離婚の無料相談は市役所で!3つのメリットと活用法を弁護士が解説

離婚の無料相談は市役所で!3つのメリットと活用法を弁護士が解説

夫の不倫、DV、モラハラやセックスレス。

離婚を検討しているものの、弁護士に相談すると高そうだし不安ですよね。

できれば無料で相談したい

そんなあなたには市役所(区役所)でする離婚の無料相談がおすすめ

ただ役所の無料相談は、無料であることと引き換えにデメリットもあります。

そこで今回は、市役所(区役所)で離婚の無料相談について、どこまで無料なのか、利用する手続きやメリット・デメリットなどについて弁護士が解説します。

【この記事でわかること】

  • 市役所の離婚相談では弁護士のほか悩みに応じた専門家が対応する
  • 原則なんでも相談できるが、離婚協議書などの書類作成は相談できない
  • 相談時間は20分〜30分と短く、原則年1回しか無料で相談できない
  • 市役所の離婚相談は、予約制だが、電話予約するだけで利用できる
  • 市役所以外で無料で弁護士に離婚相談できる3つの方法について(各メリット・デメリット)

なお、離婚相談に限らず市役所(区役所)での無料相談でできること、メリットや注意点について詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。

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1.離婚の悩みに適した専門家

市役所の離婚相談で対応してくれる弁護士その他の専門家

市役所(区役所)の無料相談とは、市区町村に住んでいる方が、自身のお悩みを弁護士などの専門家に無料相談できる仕組みです。

離婚トラブルなら弁護士が、夫婦のお悩みなら家事問題カウンセラーなどの専門家が対応してくれます。

このように市役所(区役所)の離婚相談では、あなたのお悩みにフィットした専門家が無料で相談を受けてくれます

市役所(区役所)によっては「女性法律相談」といって女性弁護士による女性のための法律相談を受け付けているところもあります。

どういった専門家がいるのかは、お近くの市役所(区役所)のホームページで確認できます。

【参考:川口市役所の専門家リスト

種類 相談の内容 専門家
法律相談 不倫、養育費などの離婚トラブル 弁護士
女性法律相談 夫によるDV・モラハラなどの相談 女性の弁護士
ファミリー相談 結婚、離婚、夫婦、親子、親族、子育て
生きがい、家庭内トラブル
家事問題カウンセラー

2.離婚の悩みなら何でも相談OK

市役所(区役所)では、離婚や夫婦トラブルに関することなら原則どんなお悩みでも弁護士に相談できます

普通なら「こんなこと相談してもいいのかな」といった何気ないことでも気軽に相談できます。

1)弁護士に相談できること

市役所(区役所)でされる離婚相談の例を紹介します。

【役所でされる離婚相談の例】

  • モラハラやセックスレスで離婚できる?
  • 不倫の証拠は何を集めればいい?
  • 慰謝料はどのくらいもらえる?
  • 親権はとれる?
  • 養育費はいくらもらえる?
  • 財産分与はいくらもらえる?
  • モラハラ・DVされてる場合どう対応すべき?
  • 弁護士費用はいくらかかる?

2)弁護士に相談できないこと

ただし、市役所(区役所)によっては以下の離婚のお悩みについては相談できないことがあります。

【相談できない離婚のお悩みリスト】

  • 離婚協議書や公正証書等の作成・チェック
  • 調停に提出する書類の作成・チェック
  • 進行中の離婚調停や裁判に関する相談
  • すでに弁護士に相談している離婚案件の相談
  • 不倫相手と交渉をすること

多くの市役所(区役所)では、離婚協議書などの書類を作ったり、不倫相手と交渉するなどの「作業が伴うもの」は相談できません。

あなたのお悩みが本当に相談できるのかは、近くの市役所(区役所)の職員に聞いてみましょう。

3.離婚相談は無料(0円)

弁護士事務所で離婚の相談をすると、少なくとも5,500円【税込】/30分かかります。

これに対し、市役所(区役所)では、弁護士に相談できるのに相談料は無料(0円)です。

ただ、無料であることの裏返しとして市役所(区役所)の離婚相談には5つのデメリットがあります。

4.【デメリット①】相談時間が約20〜30分しかない

市役所(区役所)の離婚相談は、1相談につき約20分(最大でも30分)しか相談できません

自分の相談したいことをわーっと話すと、あっという間に相談時間が終わります。 聞きたいことをしぼって相談しましょう。

時間制限があるのは、市役所(区役所)の離婚相談が無料で人気だからです。

5.【デメリット②】相談できるのは平日の日中だけ

市役所(区役所)の無料相談は原則として平日の10時〜16時にのみ行われます

そのため、日中働いていて平日に役所を訪れるのが難しい方は、市役所(区役所)で離婚相談するのは難しいでしょう。

ただし、市役所(区役所)によっては夜間や土日祝日での無料相談を行っているところもあります

福岡市のチケット法律相談

例えば、福岡市では「チケット法律相談」といって、毎月先着40名にのみ土日祝日でも相談できるチケットを配っています。

お近くの市役所(区役所)で土日祝日・夜間での無料相談を行っているかは役所のホームページで確認できます。

6.【デメリット③】離婚に強い弁護士を選べない

1)弁護士の専門性を選べない

市役所(区役所)の無料相談では、離婚に強い弁護士を選ぶことはできません

弁護士にも医者と同じように”専門”があります。専門外の部分については全くやったことがないことも実は結構あります。

この点が心配なら、離婚に強い弁護士のいる事務所へ相談するのが早いです。

2)弁護士が力を入れない可能性

担当の弁護士は、積極的に自身への依頼を勧誘する”営業トーク”が禁止されています。 弁護士も人間のため、どうしても依頼につながらない相談には力が入らないこともあるでしょう。

とはいえ無料なので、とりあえず市役所(区役所)で離婚相談してみるのはおすすめ。

相談してもし「不安が残る」「欲しい答えがもらえなかった」と感じたら、後で説明するほかの無料相談の方法を使いましょう。

7.【デメリット④】弁護士にその場で依頼できない

市役所(区役所)の離婚相談では、その場で担当の弁護士に依頼ができません

理由は「相談したなら依頼しなきゃいけない」といったプレッシャーを感じることなく気軽に離婚相談できるようにするためです。

むしろ「無料で弁護士と話せてラッキー」ぐらいに考え、市役所(区役所)の離婚相談を活用しましょう。

8.【デメリット⑤】離婚相談は原則として年1回まで

無料でできることにはやはり限界があります。

多くの市役所(区役所)では無料の離婚相談は年1回しかできません。

これは無料相談がとても人気なこと、担当してくれる弁護士の数が多くないからです。

ただし、市役所(区役所)によっては月1回のペースで相談できるなど手厚いサポートをしているところもあります。

お近くの市役所(区役所)でも年1回の制限があるかについては、役所のホームページで確認しましょう。

9.市役所(区役所)で離婚相談すべき人・そうでない人

市役所で離婚相談すべき人

このように市役所(区役所)の離婚相談にはデメリットがあります。

どのような人が市役所(区役所)の無料相談を使うとよいのかみておきましょう。

1)市・区役所で離婚相談すべき人

市役所(区役所)の離婚相談は、誰に何を相談すべきかわからない方におすすめです。 弁護士の先生があなたを導いてくれます。

また、以下のお悩みをお持ちの方は市役所(区役所)の離婚相談を使うとよいでしょう。

【市役所の離婚相談がおすすめな人】

お悩み 市・区役所のおすすめ理由
離婚について何をすればいいのか あなたがすべきアクションを整理してくれる
弁護士事務所に行くのは気が引ける 市役所(区役所)は弁護士事務所に比べれば行き慣れている
離婚全体の流れが知りたい ちょっとした疑問でも気軽に答えてくれる
慰謝料の相場などお金の不安を解消したい
弁護士費用の相場を知りたい
慰謝料を請求したい
慰謝料を請求されてる
DV・暴力を受けてる
手順・やるべきこと・やってはいけないことなど最適な方法がわかる
離婚協議書などの書き方を知りたい 書類の添削はできないがどのように書けばいいのかのアドバイスをくれる

2)市・区役所で離婚相談すべきでない人

以下の方には市役所(区役所)の離婚相談はおすすめできません。

  • 問題点を整理できている
  • トラブルの”解決”まで望んでいる
  • 条件があえば弁護士に依頼したい人

市役所(区役所)は、問題点の整理やちょっとしたアドバイスをもらう分には最適です。

ですが、お悩みの解決までは至らないことが多く、かといってその場で弁護士に依頼することもできません。

そのため、すぐにでも弁護士に依頼して解決したい方は、弁護士事務所に直接行くのがおすすめです。

10.離婚相談するには電話予約だけでOK

市役所(区役所)の無料相談を利用するには、電話をかけて事前予約するだけ

電話で以下の3点を職員にお伝えください。

  • 無料の離婚相談を希望していること
  • 相談したいお悩みの内容
  • 面談を希望する日時

カンタンに予約がとれます。 なお、電話ではなく、市役所(区役所)の建物内にある窓口で予約をとることもできます。

面談は電話をした日から1・2週間後に組まれることが多いです。

11.離婚相談は「対面」のほか電話等でも相談可

市役所の相談は対面が原則

出典:東京都葛飾区の「区民相談室

市役所(区役所)の離婚相談は原則として対面で行います。 お近くの市役所(区役所)へ行き「相談室」と呼ばれる個室で弁護士と話すことになります。

同時に多くの市役所(区役所)では電話やオンラインでの無料相談も行っています。 役所へ行かずとも電話1本で相談できるのでとても便利です。

特にオンライン相談であれば、弁護士の顔をみながら電話で相談できるため、顔を見ながら話したい方にはおすすめです。

12.面談当日に注意すること

弁護士との面談当日になったら、以下のことに注意して面談に臨みましょう。

なお、弁護士への無料相談の際に気をつけるべき注意点について詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。

1)遅刻はしない

当日は10分前に市役所(区役所)へ到着し、窓口での受付を済ませてください。

この際、絶対に遅刻しないようにしましょう。

少しでも遅刻をすると年1回の無料相談できる権利を使ったことになり、最悪その年はもう無料相談ができなくなるリスクがあるからです。

2)弁護士に聞くべき3つのポイント

市役所(区役所)の離婚相談は20分〜30分と限られています。以下の3つの視点から質問するとよいでしょう。

  • 【ポイント①】大事な論点は何か
  • 【ポイント②】結論はどうなるのか
  • 【ポイント③】次のアクションは何か

抱えるお悩みのうち、弁護士目線で大事な論点は何かを整理してもらいます(ポイント①)。

その上で、裁判になった場合の見立てを聞きます(ポイント②)。 最後にあなたが次にとるべき具体的なアクションを教えてもらってください(ポイント③)。

13.事前に準備すべきこと

当日の離婚相談をスムーズにすすめるため、以下のことを準備してください。

1)あなたの目的を明確にする

あなたが最終的にどういった結果が欲しいのかを明確にしましょう

  • お金が欲しいのか(慰謝料など)
  • 怒りや悲しみの感情を満たしたいだけなのか

という視点が大事です。

その上でより具体的な目標を設定しましょう。 たとえば、「慰謝料が300万円ほしい」とか、慰謝料はいらないが「とにかく離婚さえできればいい」など。

目的をはっきりさせておくことで、当日の面談がスムーズに進みます。

2)質問のリストアップ

弁護士に質問したいことを箇条書きでまとめてください。

【参考例:離婚相談の質問リスト】

  • 【質問1】慰謝料はいくらもらえる?
  • 【質問2】親権は取れる?
  • 【質問3】家のローンはどうなる?

相談時間が限られているため、質問は3つ程度にとどめましょう。

3)離婚相談シートを埋めておく

以下でダウンロードできる離婚相談シート」を事前に埋めてください

離婚相談シートには2つの項目があります。

  • カルテ
  • 時系列表

「カルテ」はいつ結婚したか?などのYes・Noで回答できる質問をまとめたもの。

「時系列表」はトラブルの内容や背景となる事実を時系列順に記載するものです。

これを埋めて当日持参すれば、弁護士との面談がとてもスムーズになります。

14.離婚の無料相談を弁護士にできる3つの方法

弁護士へ離婚の無料相談ができる方法は市役所(区役所)を使う以外に3つあります 自分に合った無料相談の方法を選びましょう。

  • 法テラス
  • 法律相談センター
  • 民間の法律事務所

1)法テラスの無料相談

法テラスの公式サイト

法テラス」とは、法的トラブルを抱える人のうち、経済的に余裕のない方でも法律サービスを受けられるようにした国の制度です。

離婚トラブルについて、①相談時間が30分、②最大3回まで弁護士に相談できるため市役所(区役所)よりも手厚いです。

法テラスを利用するにはサポートダイヤル(0570-078374:おなやみなし)に電話してください。

専門オペレーターが弁護士との面談を予約してくれます。

ただし、法テラスで離婚相談をするには収入が一定の基準を下回っていることが必要です。 そのため、生活保護を受けているなど経済的に余裕のない人には法テラスがおすすめです。

【法テラスサポートダイヤルの受付時間】

受付の日付 受付の時間帯
平日 9時~21時
土曜日 9時~17時
日曜・祝祭日 お休み

なお、法テラスで離婚の無料相談をする場合のメリットや活用法については以下の記事をあわせてご覧ください。

2)法律相談センターの電話無料相談

法律相談センターの無料相談

東京弁護士会運営の法律相談センターが提供する”電話無料相談”もあります。

「電話無料相談」は、弁護士に電話で無料相談できるサービスです。

利用するには、法律相談センター(0570-200-050)に電話をかけるだけ。 その場で弁護士に離婚相談できます。

受付時間は平日10:00から16:00の時間帯のみ。 予約や訪問が不要なので、気軽に利用できるのがメリットです。

ただし、15分間しか相談できない、②東京都内にいる方しか利用できないデメリットがあります。

そのため、東京にお住まいの方や役所へ行く時間を作れない方にはおすすめです。

【法律相談センターの無料電話相談】

離婚の電話相談 借金の電話相談
電話番号 0570-200-050 0570-071-316
受付時間 10:00~16:00
(月~金、祝祭日を除く)
・10:00~12:00
・13:00~15:00
(月~土、祝祭日を除く)
相談時間 15分程度 10分程度
通話条件 東京都内からのみつながる。
IP電話、PHSはつながらない
通話料 あなたが負担
メモ 面接相談の予約や事件の依頼もできる。
費用が発生する場合あり。

3)無料相談できる民間の法律事務所

弁護士業界にもインターネットがに普及したことで、ネット検索でカンタンに弁護士に相談できるようになりました。

初回相談が無料の弁護士も増えています

ネットで探すメリットは、市役所(区役所)ではできない離婚に強い弁護士を選べること。

ただし、①初回相談のみ無料なこと、②地域によっては無料相談できる弁護士がいないのがデメリット。

論点が整理できていて、条件があえば弁護士に依頼したいと考えてる人は、ネット経由で弁護士を探すのをおすすめします。

  • お住まいの地域 × 離婚 × 無料相談

と検索すれば、初回相談無料の弁護士事務所がいくつかヒットします。

気軽に問い合わせてみましょう。

まとめ

今回は、市役所(区役所)の無料相談をはじめ、弁護士に無料で離婚相談する方法を紹介しました。

市役所(区役所)の無料相談には20分〜30分の時間制限、年1回しか相談できないなどの条件があります。

ですが、弁護士事務所へ行くのは気が引ける方や、とりあえず相談したい方には、市役所(区役所)の離婚相談がおすすめ

他方で、条件さえあえば弁護士に依頼したいと考えている人には市役所(区役所)の離婚相談は遠回り。

離婚に強い弁護士をネットで探して相談するのが近道です。

このように、あなたの置かれている状況に応じて弁護士への無料相談サービスを使い分けましょう。

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弁護士/シリアルアントレプレナー 司法試験合格後、LegalTech Startupを起業。数度のファイナンスを経た後M&Aを通じた事業売却を経験するなど、複数回の大型調達・EXITを経験。事業計画と投資家コミュニケーションに強みを持つクローザータイプの弁護士。

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