購入型クラウドファンディングを規制する2つの法律を弁護士が解説!

2023.02.15

はじめに

近年、購入型クラウドファンディングの市場規模は増加傾向にあります。

実行する事業者は、自社のアイディア・商品などを元に資金調達できるだけでなく、そのアイディア・商品などに社会性や事業性があるかどうかを確認することができます。

もっとも、購入型クラウドファンディングを実施するにあたっては、あらかじめ理解しておくべき法規制がいくつかあります。
法規制によっては、罰則も設けられているため注意が必要です。

今回は、購入型クラウドファンディングを実施する場合の法規制を中心に弁護士がわかりやすく解説します。

1 クラウドファンディングとは

クラウドファンディング」とは、インターネット上で公開したプロジェクトなどに対して投資や寄付を募る仕組みのことをいいます。

プロジェクトなどに支援金を提供した場合、その支援者にはリターンとして、プロジェクトに関連する商品やサービスなどが提供されます。

クラウドファンディングは、リターンの形態により「寄付型」、「購入型」、そして、「金融型」の3つに分類されています。

今回は、このうち「購入型」にフォーカスして見ていきたいと思います。

2 購入型クラウドファンディングの実施方法

購入型クラウドファンディング」では、購入者から集めたお金を元手に製品の開発などを行い、完成した製品など(金銭以外のもの)をリターンとして購入者に提供します。

実施方法としては、以下の2つの方法があります。

(1)All or Nothing方式

All or Nothing方式」とは、プロジェクトが期間内に目標金額に達した場合のみ、実行者が支援金を得ることができる方式です。

この場合、実行者は必ずプロジェクトを実施しなければなりません。

これに対し、目標金額に達しなかった場合は、実行者は支援金を得ることができず、集まった支援金は支援者に返金されます。

(2)All in方式

All in方式」とは、プロジェクトが期間内に目標金額に達さなくとも、支援金を得ることができる方式です。

この場合、実行者は得られた支援金の額に関係なく、必ずプロジェクトを実施しなければなりません。

3 購入型クラファンを実施する際に注意すべき法規制

購入型クラウドファンディングを直接規制する法律はありませんが、以下の2つの法規制に注意する必要があります。

(1)景品表示法(景表法)

景品表示法(景表法)」とは、商品・サービスなどに付随して提供される「景品類」や商品・サービスなどに付される「表示」などを主に規制する法律です。

購入型クラウドファンディングとの関係で注意しなければならないのは、このうちの「表示規制」です。

景表法は、以下の2つの表示を「不当表示」として規制しています。

①優良誤認表示

優良誤認表示」とは、商品・サービスの品質や規格などについて、実際のものよりも著しく優良であると示す表示のことをいいます。

購入型クラウドファンディングでは、支援者へのリターンが予定されていますが、リターンとして提供する商品やサービスなどに付される表示が、優良誤認表示とならないよう注意する必要があります。

なお、優良誤認表示にあたるかどうかを判断するために必要があると認めるときは、消費者庁は事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとされています(不実証広告規制)。

この場合、事業者が資料を提出しなかったり、提出資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、不当表示とみなされます。

②有利誤認表示

有利誤認表示」とは、商品・サービスの取引条件(価格など)について、実際のものよりも著しく有利であると消費者に誤認されるような表示のことをいいます。

この点も、優良誤認表示の場合と同様、リターンとして支援者に提供する商品・サービスなどに付される表示が、有利誤認表示とならないよう注意することが必要です。

このほかにも、以下の6つの表示は、内閣総理大臣により「不当表示」として指定されています。

  • 無果汁の清涼飲料水等についての表示
  • 商品の原産国に関する不当表示
  • おとり広告に関する表示
  • 消費者信用の融資費用に関する不当表示
  • 不動産のおとり広告に関する表示
  • 有料老人ホームに関する不当表示

※「不当表示」について詳しく知りたい方は、「「誇大広告」とは?押さえておくべき4つの法律と罰則を分野別に解説」をご覧ください。

(2)特定商取引法

特定商取引法」とは、消費者の利益を守るために、事業者による違法・悪質な勧誘行為などを規制する法律です。

具体的には、訪問販売や通信販売などのように、消費者トラブルを生じやすい取引類型を規制対象としており、購入型クラウドファンディングは特定商取引法が規制する「通信販売」にあたります。

景表法上の規制と重なる部分もありますが、通信販売を行う事業者には以下のような規制が課されます。

①広告に関する表示義務

事業者は、通信販売に係る商品などについて広告をする場合、自社の情報や商品・サービスの取引条件(価格や支払時期、引渡時期など)を表示しなければなりません。

そうすることで、取引条件等に関する消費者とのトラブルを防ぐことができます。

②誇大広告等の禁止

事業者は、通信販売に係る商品などについて広告をするときは、著しく事実と異なる表示をしたり、実際のものよりも著しく優良・有利であると誤認させるような表示をしてはなりません。

これに違反した場合、行政処分や刑事罰の対象となるため、注意が必要です。

4 まとめ

購入型クラウドファンディングは、自社の新商品やサービスなどをPRできるとともに、それらが通用するかどうかを事前に確認することができます。

その意味では、事業者にとっては、魅力的な資金調達方法の一つであるといえます。

もっとも、購入型クラウドファンディングを実施するにあたっては、遵守すべき法規制があるため、それらをしっかりと理解したうえで実施する必要があります。

弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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現在は、弁護士としての企業顧問と、大学院での研究という2軸の活動をしています。 弁護士としては、IT・ゲーム・フィンテック領域を中心とした企業法務をサービスの中心としています。 大学院では、一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1)において、法令工学に基づいて処理済みのデータを計量統計的に処理する研究しています。 証券会社の社内弁護士として、暗号資産交換業の法制化初期に、登録申請やコンプライアンス体制の整備に従事し、独立後も国内外の暗号資産交換業者、投資助言・代理業者、資金決済関連事業者の顧問業務を担当し、許認可・当局対応から契約、社内規程、サービス設計まで幅広く支援してきました。 ゲーム・デジタルコンテンツ、AI・データ分野では、開発・運営に関する契約、利用規約、著作権、個人情報保護、データの取得・利用条件、課金・サービス提供スキームなどを取り扱っています。また、日常的な契約・会社法務、資本政策、資金調達、株主・役員関係、紛争対応など、企業の成長段階に応じたジェネラル・コーポレート業務にも対応しています。 また、中小企業診断士として、財務分析、事業計画、資金繰り、融資・エクイティを含む資金調達の検討にも関与しています。法的な可否やリスクを指摘するだけでなく、事業性、財務、オペレーションを踏まえた実行可能な選択肢を示し、契約、規程、業務フローに落とし込むことを重視しています。 【経歴】 2006年 弁護士登録。複数の法律事務所において、企業間紛争、訴訟その他の企業法務に従事。 2015年~2016年 米国ジョージ・ワシントン大学ロースクールに留学し、Intellectual Property Law LL.M.を取得。コンピュータ・ソフトウェア産業における知的財産保護、著作権、ライセンス及び契約法を研究。 2016年~2017年 証券会社の社内弁護士として、法制化初期の仮想通貨交換業、現在の暗号資産交換業に関する登録申請及びコンプライアンス体制の整備に従事。 独立後、海外大手企業を含む複数の暗号資産交換業者、金融商品取引業者(投資助言・代理業)、資金決済関連事業者の顧問業務を担当。許認可・当局対応、契約・規約、社内規程、事業スキームの設計などを支援。

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