製造物責任法とは?3つの「欠陥」と免責される条件を弁護士が解説!

2022.09.07

はじめに

IoTを使ったサービスなどを展開する場合において、「製造物責任法」は押さえておかなければならない法律のうちの一つです。

多くのIoTサービスで用いられているデバイスに関し、欠陥などが原因となって消費者等に損害を与えた場合、事業者は、製造物責任を負う可能性があります。
製造物責任は、通常の不法行為責任に比べ、責任が重くなっているため、事業者は注意しなければなりません。

今回は、「製造物責任法」について、「欠陥」の意義や免責に必要な条件などを弁護士がわかりやすく解説します。

1 製造物責任法とは

製造物責任法(PL法)」とは、メーカーなどの製造業者が製造した製品に関し、欠陥などが原因となって他人に損害を与えた場合に負うこととなる責任の内容などを定めた法律です。

ここでいう「製造物」は、PL法により「製造又は加工された動産」と定義されています。
メーカーが製造・加工した製品の多くは「製造物」にあたると考えて良いでしょう。

また、あくまで「動産」であることが条件であるため、不動産やソフトウェアなどは、「製造物」にあたらず、製造物責任法の規制対象から外れます。

2 製造物責任法にいう「欠陥」とは

製造物責任法は、製造物責任について、以下のように定めています。

    • 製造物責任法3条(製造物責任)
    製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

このように、製造物責任が生じるのは、メーカーなどが製造した製品に「欠陥」があることが必要です。

(1)「欠陥」とは

欠陥」とは、製造物が通常有すべき安全性を欠いている状態にあることをいいます。

通常有すべき安全性を欠いているかどうかは、製造物の特性や通常予見される製造物の使用形態、また、メーカーが製造物を引き渡した時期などを考慮したうえで、判断されます。

(2)「欠陥」の態様

製造物の欠陥は、それが生じたタイミングなどに応じて、以下の3つの種類に分類されます。

①設計上の欠陥

設計上の欠陥」とは、製造物を設計する段階で、安全性への配慮が欠如していたことなどにより、通常有すべき安全性を欠くことになった場合をいいます。

②製造上の欠陥

製造上の欠陥」とは、製造物を製造する過程において、組立て方に誤りがあったことなどにより、予定されていた設計・仕様とは異なり、その結果、通常有すべき安全性を欠くことになった場合をいいます。

③指示・警告上の欠陥

指示・警告上の欠陥」とは、除くことのできない危険性が存在する製造物について、メーカーが消費者に対して、その危険を回避するための適切な情報を与えなかった場合のことをいいます。

以上のように、「欠陥」には3つの種類があり、これらの欠陥が製造物に存在していたことにより、消費者などに損害を与えた場合、事業者は製造物責任を負うこととなり、損害を与えた者に対して、損害を賠償しなければなりません。

3 製造物責任が免責されるケース

製造物の欠陥が原因となって、消費者などに損害を与えた場合であっても、製造物責任が免責される場合があります。

具体的には、以下のいずれかにあてはまる場合、製造業者は製造物責任を免責されます。

  • 「開発危険」が認められる場合
  • 他の製造業者による設計の指示に起因して欠陥が生じた場合

(1)「開発危険」が認められる場合

開発危険」とは、製造物を引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、製造物にその欠陥があることを認識することができなかった危険のことをいいます。

ここでいう「科学又は技術に関する知見」とは、科学や技術に関するさまざまな学問の成果を踏まえて、製造物の安全性について、その判断に影響を与えるような水準の科学知識または技術知識のことを指します。

つまり、開発危険を主張して製造物責任の免責を受けるためには、このような水準の科学知識または技術知識によっても、製造物にその欠陥があることを認識できなかったということを立証する必要があり、極めて難易度が高いといえます。

(2)他の製造業者による設計の指示に起因して欠陥が生じた場合

製造物が他の製造物の部品や原材料として使用されている場合において、その欠陥が他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がない場合、製造業者は製造物責任を免責されます。

この場合、製造業者が他の製造業者に対し部品や原材料を引き渡した時には、既に部品・原材料につき設計上の欠陥が存在しており、その欠陥が設計に関する指示に起因して生じたものであることが必要です。

4 まとめ

製品に欠陥があると、消費者の生命や身体に重大な危険を及ぼすおそれがあります。
製造物責任が生じると、事業者は、損害賠償責任を負うだけでなく、事業の信用を低下させるおそれすらあります。

そのような事態を招かないためには、しっかりとした体制を構築することが必要であり、また、消費者への指示・警告等、必要に応じて求められる対応を適切に実施していくことが大切です。

弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
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現在は、弁護士としての企業顧問と、大学院での研究という2軸の活動をしています。 弁護士としては、IT・ゲーム・フィンテック領域を中心とした企業法務をサービスの中心としています。 大学院では、一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1)において、法令工学に基づいて処理済みのデータを計量統計的に処理する研究しています。 証券会社の社内弁護士として、暗号資産交換業の法制化初期に、登録申請やコンプライアンス体制の整備に従事し、独立後も国内外の暗号資産交換業者、投資助言・代理業者、資金決済関連事業者の顧問業務を担当し、許認可・当局対応から契約、社内規程、サービス設計まで幅広く支援してきました。 ゲーム・デジタルコンテンツ、AI・データ分野では、開発・運営に関する契約、利用規約、著作権、個人情報保護、データの取得・利用条件、課金・サービス提供スキームなどを取り扱っています。また、日常的な契約・会社法務、資本政策、資金調達、株主・役員関係、紛争対応など、企業の成長段階に応じたジェネラル・コーポレート業務にも対応しています。 また、中小企業診断士として、財務分析、事業計画、資金繰り、融資・エクイティを含む資金調達の検討にも関与しています。法的な可否やリスクを指摘するだけでなく、事業性、財務、オペレーションを踏まえた実行可能な選択肢を示し、契約、規程、業務フローに落とし込むことを重視しています。 【経歴】 2006年 弁護士登録。複数の法律事務所において、企業間紛争、訴訟その他の企業法務に従事。 2015年~2016年 米国ジョージ・ワシントン大学ロースクールに留学し、Intellectual Property Law LL.M.を取得。コンピュータ・ソフトウェア産業における知的財産保護、著作権、ライセンス及び契約法を研究。 2016年~2017年 証券会社の社内弁護士として、法制化初期の仮想通貨交換業、現在の暗号資産交換業に関する登録申請及びコンプライアンス体制の整備に従事。 独立後、海外大手企業を含む複数の暗号資産交換業者、金融商品取引業者(投資助言・代理業)、資金決済関連事業者の顧問業務を担当。許認可・当局対応、契約・規約、社内規程、事業スキームの設計などを支援。

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