広告・景品規制
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景表法違反となる広告は?実際にあった事例9つを使って弁護士が解説

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はじめに

自社の商品やサービスを多くの人に広めるための広告やパッケージ表記。

もっとも、その内容について「なんとなく書いてはいけないことが決まっているのは知っているけど、詳しいことはよくわからない……」という事業者の方は多いのではないでしょうか。

これらの文言は「景品表示法景表法)」という法律がルールを決めています。

広告などにおいて、景表法上のルールに違反した表示をしてしまうと、罰則のほか、課徴金の納付を命じられる可能性があり、事業者にとっては、経済的な損失はもちろんのこと、信用を失うことにもなりかねません。

そこで今回は、実際に景表法違反を指摘された事例を使って、どのような表示が問題となったのか、また、どのような点で問題なのかなどについて、弁護士がわかりやすく解説します。

1 景表法とは

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景品表示法景表法)」とは、商品やサービスに係る広告の表示などを規制する法律です。景表法は、文字通り「景品類」を規制する法律でもありますが、この記事では「表示」に関する規制にフォーカスしてご説明します。

景表法が、「不当表示」として規制する表示は、以下の3つです。

  1. 優良誤認表示
  2. 有利誤認表示
  3. その他誤認されやすい表示

(1)優良誤認表示

優良誤認表示」とは、

  • 実際の商品やサービスの内容よりも、著しく良いものである
  • 商品やサービスが、競合他社よりも著しく優良である

と消費者に誤認させるおそれのある表示のことを言います。

たとえば、消費者に「表示内容から良いものだと思って買ったのに、実際はそうではなかった」と誤認されるおそれのある表示が、これに当たります。

(2)有利誤認表示

有利誤認表示」とは、

  • 実際の商品やサービスの取引条件よりも、著しくお得感がある
  • 商品やサービスが、競合他社の取引条件よりも著しく得をする

と消費者に誤認させるおそれのある表示のことを言います。

たとえば、消費者に「価格にお得感があると思って買ったのに、実際はそうではなかった」と誤認されるおそれのある表示が、これに当たります。

(3)その他誤認されやすい表示

その他、特に誤解を招きやすい広告の表示として、内閣総理大臣が指定する6つの表示があります。

  • 無果汁の清涼飲料水
  • 商品の原産国
  • 消費者信用の融資費用
  • 不動産のおとり広告
  • おとり広告
  • 有料老人ホーム

次の項目からは、実際の事例を元に、どのような部分がNG表示だったのかを見ていきましょう。

※景表法上の「不当表示」について詳しく知りたい方は、「「誇大広告」とは?押さえておくべき4つの法律と罰則を分野別に解説」をご覧ください。

2 虚偽・誇大広告であると指摘されたケース(優良誤認表示)

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うそや誇張表現を使った広告であると指摘されたケースです。

(1)虚偽表記、誇大広告とは

広告などにおいて「事実ではない記載をすること」「実際のものと比べて、著しく良いものと誤認させるような表現」を使うと、虚偽表記、誇大広告として、優良誤認表示に当たるため、景表法では禁止されています。

以下で、この点が問題となった実際の事例について、見ていきましょう。

(2)事例

【事例①】LINEモバイル

    「エントリーパッケージ」という商品の説明で「エントリーパッケージを事前にご購入いただくことで、お申し込み時に必要な登録手数料が不要となります」と記載

この事例では、エントリーパッケージを購入することで、LINEモバイルが提供する通信サービスの全ての登録事務手数料が無料になるかのような表示をしていたことが問題となりました。

実際には、同社が提供する通信サービスのうち、「LINEフリープラン」内の「データSIM」サービスには登録事務手数料無料が適用されていませんでした。

消費者庁は、問題となった上記表示がエントリーパッケージについて「実際のものよりも著しく良いものに見せるもの(優良誤認表示)」と指摘しました。

この事例は、「課徴金納付命令」の対象となり、LINEモバイル株式会社は243万円の納付を命じられました。

課徴金制度については、後の項目で説明します。

【事例②】子供用救命胴衣

    「ジュニア用フローティングベスト」という名称で販売している子供用ライフジャケットの取扱説明書に「もちろん、浮力については、運輸省「小型船舶安全規則」に定める、7.5kg/24時間(小児用は5kg)以上の性能を備えています。」と表記

この事例では、ジュニア用フローティングベストが、小型船舶安全規則に定める5kgの質量を水中で24時間支えることができる浮力を備えているかのように表示されていた点が問題となりました(実際は、5kgの重りが20秒で沈んだ)。

東京都は事業者に対し、この表示の根拠となる裏付資料の提出を求めましたが、事業者は期限までに資料を提出しませんでした。

問題となった表示は、一般消費者において、ジュニア用フローティングベストが実際のものよりも著しく優良であると誤認するおそれのあるものとして、優良誤認表示に当たるとされています。

この事例では、問題となった表示が景表法に違反するものであることを、一般消費者に周知徹底することや今後同様の表示を行わないことを命ずる措置命令が下されています。

【事例③】viagogo

    チケット転売仲介サイト「viagogo」を、イベント興行主による公式チケット販売サイトと勘違いした消費者が、誤ってチケットを購入するケースが続出
    同サイトでは「購入希望者が多いため、購入完了まで6分とさせていただきます。完了できない場合は、お客様のチケットは一般に販売されることになります。もうすぐ完売」などの表示がされていた

上記の表示があることにより消費者は「早くしないとチケットが購入できなくなる」との思いで焦ってチケットを購入してしまいます。後に転売サイトと気づいた消費者がキャンセルしようとしても、応じて貰えませんでした。

実際には、この事例で問題となった表示は上記だけではありませんが、上記の表示に限って見ていくと、同表示は、一般消費者に対し、優先的にチケットを購入できなくなるような誤認を与えるおそれのある表示(優良誤認表示)であるといえます。

消費者庁は、カウントダウン表示が「消費者の自主的かつ合理的な選択を妨げる」ことなどを理由として、「虚偽・誇大広告」にあたると指摘し、事業者名を公表し、注意喚起をしました。

3 効能に根拠がないケース(優良誤認表示)

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商品やサービスを販売する際に、合理的な根拠なくして、一定の効能があるように表示することは、一般消費者において、実際のものよりも優良なものだと誤認するおそれがあります(優良誤認表示)。

(1)事例①:花粉などを水などに変えるマスク

    メーカー4社が「花粉を水に変えるマスク」「光触媒を利用したマスク」なるものを発売し、その容器包装において、あたかも、花粉、ハウスダスト、カビなどを化学的に水や二酸化炭素などに分解し、体内に入ることを防ぐ効果が得られるような表示をしていた

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消費者庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提示を命じ、メーカー4社はそれぞれに資料をを提出しましたが、合理的な根拠を示すものとは認められず、メーカー4社に対し措置命令を出しました。

(2)事例②:はくだけで足が細くなる下着

    女性用下着メーカーが、下着のパッケージにおいて「いま業界で話題沸騰中の“加圧式”脂肪燃焼ソックス」、「人間工学に基づいた設計により履くだけでダイエットを実現!」、「自宅で簡単に脚ヤセ、理想的なクビレを手に入れるならヴィーナスカーブ」などと表示し、あたかも着用するだけで著しい痩身効果が得られるかのようにうたっていた

消費者庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めましたが、提出された資料が合理的な根拠を示すものとは認められなかったため、メーカーに対し措置命令を下しました。

また、本件商品には「※効果の感じ方には個人差があります。効果効能を保証するものではありません。」との打消し表示はあったものの、これらの表示が一般消費者において商品の効果に関する認識を打ち消すほどのものであるとは認められませんでした。

4 二重価格表示(有利誤認表示)

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二重価格表示」は、商品・サービスの自社価格と併せて自社価格より高い価格(比較対照価格)を表示することをいいます。一見お得に見えても比較対照価格について不適切な表示がされていると、一般消費者は販売価格が安いと誤認するおそれがあるため、不当表示(有利誤認表示)にあたる可能性があります。

(1)二重価格表示とは

有利誤認表示にあたる可能性のある二重価格表示の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 異なる商品を比較対照価格に用いて表示をする
  • 比較対象価格について、実際と異なる表示や曖昧な表示をする
  • 過去の販売価格を比較対照価格として表示する
  • 将来の販売価格を比較対照価格として表示する
  • メーカー希望小売価格を比較対照価格として表示する
  • ライバル会社の販売価格を比較対照価格として表示する

もっとも、以上のような表示をすることが直ちに不当表示にあたるというわけではありません。表示が事実に基づいていない虚偽のものであったり、不十分なものであったり、また、十分な根拠がないような場合に、初めて不当表示にあたる可能性が生じることになります。

(2)アマゾンジャパンの事例

    アマゾンジャパンのWebサイト上で、クリアホルダー、ブレーキフルード、甘酒の3種類の商品について、実際の販売価格を上回る「参考価格」を実際の販売価格と併記し、消費者に販売価格がお得に見えるような表示をしていた

実際のところ、「参考価格」はどれもメーカーが便宜的に定めたものであり、また、メーカー希望小売価格よりも高い価格で任意に設定されたものでした。

これらの表示は、実際の価格よりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり、不当表示(有利誤認表示)にあたるため、アマゾンジャパンに対し措置命令が下されました。

このように、措置命令は、元の商品を製造・販売しているメーカー(出品者)だけでなく、取引の場を提供したプラットフォーマーに対して出されることもあるのがわかります。

5 原産国を偽ったケース(その他)

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景表法では、商品の原産国を偽ることもルール違反と見なされます。

(1)原産国を偽ることの問題点

商品に原産国を表示する場合、商品が実質的に加工された場所を原産国として表示します。衣類であれば縫製された場所、機械製品であれば組み立てられた場所が原産地に当たります。

商品を選ぶ際、原産国がどこであるかという点は重要な情報のうちの一つともいえます。

この点、原産国とは異なる別の国名や地名などを商品に表示すると、一般消費者が原産国を判別することが難しくなってしまいます。

景表法では、このような表示を不当表示として禁止しています。

ただし、商品において、原産国とは異なる海外の地名が含まれるものであっても、それが原産国を示すものではないことが明らかな場合は、不当表示に該当しません。

たとえば「フランスパン」「シベリアケーキ」「ボストンバッグ」「北京ダック」などは、必ずしもそれが原産国(地)を示すものではなく、普通名称として使われているからです。

(2)高島屋の事例

    同社オンラインストアのWebサイトに表示された化粧品など147種類の原産国が実際とは異なっており、たとえば、日本が原産国となる『シャネル』の化粧品について、フランスを原産国・生産国として表示をしていた

この事例では、対象となった化粧品などが実際の原産国で生産されたものであることを一般消費者が判別することは困難であるとされました。

そのため、対象商品の原産国について一般消費者に誤認されるおそれがあるとして、不当表示にあたるとされました。

その結果、同社に対し、本件で問題となった表示が景表法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底することなどを命ずる措置命令が出されました。

6 事業者に課徴金が発生したケース

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景表法では、「課徴金納付命令」という制度があり、これまでに見てきたルールに違反をした事業者に対しては、次の項目で見る罰則に加え、経済的な制裁が課されることになります。

(1)課徴金とは

課徴金」とは、景表法に違反した事業者に対し、経済的な不利益を課す制度です。

課徴金は、優良誤認表示や有利誤認表示などの表示規制に違反した場合に課されるもので、事業者は違反行為があった期間(課徴金対象期間)の売上額の3%に相当する額を国に納付しなければなりません。課徴金対象期間は、最大で3年前まで遡ります。

課徴金の納付を課すことにより、事業者が違法に得た利益を「稼ぎ得」にしないような仕組みになっています。

もっとも、以下のいずれにもあてはまる事業者は、課徴金の納付を課されることはありません。

  • 自社の表示が優良誤認表示または有利誤認表示にあたることを知らなかった
  • 相当の注意をもってしても、自社の表示が不当表示にあたることを知らなかった

このほかにも、算出された課徴金の額が150万円未満の場合は、課徴金の納付を課されることはありません。

また、以下の場合には、納付すべき課徴金の額が減額されることになります。

  • 違反行為に対する調査が入る前に、自社の違反行為を消費者庁へ自主申告した場合
  • 所定の手続きにより、課徴金対象期間に取引を行った消費者に対して返金した場合

(2)事例

【事例①】マクドナルド ローストビーフバーガー

    日本マクドナルドが「東京ローストビーフバーガー」と称するメニューやセットを提供。テレビCMでは、「しっとりリッチな東京ローストビーフバーガー」という音声とともに牛赤身肉の塊をスライスする映像を流すなど、消費者にあたかも「ローストビーフ」を使用しているかのような印象を与えていたが、実際に使われていたのは牛の赤身肉を切断加工した成形肉であり、ローストビーフではなかった

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この事例では、実際は成形肉を使用していながら、あたかもローストビーフを使用しているかのように表示をしたことが、一般消費者に対し誤認を与えるものとして、不当表示に当たるとされました。

その結果、マクドナルドは約1ケ月間を課徴金対象期間として、2171万円の支払を命じられました。

【事例②】イオンペット

    ①ペットトリミングサービスを展開するイオンペットが、ポスターやチラシで、「トリミングに炭酸泉シャワー使用」と記載することで、あたかも、トリミングサービスで使用するシャワーに、炭酸泉を使用しているかのように表示した
    ②ホテルサービスに関するポスターやチラシで、「お散歩朝夕2回」などと記載し、あたかも、ホテルサービスとして提供される散歩が、屋外で実施されているかのように表示した

この事例において、実際のところは、トリミングサービスで使用されているシャワーについて、全く・一定割合で炭酸泉が使用されていませんでした。

また、ホテルサービスとして提供される散歩について、全く・一定割合で散歩は屋外で実施されていませんでした。

そのため、ポスターなどに記載された内容と実際のサービスの内容が異なっており、これらの記載は一般消費者に対し誤認を与えるものであるということがいえ、不当表示にあたります。

その結果、イオンペットに対し、トリミングサービスについては2647万円(対象107店舗、期間約2年半~3年)、ペットホテルサービスについては633万円(対象107店舗、期間約3年)、合計3280万円の支払いを命じました。

以上のように、景表法上の表示規制に違反すると、次の項目で見る罰則のほか、課徴金の納付を併せて命じられることになります。

7 罰則

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事業者が、景表法上の表示規制に違反した場合、まずは、内閣総理大臣から措置命令を受けることになります。

(1)措置命令

事業者に対し措置命令を発する際には、事業者による表示が不当表示にあたるかどうかを判断するために、必要に応じて「合理的な根拠を示す資料」の提示を求められる場合があります。

これに対し、事業者から資料が提出されなかった場合は、問題となっている表示は不当表示にあたるとみなされ、措置命令が出されることになります。

措置命令において、具体的に命じられる措置は、たとえば、

  • 景表法違反であることを消費者に周知徹底する
  • 再発防止策を講じた上で、社内で周知徹底する
  • 今後は同様の表示を行わないこと

といったことが挙げられます。

(2)刑事罰

措置命令を無視したり、表示を続けたりした場合、

  • 最大2年の懲役
  • 最大300万円の罰金

のいずれか、または、両方を科される可能性があります。

また、従業員などが措置命令に違反した場合は、従業員に加え、事業者に対して、

  • 最大3億円の罰金

が科される可能性があります。

※景表法に違反した場合の罰則について、詳しくは「景表法に違反した事例と罰則とは?3つのポイントをIT弁護士が解説」の記事を参考にしてみてください。

8 小括

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広告やパッケージの表示は、消費者が商品やサービスを選ぶ際に重要となる要素のうちの一つです。

同業他社よりも目立たせるために、あまりにインパクトのある表示内容を求めてしまうと、景表法に違反してしまうことにもなりかねません。

景表法に違反すると、措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性があることに加え、これらの命令を受けてしまうと、その旨が公表されることになるため、事業へのダメージは少なくありません。

事業者においては、景表法に違反した場合のペナルティを十分に理解し、不当表示にあたらないようパッケージや広告を作成することが大切です。

9 まとめ

これまでの解説をまとめると、以下の通りです。

  • 景表法にいう「不当表示」は、①優良誤認表示、②有利誤認表示、③その他指定の6項目がある
  • 「事実ではない記載をすること」「実際のものと比べて、著しく良いものに誤認させるような表現」は、優良誤認表示に当たる
  • マスクやサプリメントなどの機能や効能について、合理的な根拠に基づかない表示をすることは優良誤認表示に当たる
  • 比較対照として適切ではない価格を併記して、よりお得に見せる二重価格表示は、有利誤認表示に当たる
  • 「課徴金」は刑罰のほかに発生する行政処分で、違法行為によって得た利益を徴収するものである
  • 措置命令に違反すると、違反行為者に加え、事業者にも最大3億円の罰金が科される可能性がある
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