚・得する離婚とは

まず初めに、「女性にとって有利な離婚」とはなんなのか、はっきりしておきましょう。
【有利な離婚の3要素】
- 夫が拒否しても離婚できる
- 夫からお金を多くとる(共有財産や慰謝料など)
- 子どもの親権をとる
上に挙げた3つの要素を実現できれば、離婚を女性であるあなたに有利に進められたといえるでしょう。
(1.)あなたは「離婚したい」夫は「離婚したくない」と意見が割れた場合、それでもあなたの主張通り離婚できれば、有利に離婚を進められたといえます。
(2.)「離婚を有利に進める」といえば、1番はお金についてでしょう。
お金は多くとれた方がお得ですし、離婚後のあなたの生活が楽になるという大きなメリットがあります。
(3.)離婚を有利に進めるためには、「子どもの親権に関する取り決め」も外せません。
あなたが子どもを引き取りたいと考えているなら、親権争いを有利に進めたいところでしょう。
本記事では、上に挙げた各要素について、あなたが有利になる形で離婚を進める方法を解説していきます。
2.女性が離婚を有利に進めるための4つのコツ

上にあげた3つのポイントにそれぞれ焦点を当てる前に、全てにおいて重要な基本のコツを押さえておきましょう。
要するに、夫の拒否を押し切って離婚するためにも、夫から多くお金をとるにせよ、親権をとるにせよ、全ての要素において重要なことです。
【離婚を有利に進める基本のコツ】
- 離婚の情報を多く知っている方が有利
- 証拠を多く集めた方が有利
- 早めに弁護士に相談した方が有利
- 密かに準備した方が有利
それぞれ見ていきましょう。
1)離婚の情報を多く知っている方が有利
離婚を有利に進められるのは、まずもって離婚にまつわる情報をより多く知っている方です。
あなたが夫よりも離婚について得するための情報を多く把握する一方で、夫は大した知識もない状態を作れれば、必ず離婚を有利に進められます。
これは弁護士に離婚のサポートを依頼する場合も同じです。弁護士に「任せきり」では有利に離婚は進められません。
というのも、「このお金を請求できるはずだから請求したい」「こんな証拠があるからこんな主張ができると思う」などの情報を、あなたから弁護士に伝えなければ、弁護士は動いてくれないこともあるからです。
だからこそ、あなた自身が離婚を有利に進めるための情報を多く知っていることが大切なのです。
2)証拠を多く集めた方が有利
離婚を有利に進めるには、あなたの主張を裏付ける「証拠」をできるだけ多く集めることが非常に重要です。
「証拠裁判主義」といって、裁判や調停の場であなたの言い分が認められるかは、証拠の有無・内容によってすべて決まるからです。
例えば、旦那の不倫について慰謝料をたくさんとりたいなら、不貞行為があったことを示唆するLINEのやりとり等の証拠が必要です。
具体的に、どんな証拠を集めればいいかは、今後の解説項目で、それぞれ「証明したいこと」と紐つけて解説していきます。
なお、結果的に裁判外で「協議離婚」の形で解決することも多くありますが、これらの証拠は、いずれにせよ役に立つので、必ず集めてください。
3)早めに弁護士に相談した方が有利
なるべく早めに弁護士に相談することも、離婚を有利に進めることに繋がります。
早い段階で弁護士からのアドバイスをもらえていれば、その分離婚を有利に進めるための準備も早く進められるからです。
先に解説した証拠集めなども、弁護士から「こんな証拠をこうやって集めるといい」といったアドバイスをもらえれば、より効率的に動けます。
離婚を有利にするための交渉の観点からも心強いです。
なお、弁護士をつけると「角がたつ」ということで、相談することを躊躇する方も多いでしょうが心配いりません。
相談しても、弁護士が表に立たず、バックアップだけしてくれるサービスプランもあるからです。
また、弁護士の特権を使って有利に証拠集めもできます。
例えば、夫が財産をうまく隠しているような場合でも、弁護士の特権である「弁護士会照会制度」を利用することで、相手の預貯金等を調査することができたりします。
特に、弁護士への依頼を検討している場合には、できるだけ早く相談しておいて損はありません。
弁護士と契約している期間によって弁護士費用が変わるわけではないからです。
専業主婦の方などは「法テラス」の利用も検討しよう

離婚について、弁護士のサポートを依頼したいと思っても、専業主婦やパート勤めの方など、弁護士費用の支払いが厳しいという方もいるでしょう。
そんな方には、「法テラス」を通じて弁護士に相談するのがおすすめ。
法テラスとは、経済的に余裕のない方むけに、法的サービスを無料ないし割安な価格で受けられるようにするために国が設立した総合案内所です。
法テラス最大の特徴は、無料相談が合計90分という長時間できることに加え、相場の半額ほどの弁護士費用で依頼できること、そしてその弁護士費用を立て替えてくれることにあります。
4)離婚の準備は密かに進めるほうが有利
離婚を有利に進めるためには、準備を「密かに」進めることが重要です。
夫に「離婚しようと思っている」「離婚したい」と伝えるより前に、証拠・資料集めや弁護士への相談をしておくとよいということです。
というのも、離婚したいという意思や、あなたの希望する離婚条件を夫に話してしまえば、有利な離婚の妨げになる場合が多いからです。
例えば、「あなたが浮気をしているから慰謝料を請求しようと思う」と夫に伝えてしまえば、夫は浮気の証拠を隠したり、消したりされるリスクが高まります。
そのため、離婚を「有利に進めたい」という方は、夫に知られず、密かに準備を進めるのがコツです。
3.【有利に進めるポイント①】女性が拒否されても夫との離婚を突き通すには

女性側が離婚を有利に進められる要素の1つに「離婚できる・離婚できない問題」があります。
妻(あなた)は離婚したい、夫は離婚したくないと意見が割れた場合、それでもあなたの主張通り離婚できれば、有利に離婚を進められたといえるでしょう。
離婚できるかできないかは、協議離婚(当人どうしの話し合いで離婚する)のケースであれば、考える必要はありません。
当人どうしが合意すれば、どんな事情でも離婚自体はできるからです。
一方で、夫が「離婚したくない」と主張した場合が問題です。
離婚届を勝手に出しても無効になるため、調停などの裁判の場で、次に解説する「離婚原因」があることを証明していく必要があります。
1)離婚の決め手になるのは「法定離婚事由」があるか
この場合、争点になるのは、「法定離婚事由」に該当する事実があるかどうかです。
「法定離婚事由」とは、民法で、離婚できる場合として定められている5つの原因のことです。
反対に、この5つに当てはまる事情がない場合、離婚することはできないことに注意してください。
【5つの法定離婚事由】
- 不貞行為
- 悪意の遺棄(理由なく同居を拒否する、生活費を渡さない、など)
- 配偶者の生死が3年以上不明
- 配偶者が強度の精神病患者で回復の見込みが無い
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
しかも、これら5つのうちいずれかの事実が「ある」ことを、離婚を望む「あなたが」証明しなければなりません。
2)争点1:「不貞行為」が認められるケース・認められないケース
「不貞行為」とは、「既婚者が配偶者以外の異性と、自由な意志で肉体関係を持つこと」とされています。
したがって、「肉体関係」がなければ不貞行為とはいえません。
また、不貞行為が「1回だけ」といったケースでも、それだけを理由に離婚が認められることは少ないです。
離婚裁判で不貞行為を離婚理由として認めてもらうには、ある程度「継続的」に不貞行為をしている事実がなければ難しいのです。
なお、これは「風俗」についても同じことがいえます。
風俗に「1回行っただけ」では離婚が認められることは少なく、逆に、ある程度「継続的」に通っていれば、風俗での不貞行為も離婚事由となります。
2) 争点2:「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」とは
先に紹介した5つの法定離婚事由のうち、特に争点になりやすいのは5つめの「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」です。
「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」とは、ほか4つの離婚事由と同じ程度の重大性があり、夫婦関係が破綻する原因のことです。
「その他」といわれている通り、さまざまな事情が含まれますが、一般には以下のようなケースがみられます。
【離婚事由になること】
- DV・モラハラ・子供の虐待
- あなたの親族との不和
- ギャンブル、浪費、借金癖
- 性の不一致(セックスレス)
- アルコール依存症・薬物中毒
- 過度な宗教活動
- 犯罪行為による服役
- 長期の別居
ここで注意したいのは、離婚の理由として多く挙げられる「性格の不一致」や「金銭感覚の相違」などは、それだけで離婚事由として認められにくいという点です。
通常、結婚とは、お互いが寄り添いあって「性格の不一致」や「金銭感覚の相違」を乗り越えるべきだと考えられているからです。
そのため、「性格の不一致」や「金銭感覚の相違」で離婚を意識した方も、以下のように、正当な離婚事由が示せるかどうか考えてみてください。
【正当な離婚事由に繋げる考え方】
- 性格の不一致→背景に育児放棄や親族との不和などがなかったか?
- 金銭感覚の相違→背景に夫に浪費、借金癖がなかったか?
上記のように考えてみた結果、離婚が認められる事由と結び付けられれば、夫が離婚に反対しても離婚を突き通せる可能性が高いです。
3)有利にするためには「法定離婚事由」に当てはまる証拠があるとよい
「離婚できる・離婚できない問題」を有利に進めるためには、先述の「法定離婚事由」に当てはまる証拠を用意する必要があります。
「法定離婚事由」の証拠とは、具体的に以下のようなものが挙げられます。
【法定離婚事由とその証拠】
| 離婚事由(原因) | 有効な証拠 | 
|---|---|
| 不貞行為 
 | ・不貞行為などがあったことを示唆するメール、LINE、SNSなどでのやり取り ・音声や映像など ・調査会社の報告書 | 
| 悪意の遺棄 | ① 無断別居・長期外出別居期間中のメッセージのやりとり (無断で別居したことがわかるもの) ② 家事・育児放棄 家事や育児に関するメッセージのやりとり (全く返事をしない、非協力的な返事をしているなどの事情が表れているもの) ③ 働けるのに働いていない就労能力の証明書類 (医師の診断書、健康診断の結果など) ④ 生活費を支払っていないこと ・預貯金の入出金履歴 (自身のもの、配偶者のもの) ・生活費関連の領収書 (自身ばかりが支出していることがわかるもの) | 
| 夫の生死が3年以上不明 | ・連絡が取れないことを示すメッセージのやりとり (夫の知人も連絡が取れないことを確認する必要あり) | 
| 強度の精神病で回復の見込みが無い | 専門医の鑑定・診断書 | 
| その他婚姻を継続しがたい重大な事由 | 下の表に続く | 
「不貞行為」は先述の通り、「肉体関係」があったかどうかが争点になるため、単に「浮気・不倫」を示すだけの証拠だと弱いです。
肉体関係について言及しているメッセージのやりとりや、ラブホテルに入っていく写真などがあればベストです。
なお、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」については、さらに細分化されます。
| 婚姻を継続しがたい重大な事由 | 有効な証拠 | 
|---|---|
| DV・モラハラ | ・DV・モラハラを示唆するラインのやりとり ・映像・録音 ・DV・モラハラを受けた日の日記・メモ ・医師の診断書など | 
| 相手親族との不和 | ・親族との集まりで夫が映っていない写真 ・親族と会うのを拒んでいることを示唆するラインのやりとりなど | 
| ギャンブル、浪費、借金癖 | ・夫名義の借入履歴 ・夫が大金をを引き出していることがわかる預金通帳など | 
| 性の不一致 (セックスレス) | ・セックスレスについて記した日記など ・性行為を断られたメッセージのやりとり | 
| 長期の別居 | ・別居について記した日記など ・別居期間中のメッセージのやりとり (無断で別居したことがわかるもの) | 
上で紹介したような証拠があれば、夫が「離婚したくない」と言っても、あなたの主張通り離婚できる可能性がグッと高まります。
4.【有利に進めるポイント②】女性が夫からお金を多く獲るには

続いて「有利な離婚」の要素の2つめに挙げた、「夫からお金を多く獲る」(厳密には「請求する)ことについてです。
当然、お金は多くとれた方がお得ですし、離婚後のあなたの生活が楽になるという大きなメリットがあります。
お金を多くとって離婚を有利に進めるには、「どんな名目でお金を夫に請求できるのか把握する」ことと「そのお金を請求するのに役立つ証拠を多く集める」ことがポイント。
【夫に請求できる5つの名目】
- 共有財産
- 婚姻費用
- 慰謝料
- 養育費
- 年金分割
なお、これらは離婚が決まれば自動的にもらえるわけではなく、あなたがしっかり請求しなければ、お金が取れなかったり、金額が低くなってしまいます。
例えば、「婚姻費用(後の項目で解説)」が請求できるのに、婚姻費用の存在を知らなければ当然請求できませんし、請求しなければ払われることはありません。
そこでここからは、夫に請求できるお金について紹介しつつ、そのお金を多く支払ってもらうためのポイントを解説していきます。
1)共有財産
共有財産とは、「婚姻中に夫婦が協力して築いた財産」を指し、離婚時に「財産分与」の対象となるものです。
共有財産は以下のように、さまざまな種類の財産が該当します。
【共有財産】
- 現預金
- 不動産
- 有価証券
- 美術品
- 家具・家電
- 退職金など
上記のような共有財産を分け合う割合は、原則としてちょうど半分ずつです。
実際に夫婦のどちらが稼いだお金かは関係ありません。
あなたが専業主婦で、生活費は夫が仕事で稼いだお金だとしても、共有財産と判断されます。
妻が家事・育児をして家庭を支えているからこそ、夫婦が協力して財産形成・維持ができたと考えられるためです。
また、共有財産であれば名義が夫のものであっても問題なく請求できます。
ただし、住宅ローンなどの負債(マイナスの財産)も夫婦で共有することになるので注意しましょう。
①争点1:財産分与の割合が女性有利になるケース
共有財産を分け合う割合は、原則として夫婦2分の1ずつだと述べました。
しかし、財産を築く上での貢献度に差があると判断される場合は、どちらかの分け前が大きくなります。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
【財産分与の割合が2分の1にならないケース】
- 夫婦のどちらかが芸術家やスポーツ選手などで、個人の特別な才能や努力によって高収入を得ている
- 夫婦のどちらかが家事を全てやりつつ、仕事もして相手方と同程度の収入を得ている
- 夫婦の一方が倹約して貯蓄に努めていたのに対して、もう一方は浪費して散財している
女性側が有利になりやすいのは2つめに当てはまるケースでしょう。
あなたが家事をすべて引き受けつつ、仕事でも夫に劣らないお金を稼いでいた場合は、夫よりも財産形成の貢献度が高いと判断される可能性があります。

上記のように、貢献度に明らかな差がある場合は、財産分与の割合が6対4や7対3とされるケースがよくあります。
②争点2:夫の「特有財産」は請求できない
離婚する時点で夫婦が持っている財産が全て共有財産になるわけではありません。
夫婦の協力に関係なく築かれた財産は、「特有財産」と呼ばれ、財産を築いた方1人のものになります。
例えば、夫婦の一方が独身時代から持っていた財産や、結婚後に親からもらったり相続したりした財産などが挙げられます。
そのため、婚姻期間中に夫が親から相続した財産などは共有できないので、注意しましょう。
③共有財産を請求するために用意したい証拠
共有財産をきちんと請求するには、「どんな共有財産があるのか」を証明する資料が必要です。
【共有財産を請求するための証拠】
| 証明する財産 (婚姻中に築いたもの) | 証明するのに有効な資料 | 
|---|---|
| 預貯金 | 配偶者の預貯金通帳 (または通帳のコピー) | 
| 不動産 | 不動産登記簿 | 
| 生命保険の 解約返戻金 | 生命保険に関する書類 | 
| 株など | 証券口座の明細 | 
| 夫の退職金 | 就業規則や雇用契約書等 | 
特に夫の退職金などは、共有財産として請求し忘れてしまい、そのまま夫のものとみなされてしまうケースが少なくありません。
こういった名目でのお金をしっかり請求し、支払わせることができれば、あなたにとって「お得な離婚」になります。
また、預金明細などは、夫に警戒される前に証拠として入手しておくことが望ましいです。
財産分与を見据えて、夫にお金を使い込まれたり、隠し口座に移されたりするリスクがあるからです。
④財産分与をより有利にするために主張したいこと
財産分与をさらに有利に進めるには、以下のような方法があります。
【財産分与をより有利に進める方法】
- 「自身が財産形成に大きく貢献した」と主張する
- 自分の特有財産を多く申告する
(1.)「自身が財産形成に大きく貢献した」ケースとは、先述したように「あなたが家事をすべて引き受けつつ、仕事でも夫に劣らないお金を稼いでいた」ケースなどです。
これを主張するには、あなたが毎日家事をやっていた記録(日記など)と、夫婦2人の給与明細などがあればいいでしょう。
(2.)自分の特有財産を多く申告するには、預金通帳を結婚する前の記録までさかのぼり、結婚前までに貯金していた金額を示すことなどが有効です。
2)婚姻費用
「婚姻費用」とは、家族(夫婦と未成熟の子ども)が、生活を維持するために必要な生活費のことです。
民法では、この「婚姻費用」を夫婦で分担する義務があるとしています。
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
引用元:民法756条
これにより、夫婦が別居した場合、「婚姻費用」を分担するために、あなたの生活費を夫に支払えと請求できるわけです。
別居中であっても、法的に夫婦という間柄であるうちは、夫があなたの生活費を分担する必要があると定められているからです。
なお、子どもと一緒に夫から離れて別居している場合は、あなた自身の生活費と子どもの生活費をあわせて請求できます。
ただし、以下のように「あなたに責任がある」ケースでは婚姻費用の請求が認められない可能性があるので注意しましょう。
【婚姻費用がもらえないケース】
- 別居に至った原因があなたにある場合(あなたの浮気など)
- もっともな事情(DV・モラハラなど)もなく、あなたが勝手に別居した場合
①争点1:婚姻費用の金額
婚姻費用の具体的な金額は、夫婦の収入・子どもの人数・年齢などを総合的に考慮して、「月額いくら」という決め方をします。
実務では、上記のような事情を踏まえ、婚姻費用の支給額の目安をまとめた「養育費算定表」をもとに金額を決定することが多いです。
夫婦での話合いが成立せず、調停・審判となる場合にも、裁判所はこの「婚姻費用算定表」を使用して婚姻費用を算出します。
ただし、この算定表通りでは不公平となるような特別の事情があれば、目安よりも金額を上乗せできる場合があります。
例えば、別居中に急病で入院した結果、医療費が標準的な生活状況よりも増えた場合などです。
②争点2:いつからいつまでの婚姻費用がもらえるのか
「婚姻費用」は、請求した時点から離婚成立までの期間の分のみ請求できます。
逆にいえば、初めて請求をした日よりも遡って請求することはできないことが多いです。

例えば、別居してから1年後に婚姻費用を請求した場合、請求するまでの1年分の婚姻費用は請求できません。
そのため、すでに別居している方は今すぐに、これから別居する可能性がある方は別居するまでに請求するようにしましょう。
なお「請求したとき」とは、口頭やメールで相手方に支払いを請求するだけではなく、「調停を申立てたとき」と解釈されることも少なくありません。
夫と「婚姻費用」について合意できない場合は、調停を申し立てるのも早めにする必要があります。
③婚姻費用を多く請求するには
婚姻費用を多く請求するには、以下の3点がポイントです。
【婚姻費用を多く請求するポイント】
- 1日でも早く請求する
- 離婚を引き延ばす
- 標準的な生活状況よりも大きな出費がある場合は申告する
(1.)先述したように、婚姻費用は請求した時点からしかもらえないので、別居している方は1日でも早く請求しましょう。
(2.)「婚姻費用がもらえる期間」を伸ばすためには、逆に離婚(=婚姻費用の支払い終了)を引き延ばすことも効果的です。
とはいえ、もともと「離婚すること」が目的のはずなので、無闇に離婚を先延ばしにするのが得策ともいえません。
(3.)「標準的な生活状況よりも大きな出費」とは、先に出した例のような「急病で入院した場合の医療費」などです。
ただし、「通常生活していて必要になる範囲」の金額よりも釣り上げることはできません。
3)慰謝料
離婚における「慰謝料」とは、離婚によって被る精神的苦痛に対して支払われる賠償金のことを指します。
離婚の原因を作った(=有責配偶者)のが夫であり、その原因が「不法行為」だと認められた場合にのみ、夫に慰謝料を請求できます。
慰謝料の請求ができる夫の「不法行為」とは、具体的に、以下のようなものが挙げられます。
【慰謝料を請求できる不法行為】
- 不貞行為(肉体関係のある浮気・不倫)
- DV・モラハラ
- 悪意の遺棄(生活費を支払わない、正当な理由もなく一方的に家を出て行く等)
- 借金(浪費やギャンブル等で負ったもの)
- 性行為の拒否(セックスレス)
なお、金額の相場は、以下のようになっています。
【不法行為ごとの慰謝料相場】
| 不貞行為 | 100万円~300万円 | 
|---|---|
| DV・モラハラ | 50万円~300万円 | 
| 悪意の遺棄 | ~100万円 | 
| 借金・ギャンブル ・浪費癖 | 100万円から300万円 ただし、夫に支払い能力がないケースも多いので、 これより低くなることも多い | 
| 性行為の拒否 (セックスレス) | ~100万円 | 
ただし、離婚の慰謝料はさまざまな要素を考慮して算出されるので、あくまで目安として捉えてください。
②慰謝料を多く請求するために
慰謝料をより高く請求したい場合は、単に不貞行為やDV・モラハラなどの不貞行為が「あった」ことだけでなく、以下のような事実をセットで示しましょう。
【例:慰謝料を多く請求できるケース】
| 不法行為の内容 | 慰謝料が高くなるケース | 
|---|---|
| 不貞行為 | ・不倫の期間が長い ・不貞行為の頻度が高い ・浮気を「2度としない」と約束したのに破った ・「浮気していない」と嘘をついた ・誠実に謝罪しなかった | 
| DV・モラハラ | ・大きな怪我を負った ・大きな精神的苦痛を味わった | 
| 性行為の拒否 (セックスレス) | ・何度も誘ったのに毎回断られた ・断る時に暴言を吐かれた | 
いずれも、上記の事実を示すやりとりの記録(LINEメッセージや音声など)を証拠として提出してください。
4)養育費
「養育費」とは、子どもが自立するまでの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。
養育費には、子どもの衣食住に必要な経費に加え、教育費、医療費などが含まれます。
【養育費の計算に影響する要素】
- 子どもの年齢
- 子どもの人数
- 妻(あなた)の年収
- 夫の年収
(1.)(2.)子どもの年齢や人数は言わずもがな、影響を与えます。
(3.)(4.)また、養育費を請求する側(あなた)の年収と養育費を請求される側(夫)の年収も関係してきます。
あなたの年収が低ければ養育費は高くなりますし、夫の年収が高ければ、これも同じく養育費が高くなります。
養育費の金額は、家庭裁判所が公表している「養育費算定表」を目安として、上記の要素を考慮して計算されます。
この表をみると、例えば15歳未満の子ども1人で、あなたの年収が200万円、夫の年収が500万円(ともに給与所得)なら「4万円〜6万円」が目安となります。
①争点:養育費で考慮されていること
「養育費算定表」に記載されている養育費の金額はあくまで目安であり、実際に養育費を決める際は、各家庭ごとの事情も考慮されます。
というのも、養育費の計算の指標として用いられている「養育費算定表」では、子どもの衣食住に必要な経費に加え、教育費(公立学校を想定)、医療費などが考慮されています。
一方で、習い事や継続的な医療費(持病がある場合など)、私立学校の入学金・授業料などは考慮されていません。
そのため、例えば子どもが私立学校に通っている場合は、「養育費算定表」で想定されているよりも「教育費」が高くなります。
このようなケースでは、「養育費算定表」に記載されている目安よりもあなたがもらうべき養育費は高いと考えられます。
②養育費を多く請求するには
養育費を多くもらい、得をするには、以下のように主張するといいでしょう。
【養育費を高くする主張】
- 夫の収入を高くみせる
- 養育費の支払い期間を伸ばす
- 「養育費算定表」で考慮されていないお金を加算させる
(1.)養育費は夫の収入に応じて決められるため、夫の収入が高ければ、養育費も多く取れる可能性が高まります。
これを証明するには、夫の給与明細や賞与明細(またはコピー)をとっておき、夫が低い収入を申告できないようにしておきましょう。
(2.)養育費の支払い期間は、子どもが成人(18歳)するまで、大学卒業(4年制だと22歳)するまで、あるいはその間の20歳までなどと、当人どうしで決めます。
養育費の総額を増やすには、当然支払い期間が長い方が有利です。
そのため、4年制大学卒業の22歳までを支払い期間として主張するとよいでしょう。
(3.)「養育費算定表」で考慮されていないお金(先の項目で解説)というと、具体的には以下のようなお金があります。
【養育費に加算するお金】
| 増額するお金 | 増額が期待できるケース | 
|---|---|
| 私立学校の入学費や授業料 | ・すでに私立学校に通っている、入学が決まっている ・夫が私立学校への進学を承諾している ・夫の収入・資産の状況や親の学歴、地位などから私立学校への進学がふさわしいと判断される | 
| 習い事の費用 (学習塾やスポーツなど) | 子どもの夢や職業・進学に習い事が不可欠であり、夫もそれを認めている | 
| 医療費 | 持病の治療や歯列矯正などがあり長期的・定期的な医療費がかかることがわかっている | 
「増額が期待できるケース」に当てはまる方は、増額を狙ってみるといいでしょう。
5)年金分割
「年金分割」とは、婚姻中に夫婦が納めた厚生年金の「年金保険料」を離婚時に分け合う制度です。
婚姻中に夫婦が納めた厚生年金の積立金は夫婦の共有財産として扱われるためです。
そのため、先述の「共有財産」の1つとも考えられますが、多くもらう(得をする)方法が少し特殊なので、個別に解説していきます。
なお、年金分割の対象となるのは「厚生年金」だけです。
以下のような年金は、年金分割の対象とならないので注意しましょう。
【年金分割の対象外】
- 国民年金
- 国民年金基金
- 確定給付企業年金
したがって、夫が自営業であったり、夫婦とも婚姻中は国民年金のみに加入し、厚生年金や共済年金に加入していなかったりした場合は、そもそも年金分割ができません。
①争点:年金分割の方法が2つある
年金分割には、以下の2種類の分割方法があり、それぞれ分割される年金の範囲が異なります。
【2種類の年金分割】
| 年金分割の方法 | 説明 | 
|---|---|
| 合意分割 | 婚姻期間全体について厚生年金の保険料の納付記録が分割される | 
| 3号分割 | 平成20年4月以降に被扶養配偶者であった期間の厚生年金の保険料の納付記録しか分割されない | 
どちらの範囲から分割する方があなたにとってお得か、ケースによって異なるということになります。
そのため、年金分割を有利にするには、あなたにとってどちらの分割方法の方がお得かを考える必要があります。
②年金分割を有利にするには
多くのケースでは、年金分割を求める側の配偶者(あなた)にとって、「3号分割」よりも「合意分割」を選択したほうが有利です。
一方で、被扶養配偶者であった期間が主に平成20年4月以降で、婚姻期間中に被扶養配偶者でなかった時期の収入が相手方配偶者(夫)よりも高額だった場合は「3号分割」をした方が有利になります。
話を切り離してわかりやすくすると、以下の2点を満たすケースでは「3号分割」の方が有利ということです。
① 平成20年4月ごろまで共働きで、それ以降夫の扶養に入った
② 共働きの時期の収入はあなたの方が夫よりも高かった
とはいえ、ほとんどのケースでは「合意分割」の方が有利です。
また、年金分割は特に、有利・不利の判断や取り決めが複雑でわかりにくいため、弁護士を頼るのが無難でおすすめです。
「年金分割制度を利用したい、有利な分け方をしたい」という旨を伝えて、下調べや手続きをお願いしてみてください。
5.【有利に進めるポイント③】女性が親権を獲る方法

離婚を有利に進めるためには、「子どもの親権に関する取り決め」も外せません。
子どもに関して、あなたが有利にできる要素は以下の2点です。
【子どもについて有利に取り決めたいこと】
- 親権:あなたが獲得する
- 面会交流:夫の面会交流を最低限に制限する
(1.)親権とは、子ども一人前に成熟した社会人とするために養育する権利(であり義務)です。
母親でこの記事をご覧の方は、親権を必ず獲得したいと考えている方も多いでしょう。
子どもが幼いケースでは、母性優先の原則の考え方から基本的に親権は母親が獲得することが多いです。
ただし、親権はあくまで「子どもにとって利益が大きい方」がとるべきだと考えられており、単に「母親だから親権者になれる」ということはありません。
確実に親権をとりたいと考えるなら、親権者が決められる基準を把握し、親権争いを有利にする証拠を集めるとより安心です。
(2.)親権だけでなく、「面会交流」についても取り決めすることが通例です。
「面会交流」とは、親権者にならなかった側の親(父親)と子どもが定期的に会ったり電話で話をしたりして交流することをいいます。
この面会交流についても、頻度や場所を「制限」することであなたにとって有利になります。
1)争点:親権は原則「子どもの世話をしていた方」がとれる
親権者は「子どもの世話をしていた方の親」に決まるのが一般的ですが、厳密には以下の要素を考慮し、「子どもにとって利益の大きい方」が親権を獲得できます。
【子どもにとっての利益とは】
- 【最重要】どちらが子どもの世話をしていたか
- 子どもに対する愛情
- 子育てに適した年齢や健康状態か
- 子どもを養育する環境(資産、収入、職業、住居、生活スタイルなど)
- 親族の援助(経済的支援や自分が病気や仕事で子育てできないときに代わりに子育てを手伝えるかなど)
- 子ども自身の気持ち
さまざまな要因が挙げられはしますが、2つめ以降の要因は、夫婦によってそれほど差があるわけでもありません。
なお、資産や収入、職業は離婚の際の財産分与や養育費などで解決できるため、そこまで重要視されません。
したがって、子どもにとって利益が大きいのは、基本的に「子どもの世話をしていた方の親」に育てられることだとされています。
そのため、親権を争われた場合は、婚姻中に主にどちらが子どもの世話をしていたのかが論点になります。
今まであなたが子どもの世話を夫よりもやってきたという事実があれば、あなたが有利です。
2)親権争いを有利にするには「子どもの世話をしていた証拠」を集めよう
婚姻中に子どもの世話をしていたのはあなたの方だと明確に判断できる場合は、あなたが問題なく親権を取れるでしょう。
しかし中には、子どもの世話を役割分担していて、どちらともいえないケースや、夫が親権欲しさに「自分が子どもの世話をしていた」と主張してくることも考えられます。
上記のようなケースにおいて、親権争いを有利にするためには、「子どもの世話をしていた」証拠を確保することが大切です。
子どもの世話として考慮される行為と、それを証明するのに有効な証拠は、以下のようにまとめらえます。
【親権争いに有効な証拠】
| 子育てにあたる行為 | 有効な証拠 | 
|---|---|
| 子どもの食事を作っていた | 献立表などの料理の記録 | 
| 子どもの健康管理をしていた | 子どもを病院に連れて行った記録、病院の領収書 | 
| ・子どもと風呂に入っていた ・子どもと一緒に就寝していた ・子供を学校まで送迎していた等 | 日記など | 
| 子どもの学校行事に参加していた | PTA関係の書類など (議事録や役員表など) | 
上記のような証拠を確保して、あなたが夫よりも「子どもの世話をしていた」ことを示れば、親権を獲得できる可能性がより高まります。
3)争点:面会交流は原則「拒否」できない
先述したように面会交流とは、父親(あなたにとって元夫)と子どもが定期的に会ったり電話で話をしたりして交流することです。
夫と感情的確執があって離婚する場合、「子どもを夫にあわせたり、関わらせたくない」と考える方も少なくないでしょう。
しかし残念ながら、面会交流は、あなたが拒否したくても原則として拒否できません。
拒否できるケースは、以下のように「明らかに子どもの利益を損なう」と思われるケースに限られます。
【面会交流を拒否できるケース】
- 子どもまたはあなたに暴力を振るっていた場合
- 子どもが自分の意思で面会交流を拒否している場合
- 面会交流時に夫が子どもを連れ去るリスクがある場合
- 不健全な場所に連れて行ったりした実績がある場合
実際、ここまで表面的に子どもに害をなしているケースは少ないでしょうから、やはり面会交流は原則として拒否できないといえます。
親どうしの関係が悪くても、子どもにとっては「父母のどちらからも愛されている」と自覚することが、子どものメリットだと考えられるためです。
4)面会交流をある程度「制限」することはできる
面会交流は原則拒否できないと述べましたが、その頻度や交流方法について、ある程度「制限」をかけることはできます。
というのも、面会交流は、交渉によって、以下のようにあらゆる条件を取り決めできます。
【面会交流の条件】
- 面会交流の頻度、場所、時間帯
- 送り迎え、待ち合わせの方法
- 学校行事やイベントに参加するか
- 宿泊について
- 母親同伴にするか
- 連絡方法
上記のような条件を決める際、以下のようにあなたに有利な面会交流にすることはできます。
【母親側に有利な面会交流の条件】
- 面会交流の頻度は数ヶ月に1回(週1回〜月1回程度が相場、それよりも低頻度にする)
- 宿泊はなし
- 学校行事への参加はなし
- 必ず母親(あなた)が同伴する
上記のような制限をかけることで、子どもと父親の距離を離したり、あなた自身のストレスを軽くすることができるでしょう。
ただし、これらは協議離婚なら相手(夫)との合意、調停なら調停委員に認められる必要があります。
調停で面会交流の条件を決める場合は、弁護士に希望の条件を相談し、「どう主張するか」アドバイスをもらいましょう。
6.不利になるからダメ!女性が離婚前にやってはいけないこと

ここまで離婚を有利にするために「やるべきこと」を解説してきましたが、逆にやってはいけないことも存在します。
【離婚を有利にするためやってはいけないこと】
- 準備なしで夫に離婚を切り出す
- 不用意に約束する
- 正当な理由なく、勝手に別居する
- 別居中に不倫する
- 財産を隠す・持ち出すこと
上記のようなことを「やってはいけない」のは、いずれも離婚の協議や調停であなたが不利になってしまうからです。
それぞれの「やってはいけないこと」について個別に解説していきます。
1)準備なしで夫に離婚を切り出す
先の項目で、離婚準備は夫に知られないよう、「内密に」するのがコツだと述べました。
逆にいえば、準備なしに、いきなり夫に離婚を切り出すと、あなたが不利になってしまうともいえます。
あなたが離婚を切り出せば、夫も離婚を意識することになり、以下のように不利な状況になる場合があります。
【不利な状況】
- 証拠や資料を集めにくくなる
- 先に弁護士を立てられる
- 離婚条件について話し合うまでもなく離婚が成立してしまう
(1.)夫が離婚を意識することで、証拠や資料集めを警戒され、集めにくくなる可能性があります。
例えば、夫が浮気をしていた場合は、その浮気の証拠を隠したり、消したりされるリスクが高まります。
(2.)夫に先手を打って弁護士を立てられると、離婚を有利にするための動きを先に夫にとられ、あなたからすると不利になってしまいます。
(3.)夫が離婚について意外に前向きだった場合、「離婚条件」について話し合うまでもなく離婚が成立してしまう恐れもあります。
慰謝料や婚姻費用などの「お金」についての話し合いが十分にできず、離婚届がまとめられて、本来請求できたはずのお金が取れないことになります。
このような事態を防ぐため、準備なしでいきなり離婚を切り出すのはやめましょう。
夫婦喧嘩した時など、感情の勢いで「離婚」と口に出てしまうようなケースにも注意してください。
3)不用意に約束する
夫と離婚条件について話しているときに、離婚条件について不用意に約束をするのはやめましょう。
夫への嫌悪が募ってくると、「もう慰謝料とかいらないから出てって」など言いたくなる瞬間があるかもしれません。
特に、上記のような発言をLINEやメールなど、データに残る形でするのはNGです。
日常生活の中のちょっとしたやりとりでも、「”慰謝料をいらない”と言った」という立派な証拠になってしまうためです。
離婚時の「お金」や「親権」についての発言には自分自身で注意することが大切です。
弁護士に相談するか、自分自身でしっかり考えて結論が出てから発言するようにしましょう。
4)正当な理由なく勝手に別居する
正当な理由なく、勝手に別居することも、あなたを不利にする原因になります。
正当な理由とは、離婚事由として十分認められるような重大なものです。
【別居の正当な理由】
- DV・モラハラ
- 子どもへの虐待
- アルコール依存症・薬物中毒などで手に負えない
- 過度な宗教活動を押し付けてくる
多くの家庭では、ここまで重大な事由はなく、単に性格の不一致で家を出ていくようなケースが多いでしょう。
しかし、上記のような正当な理由なく、夫も別居に反対しているのに勝手に別居するのはNGです。
夫婦の義務を放棄した「悪意の遺棄」とみなされ(=あなたが有性配偶者になってしまう)、あなたを不利にしてしまうからです。
一方で、相手(夫)も別居を望んでいる場合は、「別居」という事実が順当に「婚姻が破綻している」ことを示す事実になるため、むしろプラスです。
別居自体がダメなわけではありません。
別居したいと思った時は、一度冷静になって、「正当な理由があるか?」「勝手ではないか?」と考え直してみてください。
5)別居中に不倫する
別居中に不倫をするのもやめましょう。
実際に不貞行為がなくても、疑わしい行為(夜に自宅へ招くなど)もやめた方がいいです。
写真をとられたり、何らかの形で証拠として突きつけられれば、あなたの不倫が離婚の原因」「不倫するために別居したのではないか」と判断されかねません。
別居中の不倫によってあなたが「有責配偶者」だと判断されれば、むしろあなたが慰謝料を請求される立場になってしまうかもしれません。
夫以外の男性と関係を持つときは、「離婚してから」と区切りをつけてからにしましょう。
5)財産を隠したり持ち出したりする
離婚を決意した場合に、財産分与に備えて財産を持ち出したり、財産を隠すこともNGです。
例えば、夫婦で使っていた家具・家電・雑貨などを勝手に売り払ったり、別居中の家に持ち出して隠したり、夫婦共有の口座から預金を移したりといった行為です。
財産を隠したり持ち出したりしても、夫に気づかれれば調停委員会等から持ち出した財産を戻すように言われてしまいます。
預金を隠したケースについていえば、通帳の開示を求められて財産隠しが発覚するケースも少なくありません。 発覚した場合、裁判所への印象を悪くすることになりますし、当事者間での対立をいたずらに深めることにもなります。
また、財産隠しや持ち出しによって夫が損害を被った場合には、不法行為として損害賠償請求をされることも考えられます。
7.知って得する「女性が離婚を決めたらする事!」

離婚を真剣に考えているなら、「離婚条件」を有利にすることばかり気にしてはいられません。
離婚後の生活を安定させるためには、以下のような準備をしておくことが必須です。
【離婚前に必要な準備】
- 貯金しておく
- 離婚後に住む家を探す
- 離婚後の仕事を探す(専業主婦の場合)
上記のような準備は、離婚後の生活を円滑にするだけでなく、夫との話し合いでも弱みを出さない(=有利にする)ことにもなりえます。
「離婚するといっても子どものことがあるから難しいでしょ」とか「働いていないのに離婚して大丈夫なのか?」などと言われて怯まないように、離婚後の生活の目途を立てることが大切です。
以下の項目では、それぞれの準備について解説していきます。
1)貯金しておく
離婚の準備段階〜離婚後の生活に至るまで、離婚前後にはかなりのお金がかかります。
必要なお金は場合によって異なりますが、100万円〜300万円ほど貯金していれば安心だと言われています。
【離婚前後に必要な費用】
- 離婚で弁護士に依頼する場合の弁護士費用
- 引越しの初期費用(敷金・礼金など)
- 家具・家電の購入費用
上記のほか、現在専業主婦で、離婚を機に仕事を始める場合、最初の給料が入るまで1ヶ月〜数ヶ月分の生活費が必要です。
それらを見据えて、離婚前になるべく多く貯金をしておくことが望ましいです。
とはいえ、専業主婦などの方は、「弁護士を立てたいけど、離婚前にそんなにお金を作れない」という方も少なくないでしょう。
このような方は、弁護士費用が大幅に安くなり、初期費用の立替までしてくれる「法テラス」から弁護士に相談するのがおすすめです。
2)離婚後に住む家を探す
離婚後に現在住んでいる家から引っ越す場合は、離婚後どこに住むかも準備期間に考えておきましょう。
引っ越し自体は手続きのことなども考慮して、離婚成立後にされるケースがほとんどです。
しかし、離婚後の負担を減らすため、引っ越す家、あるいは引っ越す地域の見当をつける作業までは離婚前にしておくのがおすすめです。
子どもを引き取る場合は、子どもが転校しなくていいように近場で新居を探すか、生活水準を落とすため一等地を離れるか、はたまた一時的に実家に帰るなど、選択肢はさまざまです。
3)離婚後の仕事を探す(専業主婦の場合)
現在専業主婦の方は、離婚すれば当然自分自身で働き、お金を稼がなければなりません。
お仕事は一朝一夕で見つけることができません。
特に、子連れ離婚の場合は、子育てとの両立ができる職場を探す必要があるため、仕事探しに難航する可能性がおおいにあります。
そのため、離婚が成立してから仕事を探すよりも、離婚前の準備段階で仕事を探しておいた方が安心です。
なお、子育てとの両立のため、さまざまな条件の中でお仕事を探したい方は、「母子寡婦福祉団体協議会」などの支援団体を頼るのも1つの手です。
母子家庭・シングルマザーを支援する支援団体では、子育てと両立できる職場探しなどに協力してくれます。
まとめ
女性は、「離婚できるかどうか」「お金を多く取れるかどうか」「親権を取れるかどうか」という3点について、有利に離婚を進められます。
離婚を有利に進めるためのコツは以下の4つで、お金を多くとるためにも、親権をとるためにも、全てにおいて重要です。
【離婚を有利に進めるための4つのコツ】
- 離婚の情報について多く知っている方が有利
- 証拠を多く集めた方が有利
- 早めに弁護士に相談・依頼した方が有利
- 密かに準備した方が有利
例えば、お金を多くとるには、共有財産や婚姻費用など、請求できるお金をしっかり把握して、そのお金を請求するための証拠を集めることが大切です。
そのほか、むしろ離婚を不利にしてしまう「やってはいけないこと」も存在します。
例えば、「正当な理由なく、勝手に別居する」ことや、「財産を隠したり持ち出したりする」行為です。
また、離婚後の生活を安心して迎えるために、貯金や仕事探しもしておきましょう。
本記事で解説したことを賢く実践して、あなたにとって有利な離婚を叶えてください。
 
       
   
   
   
  