
彼氏が既婚者なのに、独身だと嘘をつかれていた…訴えてやりたい。そう考えて調べ物をしているうちに「貞操権侵害」という言葉を目にしたのではないでしょうか。
「貞操権侵害」は、既婚者である男性が「独身」と嘘をついて女性と交際することをいいます。
これは不法行為にあたり、貞操権を侵害された女性は慰謝料を請求できます。
ただし、貞操権侵害が認められるには条件があり、その条件を満たしているか、まずは確認する必要があります。
その他、慰謝料を取れる場合の相場や訴え方、弁護士は必要か、など、知りたいことは多くあるでしょう。
そこで本記事では、貞操権侵害とは何かの基本から、慰謝料請求できるケース、慰謝料の相場、実際に訴える場合の手順などを、どこよりも広く、深く解説します。
ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 貞操権侵害は主に独身女性が「男性に既婚者であることを隠されて結婚前提の交際をしていた」ことをいう
- 貞操権侵害で慰謝料請求できるケースは、以下のような3つの条件を満たしていなくてはいけない
- 【条件1】結婚を見据えた交際だった
- 【条件2】相手に結婚を隠されていたor今の妻とは別れると話されていた
- 【条件3】交際の中で性行為(またはそれに近い行為)があった
- 慰謝料の相場は50万円~300万円ほどで、高額の場合は500万円が認められたことも
- 慰謝料請求する場合はまず「証拠の収集」をし、相手と慰謝料について「交渉」し、交渉がうまくいかないときは「訴訟」によって解決する
- 貞操権侵害にまつわるトラブルにおいては、慰謝料を請求する側もされる側も弁護士への相談が安心
なお、本記事は「訴える側の女性目線」で解説していきます。訴えられた男性側の対応については、以下の記事をご覧ください。
1.「貞操権」と「貞操権侵害」とは?
「貞操権」とは、あなたが誰と性的な関係を持つか(または持たないか)を自由に決める権利のことです。
この「貞操権」を侵害する行為のことを文字通り「貞操権侵害」といいます。
「貞操権侵害」は主に「男性が既婚者であることを隠し、あるいは独身と偽って、女性と結婚前提の交際をしていた」場合に使われます。
既婚者であると知っていればもたなかった性的な関係を、既婚を隠されてもつことになったのですから、「誰と性的な関係を持つか自由に決める権利」を侵害されたことになるわけです。
「貞操権侵害」は不法行為なので、被害に遭った女性の方は慰謝料が請求できます。
なお、暴力や脅迫などによって無理やり性的な関係を持たされた場合には、「強制性交等罪」といった罪状で呼ばれ、貞操権侵害とはまた別のケースです。
2.貞操権侵害で慰謝料を請求できるケース・できないケース
貞操権侵害の被害者は慰謝料を請求できますが、どのような状況であっても認められるわけではなく、いくつか条件があります。
基本的には、結婚することを前提に性的関係を持ったのに、そもそも結婚できる状態にないケースであれば慰謝料請求できます。
慰謝料請求できるケースとできないケースについて、それぞれ確認しておきましょう。
1)慰謝料請求ができるケース
慰謝料が請求できる(=正真正銘「貞操権侵害」だと言える)ケースは、以下の3つの条件を全て満たしている場合です。
【慰謝料請求できる3つの条件】
- 結婚を見据えた交際だった
- 相手に結婚を隠されていたor今の妻とは別れるつもりだと話されていた
- 交際の中で性行為(またはそれに近い行為)があった
要は、結婚を視野に入れた真剣交際(性行為含む)をしていたか?がポイントになります。
慰謝料を請求する側も、される側も、この3つのポイントに当てはまっているかチェックしてみてください。
注意したい点として、1章では貞操権侵害の定義に「既婚を隠していた」ことを挙げていますが、実際には「既婚者だけど妻とは冷え切っている、別れて君と結婚する」といった嘘をついていた場合も認められたケースがあります。
もちろん「既婚者と完全に知らなかった」ケースと比べると認められない可能性は高いものの、女性側が男性の既婚を知っていたら絶対に貞操権侵害が認められない「わけではない」点は押さえておきましょう。
2)慰謝料請求が難しいケース
先に挙げた3つの条件に当てはまらない場合は、厳密に「貞操権を侵害された」とは言えず、慰謝料の請求も難しいです。
具体的なシチュエーションをあげると、以下のようなケースがあるでしょう。
【例:慰謝料請求が難しいケース】
- パパ活相手から「独身」と聞いて肉体関係を持った場合
- 初めから不倫だと知り結婚する気もなく隠れて交際していた場合
- プラトニック、またはハグや軽いキスまでしかしていない場合
それぞれ、貞操権侵害の3つの成立要件のどれかに当てはまらないことがわかります。
結婚を視野に入れた真剣交際であれば慰謝料が認められやすいことは前項で述べましたが、その反対のケースは認められにくいと覚えておいてください。
3.貞操権侵害でとれる慰謝料の相場
貞操権侵害が認められて慰謝料請求ができる場合、慰謝料の相場は50万円〜300万円程度とされています。
相場にこのような開きがあるのは、個々の事情によって金額が変動するためです。
騙された側の被害が大きい(=騙した側が悪質)といえる要素があれば、その分慰謝料は高くなります。
【慰謝料が高額になる要因】
- 付き合っている期間が長い
- 性的関係の回数や頻度が多い
- 被害者の年齢が低い(特に未成年の場合)
- 妊娠・出産・中絶があった
- 既婚者側から「もうすぐ結婚しよう」などと明言し、積極的に騙していた
- 別れ際の対応が不誠実だった
反対に、騙された側の被害が小さいと思われるケースなら、慰謝料も低くなる傾向にあります。
【慰謝料が低額になる要因】
- 付き合っている期間が短い
- 性的関係の回数が少ない、一度だけ
- お互い不倫・浮気関係であることを最初から了解していた
貞操権侵害では500万円という高額の慰謝料が認められた判例もありますが、ここまで高額になるケースは珍しいといえます。
なるべく高額の慰謝料を認めてもらいたいなら、相手の悪質度を示せる証拠を十分に準備しておく必要があります。
なお、貞操権侵害の慰謝料相場について、以下の記事ではさらに詳しく解説しているので、合わせてぜひご覧ください。
4.貞操権侵害で慰謝料請求が認められた裁判例
貞操権侵害における慰謝料は、状況によって金額に差があります。
どのような状況であれば「貞操権侵害」と認定されるのか、慰謝料が高額になりやすいのはどんなケースかなど、これから紹介する3つの判例にもとづいて具体的に確認しておきましょう。
1)慰謝料50万円の支払いを命じられた判例
遊びではなく結婚を真剣に考えていると相手男性から伝えられていた女性に、50万円の慰謝料請求が認められたケースです。
男性は被害者女性に対して「犬が苦手だから、一緒に住むときは犬を実家に置いてほしい」といった、結婚を期待させるような発言を行っていました。
事が発覚した後も、自分に慰謝料請求するなら妻から慰謝料を請求するといった脅しのような言葉も口にし、現住所開示の請求にも応じないなど不誠実な行動をしており、50万円の慰謝料請求が認められたようです。
参考:東京地方裁判所 令和2年3月2日
2)慰謝料60万円の支払いを命じられた判例
「妻と別れて結婚する」と相手に言われて情交関係を結び、子供を妊娠・出産した女性に60万円の慰謝料請求が認められたケースです。
男性は女性と肉体関係を持ちたいために「妻と別れる」といった嘘をついて交際を続けました。
女性も相手が既婚者であると知って付き合っていたため、慰謝料が認められない可能性もありましたが、このケースでは男性側・女性側の行動の違法性が比較されました。
女性が当時19歳であったなど複数の事情を鑑み、男性の違法性が大きく、この裁判においては慰謝料の請求は認められるという判断がされたのです。
3)慰謝料75万円の支払いを命じられた判例
「夫婦関係が破綻していて離婚予定だ」という話を信じ、お互い合意の上で出産にまで至った女性に75万円の慰謝料請求が認められたケースです。
被害者女性は、男性と男性の妻から受けた行為に慰謝料請求し、さらに子どもの認知を求めています。
女性は男性が既婚者だと知っていましたが、関係を持ったのは男性が「夫婦関係が破綻している」と虚偽の発言や、今後結婚の意思があることを繰り返し述べていたためでした。
さらに、妊娠してから女性は何度か中絶について提案したものの、男性から強く出産の後押しがあったことから出産を決意しました。
にもかかわらず、出産直前になって男性は女性との関係を断ち、DNA鑑定で証明されても認知にも応じないなどの不誠実な対応を取り続けました。
これらの事情も「慰謝料額算定の際の一事情として考慮するのが相当」であるとして、貞操権の侵害を理由とした75万円の慰謝料請求が認められています。
5.貞操権侵害で訴えたい方がまずすることと目指すべきゴール
それでは、貞操権侵害された方が慰謝料をとるために「何をすればいいか」実践的な話に移っていきましょう。
貞操権侵害されている(相手が既婚者だった)ことが発覚して、(ⅰ)まずするべきことと、(ⅱ)目指すべきゴールは、以下の通りです。
- 【まずするべきこと①】すぐに別れる
- 【まずするべきこと②】弁護士に相談
↓ - 【ゴール】示談で慰謝料をとって解決する
1)【まずするべきこと①】すぐに別れる
相手が既婚者であることがわかったら、まずはすぐに別れましょう。
相手が既婚者であることがわかってからも付き合い続けていた期間があると、慰謝料が減額されたり、請求が認められなくなったりするリスクがあるためです。
貞操権侵害の慰謝料請求では、「相手が既婚者だと知っていたら付き合わなかったし肉体関係も持たなかったのに、騙されて関係を持ってしまった」ということを訴えます。
相手が既婚者だと知った上ですぐに別れなかったとなると、その訴えに説得力がなくなってしまいます。
また当然ながら、付き合った状態のまま慰謝料請求するのも難しいです。
2)【まずするべきこと②】弁護士に相談
早めに弁護士に相談することも重要です。
訴えを起こすとなるとほぼ確実に弁護士のサポートが必要ですし、弁護士と契約している期間によって弁護士費用が変わることもないため、早く相談して損はありません。
また、早い段階で弁護士から「こんな証拠をこうやって集めるといい」といったアドバイスをもらえれば、効率的に動けます。
逆に、相手が先に弁護士を立ててしまうと、先手を打たれて交渉の準備を進められてしまうため、不利になるリスクもあります。
まだ本当に慰謝料請求するか迷っているという方も、初回の相談は無料な事務所も多いので、まず話を聞いてみる意味で相談してみるとよいでしょう。
3)【ゴール】示談で慰謝料をとって解決する
貞操権侵害での慰謝料請求は、裁判までいかずに、交渉による示談成立(和解)を目指すのがベストです。
「示談だと慰謝料が安くされる」と考える方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
示談交渉では「裁判になれば慰謝料◯◯円の判決になる可能性が高いから、その金額で手を打とう」という話し合いが基本となります。
ですから、こちらに弁護士がついている場合、示談でもほぼ確実に適正な慰謝料金額をとってくれると考えて大丈夫です。
対して裁判になると、時間的・手間的な負担が大きくなりますし、弁護士費用も高くなります。
裁判で示談よりも高い慰謝料を勝ち取れる可能性ももちろんありますが、負担と追加の弁護士費用に見合うケースはあまりありません。
交渉の段階で、「慰謝料の金額」や「条件」について、お互いが合意できる内容に落とし込めるかがカギになります。
6.貞操権侵害で慰謝料を獲得するまでの3つの手順・流れ
それでは、弁護士に相談してから、慰謝料をとれるまでの手続き的な流れをみていきましょう。
1)証拠を集める
まずは貞操権を侵害された証拠をできるかぎり集めましょう。
証拠が全くない状態では、2章でも述べたように貞操権侵害を認めてもらうのは難しくなります。
具体的には以下のような証拠を揃えておくのが望ましいです。
【貞操権侵害の証拠の例】
- 相手が独身・未婚と偽っていたことを示す証拠
- LINEで「独身です」「未婚です」とやり取りしている内容
- 独身前提のマッチングアプリや婚活イベントの参加を証明できるもの
- 肉体関係があったことを示す証拠
- ホテルの領収書や宿泊記録
- 旅行の記録(写真・チケット・レシートなど)
- 性的関係を匂わせるLINEやメールのやり取り
- 結婚を匂わせていたことを示す証拠
- 「結婚したい」「老後は◯◯で一緒に暮らしたい」「子どもは◯人欲しい」などのメッセージ
- 結婚式場や新居の下見・相談の記録
- 両親への紹介・挨拶
- その他の証拠
- 妊娠・中絶の診断書や医療費の明細書
- 第三者の証言(友人や家族など)
どんな証拠が有効か、どう集めればいいかは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
2)交渉で慰謝料請求する
先の章で述べた通り、いきなり訴訟までは行かず、まず話し合いでの決着を試みてください。
訴訟に踏み切るとそれだけで対応のための手間や費用が発生しますし、そこまでしなくても「不倫していた事実を家族にバラされるのでは」と恐れた相手があっさり支払いに応じるケースもあるからです。
慰謝料請求の方法としては、「自力でやる」方法と「弁護士に頼んで代行してもらう」方法があり、相手の出方によっては金額や条件の交渉も必要になります。
相手がすぐに支払いに応じてくれそうなら自力でやっても良いですが、基本的には弁護士に頼むのがおすすめです。
弁護士に頼めば、法的な手続きの一切を任せられるので相手と顔を合わせずに済み、対応のための時間や精神的な負担も少なくて済みます。
慰謝料もなるべく高い金額を受け取れるよう交渉してくれるでしょう。
一方、自力の場合は数十万円かかる弁護士費用が浮くメリットがありますが、相手と直接やり取りするため余計に話が拗れたり、請求を無視されて交渉が難航したりするおそれもあるので、状況に応じて判断してください。
3)交渉がダメなら訴訟で慰謝料請求する
交渉がまとまらず、相手が支払いを拒否した場合には、最終的な解決手段として訴訟を起こすことになります。
訴訟で「貞操権侵害による慰謝料請求」が正式に認められれば、相手は確実に従わなくてはいけませんし、支払いから逃げるなら財産差し押さえなどの手続きもできるようになります。
そのため、話し合いに応じず連絡を無視するような不誠実な相手でも、必ず慰謝料を払わせることができるのです。
具体的な手続きとしては、貞操権侵害の事実・それを裏付ける証拠・請求する慰謝料の金額などを盛り込んだ訴状を弁護士に頼んで作成してもらい、裁判所に提出しましょう。
その後、実際に裁判が始まるので、裁判所が下した結果にもとづいて慰謝料の金額が確定します。
判決まで行かず、途中で和解となるパターンもあります。
7.貞操権侵害で慰謝料請求する場合の3つの注意点
慰謝料請求を確実に成功させられるように、以下の3つの注意点を押さえておくことが大切です。
【慰謝料請求するときの3つの注意点】
- 彼氏に知らせる前に証拠を集める
- 彼氏の奥さんにバラさない
- 慰謝料請求の「時効」に気を付ける
順番に確認しておきましょう。
1)彼氏に知らせる前に証拠を集める
相手(彼氏)には、なるべく情報を知らせないようにしつつ、水面下で証拠を集めるのがおすすめです。
【知らせない方が良い2つのこと】
- 相手が既婚者バレに気づいていない場合
→「結婚してるのに嘘ついてたでしょ」と言わない方が良い - 慰謝料請求について
→「訴えるから」「慰謝料請求するから」と言わない方が良い
このようなことを無闇に相手に話してしまうと、証拠を隠滅されたり、先に弁護士を立てられたりするリスクが高まります。
相手に先に手を打たれてしまうと慰謝料を請求する難易度が上がってしまうので、注意しましょう。
感情的にならず、冷静に慰謝料請求の準備を進めることが大切です。
2)彼の奥さんにバラさない
あなたが騙されて付き合っていたことを、相手の奥さんにバラすのもやめておくのが吉です。
要するに、「旦那さんが独身のふりをして(私と)不倫してましたよ」と伝えることです。
彼の奥さんに不倫をバラすことによって、以下の2つのリスクが高まります。
【2つのリスク】
- 相手の男性の名誉毀損になる
- 奥さんからあなたが訴えられる(慰謝料請求される)
このうち可能性が高いのは2つ目の、「奥さんに訴えられる」ケースです。
もちろん、あなたは相手から独身だと嘘をつかれていたわけですから、慰謝料を払う義務はありません。
ですが、一度訴えられてしまえば、あなたが本当に騙されていたのか、相手が既婚者だと知っていた可能性はないのか、証明する必要が出てきてしまいます。
相手を訴えるための証拠集めなどで忙しい中、余計な作業が増えることになるため、相手の奥さんにバラすべきではないのです。
3)慰謝料請求の「時効」に気を付ける
貞操権侵害の慰謝料請求には「時効」がある点にも注意が必要です。
【2つの時効】
- 貞操権侵害の事実を知ってから3年間
被害者が貞操権を侵害されたことと、加害者が誰であるかを知った日から3年が経過すると、慰謝料請求権が時効により消滅します - 貞操権侵害があってから20年間
被害者が事実を知っているかどうかに関わらず、貞操権侵害があった日から20年が経過すると、慰謝料請求権が消滅します
これらの期間のうち、どちらか短い方が適用されます。
時効の完成を避けるためには、内容証明郵便での請求など、法的な手続きを取ることで時効を中断(更新)することができます。
「時効」が迫っている状況であれば、できるだけ早く対応しましょう。
8.貞操権侵害の慰謝料請求を弁護士に依頼する4つのメリット
貞操権侵害の慰謝料請求では、請求する側は慰謝料を請求通りに受け取ること、される側は法外な慰謝料であれば相場内に収めつつ、なるべくダメージが少なく済む形での「和解」を目指すことになります。
ですが、知識が不足していたり、感情的に拗れてしまったりと、当事者だけではどうしても難しい場合もあります。
そこで頼りになるのが、法的な知識と経験を持つ弁護士です。
弁護士に頼むことでどのようなメリットがあるかを最後に改めて確認しておき、貞操権侵害のトラブルでお困りの方は依頼を検討してみてください。
【メリット1】相手との直接のやりとりを回避できる
弁護士が入ることで、相手との直接のやり取りを避けられるメリットがあります。
貞操権侵害では、交際していた関係かつ「騙された(と思っている)側」と「騙していた側」のトラブルなので、相手と直接話し合うことが大きな心理的負担になる場合もあります。
請求する側にとっては、感情的なやりとりや相手の態度によってさらなる精神的苦痛を受ける可能性がありますし、請求される側も感情的な対応で状況を悪化させるリスクがあるのです。
弁護士に依頼すればやり取りをすべて代行してもらえるため、こうしたストレスがかからない状態で交渉を進めてもらえるでしょう。
【メリット2】法律知識に基づくサポートがある
法律知識に基づくサポートを受けられるメリットもあります。
貞操権侵害の慰謝料請求に対応するためには、法律や、過去の判例に基づいた専門的な知識が必要です。
請求する側であれば、貞操権侵害に該当する事実があったことや、裏付けとなる証拠があることを適切に主張しなければ慰謝料請求が認められません。
請求される側も、相手の主張の根拠や妥当性を確認した上で、不当な要求があれば適切に反論できなければいけません。
こういった対応を何の知識もない人が1から取り組むのは大変ですが、弁護士がいれば法的なサポートを受けられ、多くの手続きについても代行してもらえます。
【メリット3】トータルで見ると金銭的に得になる
弁護士に依頼すると数十万円の弁護士費用がかかりますが、トータルで見た場合に金銭的に得になることも多い点はメリットといえます。
請求する側にとっては、弁護士がいることで相手が支払いを拒否・無視するような行動を取ったときにすぐさま対応を依頼できますし、なるべく高い慰謝料を受け取れるようサポートしてもらえます。
一方、請求される側にとっても、相手方の請求金額が相場と比べて高すぎる場合や、不当な主張が含まれている場合には、妥当な範囲まで減額交渉してもらえるのです。
また、弁護士がいれば早期の解決を目指しやすくなります。
示談交渉は長引くほど生活や仕事に影響しますし、交渉がまとまらず裁判に発展するとより多くの費用が発生します。
これらの事情を踏まえると、弁護士費用がかかるとしても依頼した方がトータルで見れば安く済み、金銭的にメリットがあると言えるでしょう。
【メリット4】交際相手の配偶者からの不倫慰謝料請求に対応できる
貞操権を侵害した側の配偶者に不倫がバレた場合、慰謝料請求を受ける可能性がありますが、弁護士に頼んでいれば対応してもらえるメリットもあります。
請求する側は、特に交際していた相手の配偶者から慰謝料請求を受けるリスクが高いといえます。
相手が既婚者であることを知らなかった以上、被害者でもあるため本来慰謝料は支払わなくて良いのですが、そのことを証明するためにまた時間や手間がかかってしまうのです。
請求される側も、離婚などに発展する場合、高い確率で配偶者から慰謝料を請求されることになります。
弁護士に依頼すれば、こういった配偶者からの請求にどう備え対応すべきかをアドバイスし、なるべく低い金額に収まるよう交渉してもらえるでしょう。
まとめ
貞操権侵害は、主に独身女性が「男性に既婚者であることを隠されて結婚前提の交際をしていた」ことを指して使われます。
貞操権侵害は、慰謝料請求が認められる不法行為なのです。
ただし、貞操権侵害で慰謝料請求が認められるには、以下の3つの条件を全て満たしていなくてはいけません。
- 【条件1】結婚を見据えた交際だった
- 【条件2】相手に結婚を隠されていたor今の妻とは別れると話されていた
- 【条件3】交際の中で性行為(またはそれに近い行為)があった
まず、この条件に当てはまっているか確認してみてください。
貞操権侵害の慰謝料の相場は状況によって差がありますがおおむね50万円~300万円ほどで、高額の場合は500万円が認められたこともあります。
慰謝料請求する場合は、早めに弁護士に相談し、貞操権を侵害されたことを示す証拠を集めるのがカギです。