著作権と商標権の違いは?権利に関する3つの違いを弁護士が解説!

2023.06.23

はじめに

創造物に与えられる権利や営業上の標識に与えられる権利など、知的財産権にはさまざまな種類があります。
そのなかでも「著作権」と「商標権」について、ご存知の方は多いと思います。

ですが、両者の違いは?と聞かれると、意外にも答えが出てこないことが少なくありません。
「今さら聞けない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、著作権と商標権の違いを弁護士がわかりやすく解説します。

この記事を執筆したのは

弁護士 勝部 泰之
弁護士・中小企業診断士 勝部 泰之
東京弁護士会 所属
注力:知的財産権・著作権/ライセンス、ブロックチェーン、データ・AI法務
GWU Law LL.M.(知的財産法)
事業の成長とリスクを両立する実務寄りの助言に注力しています。

1 「著作権」と「商標権」

著作権と商標権の違いを見る前に、それぞれについて権利の内容を簡単に見ておきましょう。

(1)著作権とは

著作権」とは、著作物を創作した人に与えられる権利です。

ここでいう「著作物」は、以下のように定義されています。

著作権法2条1項1号

    著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

このように、思想や感情がオリジナリティに表現されているものを「著作物」といいます。
そして、著作物を創作した著作者に発生する「著作物を独占的に利用できる権利」を「著作権」といいます。

(2)商標権とは

商標」は、以下のように定義されています。

商標法2条1項

    • この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
    • 一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
    二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

このように、事業者が自社の商品やサービスに使用するマークを「商標」といい、この商標を独占的に使用できる権利を「商標権」といいます。

2 著作権と商標権における2つの違い

著作権と商標権は、以下の点において違いがあります。

  1. 保護の対象
  2. 権利に関する事項

3 保護の対象

著作権法が著作権として保護する対象は、著作物です。
つまり、思想や感情をオリジナリティに表現したものであって、学術や芸術等に属するものが、保護対象ということになります。

これに対し、商標法が商標権として保護する対象は、商標です。
つまり、事業者が自社の商品やサービスに使用する標識が、保護対象ということになります

このように、著作権と商標権とでは、保護しようとする対象がまったく異なります。

著作権の保護対象が文化的な要素を含んでいるのに対し、商標権の保護対象はビジネスの要素を多く含んでいることがわかると思います。

4 権利に関する事項

著作権と商標権は、以下のように、権利に関する事項に違いがあります。

  1. 権利の発生のしかた
  2. 権利行使の範囲
  3. 権利の保護期間

(1)権利の発生のしかた

著作権と商標権は、それぞれに権利の発生のしかたが異なります。

著作権は、著作者が著作物を創作した時点で自動的に著作権が発生します。
そのため、登録といった手続きは必要ありません。

これに対し、商標権は、特許庁へ商標登録出願を行い登録を受けることによりはじめて発生する権利です。
そのため、特許庁の登録を受けないかぎり、商標権は発生しません。

(2)権利行使の範囲

著作権の場合、自己の著作物を知らない相手に対して権利を行使することはできません。

たとえ自己の著作物に類似する著作物を創作された場合であっても、相手が自己の著作物の存在を過失なくして知らなかった場合、著作権者は著作権侵害を理由として損害賠償請求権を行使することができません。

なお、相手に過失がない場合であっても、差し止めを請求することは可能です。

これに対し、商標権は特許庁の登録を受けることにより認められた権利であるため、自社の商標を無断で使用した者に対しては、商標の存在を知っていたかどうかに関係なく、差し止めや損害賠償を請求することが可能です。

(3)権利の保護期間

著作権法は、著作権の保護期間について、以下のように定めています。

著作権法51条

    • 1 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
    2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。

このように、著作権の保護期間は、著作物の完成時を起算点として、著作者の死後70年が経過するまで続きます。
保護期間が経過すれば、原則として誰でも自由に著作物を使用することができます。

一方で、商標法は、商標権の保護期間について、以下のように定めています。

商標法19条

    • 1 商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する。
    • 2 商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。
    3 商標権の存続期間を更新した旨の登録があつたときは、存続期間は、その満了の時に更新されるものとする。

商標権は、商標登録を受けた日から10年が経過すると権利が消滅します。

ですが、著作権とは異なり、商標権には更新手続きが設けられています。
そのため、更新登録の申請をすれば、半永久的に権利を保有することができるのです。

5 まとめ

著作権と商標権はまったく異なる権利ですが、ビジネスにおいては、両者をうまく使い分けることが必要です。
そのためには、保護対象をはじめ、それぞれの権利内容を正確に理解しておくことが大切です。

弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

現在は、弁護士としての企業顧問と、大学院での研究という2軸の活動をしています。 弁護士としては、IT・ゲーム・フィンテック領域を中心とした企業法務をサービスの中心としています。 大学院では、一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1)において、法令工学に基づいて処理済みのデータを計量統計的に処理する研究しています。 証券会社の社内弁護士として、暗号資産交換業の法制化初期に、登録申請やコンプライアンス体制の整備に従事し、独立後も国内外の暗号資産交換業者、投資助言・代理業者、資金決済関連事業者の顧問業務を担当し、許認可・当局対応から契約、社内規程、サービス設計まで幅広く支援してきました。 ゲーム・デジタルコンテンツ、AI・データ分野では、開発・運営に関する契約、利用規約、著作権、個人情報保護、データの取得・利用条件、課金・サービス提供スキームなどを取り扱っています。また、日常的な契約・会社法務、資本政策、資金調達、株主・役員関係、紛争対応など、企業の成長段階に応じたジェネラル・コーポレート業務にも対応しています。 また、中小企業診断士として、財務分析、事業計画、資金繰り、融資・エクイティを含む資金調達の検討にも関与しています。法的な可否やリスクを指摘するだけでなく、事業性、財務、オペレーションを踏まえた実行可能な選択肢を示し、契約、規程、業務フローに落とし込むことを重視しています。 【経歴】 2006年 弁護士登録。複数の法律事務所において、企業間紛争、訴訟その他の企業法務に従事。 2015年~2016年 米国ジョージ・ワシントン大学ロースクールに留学し、Intellectual Property Law LL.M.を取得。コンピュータ・ソフトウェア産業における知的財産保護、著作権、ライセンス及び契約法を研究。 2016年~2017年 証券会社の社内弁護士として、法制化初期の仮想通貨交換業、現在の暗号資産交換業に関する登録申請及びコンプライアンス体制の整備に従事。 独立後、海外大手企業を含む複数の暗号資産交換業者、金融商品取引業者(投資助言・代理業)、資金決済関連事業者の顧問業務を担当。許認可・当局対応、契約・規約、社内規程、事業スキームの設計などを支援。

関連記事

目次
お問い合わせはこちら
お問い合わせはこちら