
目次
はじめに
2021年2月15日、住宅ローンマッチングサービス「モゲチェック」を運営する「株式会社MFS」が総額6.3億円(累計調達額約17億円)の資金調達を実施したことを発表しました。
PR TIMESより
今回は、日本初でもあるオンライン型の住宅ローンサービス「モゲチェック」について見ていきたいと思います。
1 「モゲチェック」誕生の背景
「モゲチェック」は、2019年2月にリリースされたオンライン型住宅ローンサービスです。
家を購入しようとする多くの方がまず気にするのは、住宅ローンが使えるかどうかだと思います。
ある程度生活が安定してきて、家賃支払いと同じ(場合によってはそれ以下)負担で家が買える目途が立つと住宅購入を検討することになりますが、そこでネックとなるのが住宅ローンの審査です。
通常、家を購入するときはまず欲しい物件を探し、その物件を紹介している仲介会社から不動産担保ローンの紹介を受けます。
最近は仲介会社と関係なく住宅ローンの審査を受け付けるウェブサービスなどもありますが、銀行ごとにシステムが分かれていて情報集約が面倒だったり、銀行ごとに出る審査結果を統一的に把握できないといった課題がありました。
「モゲチェック」はそのようなユーザーの課題に対するソリューションを提供するサービスであると言えます。
2 「モゲチェック」の概要
「モゲチェック」は、ユーザーの属性に応じた最適な住宅ローンをオンラインで紹介する住宅ローンマッチングサービスです。
12項目を入力することにより、住宅ローン審査に通る確率の高い順に金融機関の紹介を受けられるため、自分の条件などに応じて住宅ローンを選定・申込をしたり、住宅ローンの提案を受けたりすることができるようになっています。
モゲチェックには、以下の3つのサービスが用意されています。
(1)新規借り入れ
これから家を購入しようと検討している人にとって、どの金融機関を使って住宅ローンを組むかは大きな課題の一つといえるでしょう。
どの住宅ローンが自分に最適なのかをリサーチすることは大変なことです。
モゲチェックでは、融資可能な住宅ローンのなかで最も金利の低いローンをオンラインで知ることができます。
(2)借り換え
住宅ローンの返済が開始された後も、場合によっては、ローンを見直すことが必要になるケースもあります。
とはいえ、自分でリサーチするとなると、時間もかかるため、どうしても後回しにしがちです。
モゲチェックは、MFS社が独自に収集した情報を基に、最も金利が低いと判断した住宅ローンを提案してくれます。
その結果、住宅ローンの返済額を大きく減らすことに繋がる可能性もあります。
(3)モゲパス
モゲパスは、これから物件を探す人を対象としたサービスです。
MFS社が独自に開発した審査ロジックを基に、住宅ローンの借入可能額を判定します。
その判定に基づき、提携不動産会社から物件の提案を受けることができます。
3 「モゲチェック」を利用する3つのメリット
(1)オンラインで簡単にリサーチできる
モゲチェックを利用するためには、申込みが必要です。
申込みは、オンラインで簡単にすることができますので。すぐにリサーチに着手することができます。
(2)多くの選択肢からNo.1金利のローンを選ぶことができる
モゲチェックでは、MFS社が独自に収集した全国124金融機関のローン金利情報の中から、付帯する団体信用生命保険を加味したうえで、最も低いとMFS社が判断するNo.1金利のローンをユーザーに紹介します。
(3)プロによるサポートを受けることができる
住宅ローンにおいては、金利だけでなく、金利のタイプや団体信用生命保険など、大事なことがほかにもあります。
これらの知識を十分に持っているといえる人は少ないと考えられるため、モゲチェックでは、専任の住宅ローンアドバイザーが電話やチャットを使ってアドバイスしてくれる仕組みになっています。
借り入れを進める際にも、金融機関とのやり取りや審査書類の収集などはすべてMFS社が代行してくれるため、安心して手続きを進めることができます。
4 手数料|マネタイズ
モゲチェックは、成果報酬型を採用しているため、基本的に無料でサービスを利用することができます。
新規借入れや借換えを目的とした契約が成立した場合にのみ手数料が発生するようになっています。
具体的には、新規借入れの場合は借入額の1%(税別)、借換えの場合は減額できた金額の10%(税別)に相当する額が手数料としてかかります。
いずれも、下限額が25万円、上限額が50万円となっており、手数料はローンの借入額に含めることも可能になっています。
モゲチェックは、新規借入れや借換えが成立した場合に支払われる報酬により収益を上げているわけです。
5 法的課題
モゲチェックのシステム上には資産に関する膨大な個人情報が乗ることになります。
こういった情報は、将来的に様々なビジネスに応用が可能ですが、他方で個人情報の管理が十分でないと収集した個人情報の利用が制限されたり、個人情報が流用したり悪用されたりすることにより大きな損害につながることが考えられます。
そこで、将来のビジネス利用も踏まえたプライバシーポリシーを作成することが必要になってきます。
また、仮にこのプラットフォーム内で不動産の売買仲介や販売代理等も実施する場合には宅地建物取引業の登録が必要になりますし、金融商品の購入を仲介する場合には金融商品仲介業の登録が必要となります。
金融商品仲介業については法改正により所属性が廃止され、従前よりも柔軟なスキーム構成が可能となる見込みです。
6 まとめ
住宅ローンの市場では、従来より、ユーザーと金融機関、そして、不動産会社が保有する情報の間に大きな非対称性がありました。
モゲチェックは、このような情報の非対称性を解消し、住宅ローン業界のDX化を推進し、さらには不動産をはじめとした高額資産の総合プラットフォームにもなりうる大きな可能性を秘めたサービスであるといえます。
MFS社は今後も、調達資金によりモゲチェックのデータ分析精度の向上、ユーザーと銀行の最適なマッチング率の向上などを目指すとしています。
コロナ禍で各分野におけるDX化が進むなか、住宅ローン分野でのDX化を推進するMFS社への期待は大きいといえます。
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