資金調達におけるラウンドとは?3つのステージに分けて弁護士が解説

2023.02.23

はじめに

これから起業をしようと考えている方や、すでに会社を設立している方にとって、資金をどのようにして調達するかは一つの課題でもあります。

資金調達においては、その調達段階に応じて、「ラウンド」という概念があります。
事業者が資金調達を円滑に進めていくためには、この「ラウンド」という概念をきちんと理解しておく必要があります。

そこで今回は、資金調達における「ラウンド」について、その全体像を弁護士がわかりやすく解説します。

これから資金調達を予定している事業者は、是非参考にしてみてください。

1 資金調達におけるラウンドとは?

ラウンド」とは、投資家が企業に投資する段階のことを意味します。

投資家は一定の目的をもって企業に投資しますが、投資先がどの成長段階にあるかによって、最も適した投資金額や投資方法などが異なってきます。

とはいえ、投資家側からすれば、投資先の企業がどの成長段階にあるかはわかりません。
そのため、投資家に対してその段階を示す指標として「ラウンド」という概念が生まれました。

ラウンドは、以下のステージに分けて説明されることが一般的となっています。

  1. シードラウンド
  2. アーリーラウンド
  3. シリーズA~Cラウンド

2 シードラウンド

シードラウンド」とは、起業前の段階にあることを意味します。

具体的には、今後収益を上げていくための計画を立てたり、商品を開発したりする段階にあるのがシードラウンドです。

シードラウンドは、起業前の段階であるため、多くの資金を必要としないケースもありますが、その一方で、この段階から多くの資金を必要とするケースもあります。

いずれにしても、これから事業を展開していく段階にあるため、投資家側は、「将来的に収益を上げるビジネスモデルか」「責任をもって事業を遂行してくれるか」といった観点から投資判断をすることが多いといえます。
そのため、企業としては、しっかりとした事業計画を作成するなどして、投資家に期待感をもってもらわなければ、投資を受けることは難しくなります。

シードラウンドにおいては、主に、VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家による投資が多く、投資額は数百万円程度であることが一般的です。

3 アーリーラウンド

アーリーラウンド」とは、起業直後の段階にあることを意味します。

この段階にくると、ビジネスを軌道に乗せて収益を上げようと、企業の活動は活発になります。
とはいえ、アーリーラウンドではまだ収益を出せることがあまりないため、投資家側からすれば投資判断が難しい段階だといえます。

そのため、アーリーラウンドにある企業は、投資家にアピールするためにも、事業のビジョンを明確にすることが大切です。
いかにしてビジネスモデルに説得力を持たせ、投資家の期待感に繋げられるかが、重要になってきます。

アーリーラウンドは、VCによる投資だけでなく、「補助金」や「助成金」といった国の制度を利用することにより資金を調達することが多い段階でもあります。

4 シリーズA~Cラウンド

シリーズA~Cラウンドでは、成長段階に応じて、企業に求められる活動に違いがあります。

(1)シリーズAラウンド

シリーズAラウンド」とは、実際に事業を開始した段階であることを意味します。

事業を展開し、収益を出していくことにより、ビジネスモデルへの説得力が増し、投資家から信頼感を得ることができます。
そのため、シードラウンドやアーリーラウンドとは異なり、スムーズに投資を受けられるようになります。

シードラウンドやアーリーラウンドでは、数百万円程度しか調達できなかったものが、シリーズAラウンドでは、数千万~数億円の調達が見込めます。

また、この段階にくると、投資家に加え、社会的な信用も得られるため、投資家を選ぶことも可能になります。

(2)シリーズBラウンド

シリーズBラウンド」とは、企業やサービスの知名度が上昇し、事業が軌道に乗り始めた段階であることを意味します。

収益が伸びて経営が安定する段階でもあり、企業によっては、会社をより大きくするために株式上場を行うこともあります。

また、エグジット間近の段階であるため、企業は黒字化することを求められます。

事業の拡大に伴い、設備投資や広告宣伝費、優秀な人材の確保など、必要となる資金も大きくなるため、調達額が数億円となることも少なくありません。

(3)シリーズCラウンド

シリーズCラウンド」とは、黒字経営が安定化し、エグジット(IPOやM&Aなど)を意識する段階にあることを意味します。

エグジットをするために、企業には収益の確保が求められます。

企業によっては、資金調達が不要となるほど収益が安定する段階でもあります。
ですが、全国展開や海外進出を視野に入れて事業を拡大していく場合には、大規模な資金調達が必要となります。

そのため、調達額は数億円から数十億円に上ることもあります。

5 まとめ

資金調達は、企業の成長段階に応じてラウンドが分類されています。
実際に資金調達をする際には、自社のラウンドを正確に把握し、自社に適した資金調達方法を選択することが大切です。

また、資金調達を円滑に進めるためには、ラウンドに関係なく、ビジネスモデル等の信用力を高めることも大切です。

弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
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弁護士(東京弁護士会)・中小企業診断士 GWU Law LL.M.〔IP〕/一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(博士前期・2026年~) 金融規制、事業立上げ、KPI×リスク可視化を専門とする実務家×研究者のハイブリッド。

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