貞操権侵害を証明する4種類の証拠とは?証拠がない時の対処法も解説

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貞操権侵害をされて、慰謝料請求するための「証拠」について調べている方。

「どんな証拠がいるの?」「そんなに決定的な証拠はない気がするけど…」といった疑問や不安があるでしょう。

結論、貞操権侵害が認められるためには「貞操権侵害の事実を証明する3種類の証拠」、慰謝料を多く勝ち取りたいならさらに「相手の悪質性を示す証拠」が必要になります。

逆に言えば、証拠がない場合は慰謝料を支払ってもらうのは難しいため、証拠を効率的に集めるためにも早いうちに弁護士へ相談することが大切です。

本記事では、貞操権侵害の証明のため収集したい具体的な証拠の例や、証拠が見つからないときの対処法、着実に集めるためのコツなどを解説します。

ぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

  • 貞操権侵害で慰謝料請求したいなら原則「証拠」が必要!
  • 貞操権侵害の証拠は4種類あり、【証拠①~③】は貞操権侵害の事実を証明するために、【証拠④】は慰謝料をより多く請求するために役立つ
    • 【証拠①】交際相手が「独身」や「未婚」を偽っていた証拠
    • 【証拠②】交際相手があなたと結婚する未来を匂わせていた証拠
    • 【証拠③】肉体関係があった証拠
    • 【証拠④】相手の不誠実な対応を示す証拠
  • 貞操権侵害の証拠がない・弱いときは、こちらから働きかけて相手から言葉を引き出したり、第三者の証言をあたるとよい
  • 貞操権侵害がわかった時点で弁護士に相談すると、有利な証拠が入手できる可能性があるほか、手続きや交渉についても任せられるのでおすすめ

なお、貞操権侵害とは何かといった基礎知識をまず確認したい方は、以下の記事で詳しく解説しているため、あわせて参照してください。

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1.貞操権侵害で慰謝料請求したいなら原則「証拠」がいる

慰謝料請求したいなら原則として証拠は必須

貞操権侵害で慰謝料を請求したいなら、原則「証拠」が必要です。

原則としているのは、「証拠」がなくても交際相手があなたの言い分を全面的に認め、慰謝料の支払いに応じるケースもあるためです。

交際相手があなたを騙していることに罪悪感を持っていたり、大ごとにしたくないと考えているケースなら、請求通り慰謝料を支払ってもらえる可能性もゼロではありません。

ですが、相手が素直に請求に応じるケースは多くありません。

相手が貞操権侵害を認めず、「交際していなかった」「最初から遊びの約束だった」のように主張してくる場合には、あなたの主張を通すための「証拠」が必要になります。

確かな「証拠」があれば、相手に慰謝料の支払いを認めさせるだけでなく、より多くの慰謝料を受け取ることにもつながるため、まずは2章で解説する証拠を集めるようにしましょう。

めぼしい証拠がないという場合も、3章で対処法を解説していますので、諦めず確認してみてください。

2.貞操権侵害を証明するための証拠は4種類ある

貞操権侵害を証明する証拠は4種類

貞操権侵害は、主に「男性が既婚者であることを隠し、女性と結婚前提の性交渉を含む交際をしていた」場合に認められます。

以上を踏まえると、貞操権侵害を証明するための証拠は以下の4種類に分けられます。

  1. 交際相手が「独身」や「未婚」を偽っていた証拠
  2. 交際相手があなたと結婚する未来を匂わせていた証拠
  3. 肉体関係があった証拠
  4. 相手の不誠実な対応を示す証拠

これらの4種類の証拠は、以下のようにわけて見ると理解しやすいでしょう。

  • (ⅰ)貞操権侵害があったこと自体を証明する証拠:【1】【2】【3】
  • (ⅱ)相手が悪質だったことを示す証拠:【4】

貞操権侵害の4種類の証拠

(ⅰ)は相手に貞操権侵害を認めさせることに、(ⅱ)はより多くの慰謝料を請求するのにそれぞれ役立つのです。

貞操権侵害の事実認定のために必須なのは(ⅰ)の3種類の証拠といえるため、まずは(ⅰ)の要素を満たす証拠をそろえることを意識してください。

ただし、場合によっては1つの証拠が(ⅰ)の中の複数を兼ねたり、(ⅰ)(ⅱ)の両方の要素を兼ねたり、逆に1つでは証拠として弱いというケースもあります。

そのため4種類の証拠が必要と言っても、証拠の現物は4つとは限らない点に注意してください。

1)【証拠①】交際相手が「独身」や「未婚」を偽っていた証拠

貞操権侵害の証明には、交際相手が「独身」や「未婚」を偽ったり、あなたに嘘をついていたことが明確にわかる証拠が必要です。

具体的には、以下のような証拠が挙げられます。

【証拠の例】

  • 独身・未婚であるというやり取りの記録(メール・LINE・会話の録音など)
  • 独身・未婚であることを投稿やプロフィール欄でアピールした交際相手のSNS
  • 独身者限定のマッチングアプリの利用履歴
  • 独身者限定の婚活サイトのプロフィール
  • 結婚相談所・婚活イベントなど独身が前提の場所で出会った記録

既婚者である男性が「独身」または「未婚」と偽ってあなたと関係を持つことが、貞操権侵害が認められる条件の1つです。

ですが、男性側が「独身だと相手に言ったことはない」「最初から同意の上で不倫した」といった主張をし、貞操権侵害を否定してくることもあります。

こうしたとき、相手が独身と偽っていたことを示す証拠があれば、相手の主張に反論できるのです。

なお、マッチングアプリや婚活サイトなど独身前提のサービスを使って出会っていた場合は、そこで出会ったという利用履歴があれば証拠としては十分です。

2)【証拠②】交際相手があなたと結婚する未来を匂わせていた証拠

貞操権侵害の証明には、交際相手があなたと結婚する未来を匂わせていた証拠も必要です。

具体的には、以下のような証拠が挙げられます。

【証拠の例】

  • 婚約指輪の購入記録、レシート
  • 結婚式場や新居の下見の記録
  • 両親へ挨拶したことがわかるやり取りの記録や証言
  • 結婚後の未来についてのやり取りや会話の記録(メール・LINE・会話の録音)

結婚を前提とした真剣交際をしていたことが、貞操権侵害の条件の1つです。

相手が結婚する未来を匂わせていた証拠があれば、結婚前提の交際であったことが誰の目に見てもわかりますし、その気もないのに嘘をついていた相手の悪質性の証明にもなります。

具体的な証拠としては、一緒に結婚式場の下見に行った、婚約指輪をプレゼントされたなどの結婚に直結する行動はもちろん、結婚の期待を抱かせる話をされたことも証拠になります。

例えば、交際相手が「子どもは最低でも3人欲しい」「老後を考えると◯◯市に住みたいよね」といった発言をしていれば、その録音やメッセージを貞操権侵害の証拠にできるのです。

また、男性側が「妻とは冷え切っているから、離婚してあなたと結婚する」のように女性に言って関係を持った場合、男性が既婚者であると女性が知っていても貞操権侵害と認められた判例があります。

証拠①と矛盾するようですが、あなたが交際相手に結婚の約束をされ、それを信じて真剣交際していたなら、既婚を知っていても貞操権侵害が成立する可能性はあるのです。

もしあなたがこうしたケースに該当するなら、弁護士に相談してみましょう。

3)【証拠③】肉体関係があった証拠

貞操権侵害の証明には、交際相手と肉体関係があった証拠も必要です。

具体的には、以下のような証拠が挙げられます。

【証拠の例】

  • 交際相手と利用したホテルの明細
  • 交際相手と宿泊を伴う旅行に行ったことが分かる写真、チケット、領収書など
  • 交際相手と肉体関係があると分かるやり取りの記録(LINE、メール、会話の録音など)
  • 妊娠・中絶などの記録

相手と「肉体関係を持った・それに準じる行為をしていた」ことが貞操権侵害の条件の1つです。

完全プラトニックな関係であった場合、貞操権侵害は認められないため、相手と「肉体関係を持っていた」ことが分かる証拠が必要になるのです。

証拠としては、具体的な会話のやり取りが残っているとか、妊娠・中絶などの記録があればまず間違いありません。

また、肉体関係を証明できるような直接的な証拠はなくても、2人きりで宿泊を伴う旅行をした記録などが複数あれば、関係があったことの証拠になります。

4)【証拠④】相手の不誠実な対応がわかる証拠

交際相手があなたに「不誠実な対応」を取ってきたことがわかる証拠は、貞操権侵害を証明する上で必須ではないものの、相手がいかに悪質であるかの根拠になります。

相手の悪質度が高いと判断されれば、訴訟に発展した場合もより多くの慰謝料が認められやすくなるのです。

交際相手の「不誠実な対応」が具体的にどんな行為を言うのかといえば、次のような例が挙げられます。

【交際相手の不誠実な対応の例】

  • 妊娠・出産について前向きだったのに、いざ出産した後は認知せず話し合いにも応じない
  • 避妊もせずに性行為し、妊娠がわかったら一方的に中絶を強要してくる
  • 既婚者であることがバレた途端、音信不通になる
  • 独身であると騙して女性と関係を持ったのに、バレて詰められても一切謝らず、逆ギレしたり誹謗中傷したりしてくる

相手がこういった「不誠実な対応」を取ったことを示す証拠(LINE・メールのやり取り、会話の録音・録画、中絶の記録など)があれば、慰謝料の金額に影響する可能性は高いといえます。

実際、相手方の「不誠実な対応」によって慰謝料の増額につながった判例もあるため、貞操権を侵害されたと感じたら、その後の相手の対応についても記録しておくといいでしょう。

3.貞操権侵害の証拠がない・弱いときはどうする?4つの対処法

証拠がない・弱いとき取るべき4つの対処法

貞操権侵害で慰謝料を請求しようと思っても、2章で解説したような証拠がなかったり、決定的な証拠が残っていないというケースもあるでしょう。

ですが、そこですぐに諦めてしまう必要はありません。

以下4つの対処法を取ることで、貞操権侵害の証拠を新たに集められる可能性があるのです。

【証拠がない・弱いときの4つの対処法】

  1. 彼から証拠となる発言を引き出す
  2. 知り合いや家族に証言を頼む
  3. 自分の日記やメモを証拠にする
  4. 弁護士に相談する

証拠がない場合はこれらの方法を実践し、証拠の確保を目指しましょう。

1)彼から証拠となる発言を引き出す

口頭では独身と聞かされており、結婚の約束もしていたものの、提出できるような現物の証拠がない場合があります。

この時まだ彼と別れておらず、普通に対話ができる関係であれば、彼を泳がせて、証拠となる発言を引き出す(言質を取る)方法が有効です。

具体的には、「◯◯(相手の名前)は結婚してないって言ってたよね?」」「前に両親に婚約の挨拶したいって言ってたけど、いつにする?」などの質問をし、そのやり取りを記録するのです。

口頭で引き出すなら会話を録音しておけばいいですし、LINEなどを使ったメッセージのやり取りなら、相手から肯定的な返信があればそれを証拠にできます。

ただし、あなたが相手の既婚を疑っていることが伝わると、相手も警戒して思ったような返事がもらえない可能性もあるため注意しましょう。

2)知り合いや家族に証言を頼む

あなたの手元に証拠がなくても、あなたが交際していたことを知っている第三者からの証言を証拠にできることがあります。

例えば、交際相手があなたの両親に挨拶に来ていたようなケースでは、両親に証言してもらうことで、「交際相手があなたと結婚する未来を匂わせていた」証拠になります。

他にも、共通の知人・友人や職場関係者などから、「交際相手は未婚だと話していた」「結婚するつもりだと聞いていた」といった証言が得られれば、それも証拠の1つになります。

めぼしい証拠が見つからないときは、こうした証言を得られそうな人はいないか、諦めずあたってみるようにしましょう。

3)自分の日記やメモを証拠にする

交際相手との関係についてあなたが日記やメモを細かく残していた場合、そうしたリアルタイムでの記録を証拠にできるケースもあります。

日記単体を証拠にする以外にも、日記やメモをもとに当時の状況について時系列を整理したり、裏付けとなる証拠を探したり、証言を集めたりといった使い方ができるでしょう。

ただし、日記と言いつつ書くのが不定期であったり、簡単に改竄ができてしまう内容のものだと、信用性が低いと判断されてしまい証拠としては認められない可能性が高いです。

逆に言えば、何年も毎日日記をつけている、大学ノートに隙間なくボールペンで書いているなど捏造が難しいやり方で書かれたものなら、証拠としての効力が期待できます。

日常的に日記をつけている人は、証拠として使えるものがないか確認してみてください。

4)弁護士に相談する

弁護士に対応を依頼することで、弁護士会照会」という権限を利用し、あなた自身では入手できない証拠を集めてもらえる可能性があります。

「弁護士会照会」とは、弁護士法23条の2に基づき、弁護士会が公的機関や企業に対し情報開示を求める制度です。

照会が通れば、相手の氏名、電話番号、住所、SNSアカウントの契約者情報などが入手できます。

例えば、独身・未婚が前提のマッチングアプリで交際相手と知り合っていたとしても、相手がすでに退会してしまっている場合、サービスを利用して知り合った証明は通常は難しいです。

ですが、「弁護士会照会」してもらうことで、こうした利用履歴についても入手できる可能性があるのです。

サービスの運営側がプライバシー保護を理由に拒否してくる場合もあるため、絶対に照会が通るとは限りませんが、証拠が見つからず困っている場合は一度弁護士に相談してみるとよいでしょう(弁護士に相談するメリットは6章で解説)。

4.貞操権侵害の証拠を着実に集めるための3つのコツ

貞操権侵害の証拠を集める3つのコツ

貞操権侵害で慰謝料請求するためには、2章で述べたように「4種類の証拠」をそろえる必要があります。

これらの証拠をきっちり集めるために何に気を付けたら良いか、やっておくべきことは何かなど、証拠集めの上で押さえておきたい3つのコツを確認しておきましょう。

1)別れる前に証拠を確保する

証拠は交際相手と別れる前に、既婚を知ったことがバレないうちに確保しておくようにしましょう。

騙されていたとわかったら、感情的にすぐに別れたくなるのも無理はありませんが、すぐ別れを切り出してしまうと証拠集めの上で不利となることがあります。

既婚者とバレたことが相手に伝わると、訴えられることを恐れた相手に証拠となる現物やデータを消される恐れがあるからです。

できればあなたが相手の既婚を知ったことがバレないうちに、証拠を先に確保しておくと安心です。

また、別れずに相手を泳がせておけば、先に述べた「相手から言質をとる」方法も使えます。

ただし、相手が既婚者であると知った後に長期間関係を続けてしまうと、「既婚者であることを承知の上で交際していた」と判断され、慰謝料請求が不利になる可能性があります。

また、慰謝料請求できるのは貞操権侵害を知ってから3年という時効もあります。

このため、別れる前に証拠を探す場合も、あまり日数をかけ過ぎないよう注意しましょう。

2)別れる前後の不誠実な対応も記録しておく

交際相手から受けた「不誠実な対応」は漏らさず記録しておきましょう

2章の4項でも述べたように、交際中はもちろん、既婚者であることが発覚した後であっても、相手が不誠実な対応をしてきた事実があれば「悪質性が高い」ことの根拠にできます。

例えば、独身だという嘘がバレた途端に連絡を絶ってフェードアウトしようとする、妊娠や出産といった重大な問題に対して話し合いを拒否するなどの行動は、明らかに不誠実な対応といえます。

こういった誠意のない行動を取られた場合に、詳細に記録し証拠を残しておくことで、より高額の慰謝料を求めやすくなるのです。

3)証拠を集めるために不法行為はしない

証拠を集める際には、不法行為はしないことを心がけましょう。

例えば、相手の許可なしにGPSを仕掛けたり、盗聴器を設置したりする行為はプライバシーの侵害とみなされ、法的に問題となる可能性があります。

こうした不法行為によって集めた証拠は、裁判で証拠として認められないだけでなく、逆に自分が訴えられるリスクもあるのです。

証拠を集める際は、日常的な会話の記録や、LINEやメールのスクリーンショットなど、法に触れない範囲内で行うようにしてください。

また、3章の4項でも述べたように弁護士には「弁護士会照会」という権限があるため、弁護士に相談すればあなた自身では入手できない証拠も集められる可能性があります。

わざわざグレーな証拠集めを頑張る必要はないのです。

5.貞操権侵害の証拠を効果的に使う3つのタイミング

貞操権侵害の証拠を使うタイミングとは?

これまで貞操権侵害に必要な証拠について解説してきましたが、入手した証拠を実際どのような場面で使うのかいまいち分かっていない方もいるかもしれません。

証拠を確保した後、実際に証拠を使うタイミングについて、改めて確認しておきましょう。

1)交際相手に「貞操権侵害の事実」を認めさせるとき

大前提として、証拠は交際相手に「貞操権侵害の事実」を認めさせるときに使います。

証拠がなければ、相手はそもそも貞操権侵害の事実そのものを認めず、慰謝料請求にも一切応じない可能性が高いのです。

証拠がない状態では、相手が話し合いを拒絶してきたり、いきなり姿を消したりするようなことがあっても、あなたの側ではどうにもできず諦めるしかありません。

一方、貞操権侵害の証拠がそろっている状態なら、「そんな事実はなかった」という相手の言い逃れは通用しなくなります。

証拠の存在を示すことで、配偶者含めた家族や知人に「バラされるかもしれない」という危機感や、「訴訟を起こされるかもしれない」というプレッシャーを相手に与えることもできます。

そうなれば、少なくとも相手を話し合いのテーブルに着かせることはできるようになるでしょう。

2)示談交渉・裁判を有利に進めるとき

集めた証拠は、示談交渉や裁判を有利に進めたいときの材料になります。

一般的に、貞操権侵害の慰謝料請求の場合、示談交渉で和解を目指す⇒話し合いが決裂した場合は訴訟を起こすという手順です。

裁判に発展すると対応のための費用や時間がかかるため、多くの場合は示談交渉で和解できるよう、双方が納得できる金額での合意を目指します。

貞操権侵害の証拠が十分にそろっており、かつ証拠によって相手の悪質度合いも証明できるなら、裁判になった場合は高額の慰謝料が期待できます。

そのため、裁判になる手前の示談交渉の段階でも、証拠がそろっているなら高めの慰謝料を請求しやすく、示談交渉を有利に進められるのです。

なお示談交渉・裁判も含め、実際に慰謝料請求する手順と流れは、以下のリンクからご覧いただけます。

3)交際相手の配偶者から慰謝料を請求されたとき

既婚者と知らずに交際していたことで、不倫の共犯者とみなされて相手の配偶者から慰謝料を請求されるケースがあります。

このとき、貞操権侵害を受けた証拠があれば、あなたが「交際相手に完全に騙されていた被害者である」ことを配偶者に証明でき、慰謝料の支払いを回避できます。

貞操権侵害の証拠のなかでも、特に「交際相手が独身や未婚を偽っていた証拠」(2章1項)や「交際相手があなたと結婚する未来を匂わせていた証拠」(2章2項)を提示すれば、配偶者を説得しやすいはずです。

あなたに非がないことを客観的に理解してもらうためにも、貞操権侵害の証拠を集めておくことは重要なのです。

6.貞操権侵害がわかった時点で弁護士に相談する3つのメリット

早く弁護士に相談する3つのメリットとは

貞操権侵害の証拠を集める上で、弁護士の力を借りた方が良いことは先に述べました。

実は、証拠集めに限らず、貞操権侵害があったと認識した時点で、できるだけ早く弁護士に相談することもおすすめです。

弁護士に相談することで、以下のような3つのメリットを得られるからです。

【弁護士に相談する3つのメリット】

  1. 証拠を効率的に集められる
  2. 適正な慰謝料の金額がわかる
  3. 手続き・交渉も任せられる

これら3つのメリットについて把握し、ぜひ弁護士への相談を検討してみてください。

1)【メリット①】証拠を効率的に集められる

弁護士に相談することで、証拠を効率的に集められます。

法律の専門家である弁護士に頼めば、どのような証拠が裁判や示談交渉において有効なのか、またどのような手段で証拠を確保するのが効果的なのかをアドバイスしてもらえます。

また、2章の4項でも述べたように、弁護士は「弁護士会照会」制度を利用できます。

個人では入手しにくい証拠を、きちんと法に則ったやり方で手に入れられるのです。

こうした公的な方法で手に入れた証拠は、貞操権侵害の事実をより客観的に証明できるため、相手が言い逃れをできないようにし、示談交渉や裁判を有利に進められます。

2)【メリット②】適正な慰謝料の金額がわかる

弁護士に相談すれば、慰謝料の請求額をいくらにすべきか、適正な金額がわかります。

貞操権侵害の慰謝料の相場は50万円~300万円ほど。

実際に請求できる金額は、カップル個別の事情に加えて証拠の充実度によっても大きく差が出ます。

いくら証拠を多く集めたとしても、その証拠が慰謝料の金額にどの程度反映されるのかは、知識がなければ判断が難しいのです。

その点、弁護士は法律の専門家として豊富な知識があり、「この証拠があるならこれくらいの金額がとれる」と妥当な請求金額を導き出せます。

もちろん、適正な金額をわかった上で、あなたが最大限の慰謝料を受け取れるよう交渉してくれるのです。

なお、貞操権侵害の慰謝料の相場については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

3)【メリット③】手続き・交渉も任せられる

弁護士に相談すれば、面倒な手続きや交渉も全て任せることができます。

慰謝料請求は、それ自体の手続きはそれほど大変ではないのですが、相手が請求に対して拒否や無視をしてくるケースも多く、その場合は訴訟に踏み切らなくてはいけません。

訴訟を起こすとなると、一層の時間や労力がかかってしまいます。

弁護士がいれば、相手が示談交渉に応じた場合の調整はもちろん、訴訟となった場合の手続き含めた対応も全て任せられるので、あなたが一人で大きな負担を抱えなくて済みます。

また、弁護士に依頼することであなたを傷つけた交際相手と直接やりとりする必要がなくなり、精神的なストレスを軽くできる点も大きなメリットといえるでしょう。

まとめ

貞操権侵害で慰謝料請求したいなら、原則として「証拠」が必要です。

貞操権侵害の証拠は以下のように4種類に分けられます。

  • 【証拠①】交際相手が「独身」や「未婚」を偽っていた証拠
  • 【証拠②】交際相手があなたと結婚する未来を匂わせていた証拠
  • 【証拠③】肉体関係があった証拠
  • 【証拠④】相手の不誠実な対応を示す証拠

【証拠①~③】は貞操権侵害があった事実を証明するために、【証拠④】は相手の悪質性を証明して慰謝料をより多く獲得するために役立ちます。

めぼしい貞操権侵害の証拠がないという場合も、すぐに諦める必要はありません。

こちらから働きかけて交際相手から「証拠」となるような言葉を引き出したり、両親や友人・知人などの第三者に証言してもらうといった方法で証拠を集められます。

また、貞操権侵害がわかった時点で弁護士に相談することもおすすめです。

「弁護士会照会」で証拠を新たに入手できる可能性があるほか、手続きや交渉についても任せられるなど多くのメリットがあるからです。

貞操権侵害で慰謝料を請求したい方は、ぜひ弁護士への相談を検討してみてください。

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弁護士/シリアルアントレプレナー 司法試験合格後、LegalTech Startupを起業。数度のファイナンスを経た後M&Aを通じた事業売却を経験するなど、複数回の大型調達・EXITを経験。事業計画と投資家コミュニケーションに強みを持つクローザータイプの弁護士。

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