クラウドファンディングが法律違反となるケースを種類別に解説!

はじめに
クラウドファンディングは、資金調達手段の一つです。
新型コロナウイルスで厳しい状況に置かれているベンチャーなどを支える資金調達手段にもなっています。
このような中、クラウドファンディングサービスを提供する事業者も増えてきており、これから事業展開をしようと検討している事業者もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、気になるのが、クラウドファンディングへの規制でしょう。
どのような場合に法律違反となるのかを正確に理解していないと、罰則を科される可能性もあります。
今回は、クラウドファンディング事業者が法律違反となるケースについて、わかりやすく解説します。
1 クラウドファンディングの3つの種類
クラウドファンディングには、以下の3つの種類があります。
- 寄付型
- 購入型
- 投資型
(1)寄付型
「寄付型」とは、出資者から集めた資金でプロジェクトを実行し、対価の提供が予定されていないクラウドファンディングです。
もっとも、プロジェクトに協力してくれたことへの感謝を返礼品という形で提供する場合はあります。
寄付型は、「寄付」という性質上、災害時の復興支援や感染症の予防対策といった公益性の高いプロジェクトで使われることが多いです。
寄付型を扱っているクラウドファンディングサイトとしては、たとえば、「CAMPFIRE」が挙げられます。
(2)購入型
「購入型」とは、出資者から集めた資金によりプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトを実行した後に、対価を提供する仕組みをもつクラウドファンディングです。
購入型には、立ち上げたプロジェクトが収益性を有するかどうかが未知数であるという側面があります。
そのため、必ずしも出資者から支持を得られるとは限りませんが、プロジェクトに多くのファンがつくこともあります。
購入型を扱っているクラウドファンディングサイトとしては、たとえば、「READY FOR」が挙げられます。
(3)投資型
「投資型」とは、出資者から集めた資金により事業を展開し、その事業から得られた収益を出資者に分配する仕組みをもつクラウドファンディングです。
投資型には、事業が成功するとそこから多くの収益を生み出すことができるというメリットがあります。
そのため、事業の成功によるリターンを期待して出資者が集まることが多いです。
投資型を扱っているクラウドファンディングサイトとしては、たとえば、「FUNDINNO」が挙げられます。
2 寄付型・購入型で法律違反となる場合
寄付型・購入型クラウドファンディングを提供する事業者との関係で問題となるのは、「資金決済法」です。
寄付型・購入型において、寄付者や購入者から集まった資金は、プロジェクト実施者(ベンチャーなど)に送金される仕組みになっています。
このような送金の仕組みが資金決済法上の「資金移動業」との関係で問題となります。
資金決済法は、資金移動業について、以下のように定義しています。
- 
【資金決済法2条2項】
この法律において「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引(少額の取引として政令で定めるものに限る。)を業として営むことをいう
ここでいう「為替取引」とは、現金以外の方法で資金を移動することをいい、銀行で行う振り込みは「為替取引」にあたります。
寄付型・購入型クラウドファンディングでは、集まった資金から一定の手数料を差し引き、残った資金をプロジェクト実施者に支払う仕組みになっていることが一般的です。
この仕組みからすれば、クラウドファンディング事業者は、集まった資金をプロジェクト実施者に「送金」していることになり、資金移動業に該当することになります。
資金移動業を行うためには、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。
にもかかわらず、無登録で寄付型・購入型クラウドファンディングを提供してしまうと、資金決済法に違反することになり、罰則を受ける可能性があります。
※資金移動業の登録を回避するスキームについては、「3分でわかる!ECサイトでエスクローを導入する際の法的問題とは?」をご参照ください。
3 投資型で法律違反となる場合
投資型は、さらに以下の3つの種類に分かれています。
- 株式型
- ファンド型
- 融資型
(1)株式型
「株式型」とは、言葉のとおり、出資者が株式を購入するタイプの投資型クラウドファンディングです。
株式投資型クラウドファンディングを提供する事業者との関係で問題となるのは、「金融商品取引法」です。
従来、株式投資型クラウドファンディングを提供する場合には、金融商品取引業(証券会社など)の登録を受けなければなりませんでした。
ですが、クラウドファンディングでは小口の投資が前提となっているため、そのような事業者に対して、証券会社と同一の登録を求めることは酷でもありました。
以上のような経緯で創設されたのが、要件を緩和した「少額電子募集取扱業」という資格です。
少額電子募集取扱業は、販売・勧誘の対象の違いにより、第一種と第二種に分かれています。
株式をはじめ流動性の高い有価証券などを販売・勧誘する場合には、第一種少額電子募集取扱業の登録を受ける必要があります。
この点、株式投資型クラウドファンディングの提供は、ここでいう「株式の勧誘」にあたるため、第一種少額電子募集取扱業の登録を受けなければなりません。
にもかかわらず、無登録で同業を行ってしまうと、金融商品取引法に違反することになり、罰則を科される可能性があります。
(2)ファンド型
「ファンド型」とは、クラウドファンディング事業者が、プロジェクト実施者ごとにファンドを組成して、それぞれの出資者がファンド持分を購入するタイプの投資型クラウドファンディングです。
ファンド型クラウドファンディングを提供する事業者との関係で問題となるのは、株式型と同様「金融商品取引法」です。
資金(ファンド)の販売・勧誘は、金融商品取引法上の「第二種金融商品取引業」にあたるため、同業の登録を受ける必要があります。
また、プラットフォーム事業者が投資判断に資する助言などを行う場合には、併せて「投資運用業」の登録も必要になります。
これらの登録を受けずに事業を行うと、金融商品取引法に違反することになり、罰則を科される可能性があります。
(3)融資型
「融資型」とは、複数の出資者が一つのプロジェクトに対して資金を出し合い、クラウドファンディング事業者を通じてプロジェクト実施者に融資するタイプの投資型クラウドファンディングです。ソーシャルレンディングとも呼ばれています。
融資型クラウドファンディングを提供する事業者との関係で問題となるのは、「貸金業法」と「金融商品取引法」の2つです。
融資型では、プロジェクト実施者が出資者に対して、利息を付けて返済することが前提となっています。
この場合、お金の融資やその返済はクラウドファンディング事業者を通じて行われるため、クラウドファンディング事業者は「貸金業」の登録を受ける必要があります。
また、融資型では、プロジェクト実施者の依頼に基づき、クラウドファンディング事業者がファンドを組成し、投資家に対して投資の勧誘を行います。出資を行う際には、クラウドファンディング事業者との間で匿名組合契約を締結するという仕組みになっています。
このような行為は、ファンドの販売などに関する勧誘行為とみなされるため「第二種金融商品取引業者」の登録を受ける必要があります。
これらの登録を受けずに事業を行うと、貸金業法や金融商品取引法に違反することになり、罰則を科される可能性があります。
4 まとめ
クラウドファンディングサービスを提供する場合、その種類に応じた登録を受けなければなりません。
とはいえ、登録要件はどれも厳しくなっており、特に、投資型を提供する場合には、相応の体制や人員、財産的基盤などが求められます。
法律違反の状態で事業を行うと、罰則を科される可能性もあるため、注意が必要です。
弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
 
      


 
   
   
   
  