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改正会社法が2021年3月施行!5つのポイントをわかりやすく解説

法改正

はじめに

5年ぶりに改正された改正会社法が2021年3月に施行されます。
多くの上場企業は、改正会社法を十分に理解したうえで、同法に沿った運用が必要になります。

今回は、改正会社法の施行により、企業にどのような対応が求められるかを中心に見ていきたいと思います。

1 改正会社法のポイント

ポイント

今回の主な改正のポイントは、以下の通りです。

  1. 取締役における報酬決定方針の策定義務化
  2. 会社補償・D&O保険の規律の整備
  3. 社外取締役の設置義務化
  4. 社債管理補助者の創設
  5. 株主総会資料の電子提供制度の創設(2022年度予定)

2 取締役における報酬決定方針の策定義務化

役員

取締役の報酬は、取締役が適切に職務を執行するためのインセンティブとしてニーズが強いといえますが、他方で、報酬規制の透明性を確保しなければならないという側面もあります。
このような観点から、取締役の報酬規制が見直されました。

これまで、取締役の報酬については、取締役全員の報酬の総額が株主総会で決められてさえいれば、各取締役に支給される具体的な報酬額は明らかにしなくても問題ありませんでした。
今回の改正により、一部の大規模の監査役会設置会社や監査等委員会設置会社では、各取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬等の決定方針を取締役会で策定することが義務付けられます。

ここでいう「決定方針」の具体的な内容については、法務省令で定められることになりますが、これまでの法制審議会による審議の過程からすると、報酬を決定する際に、取締役の実績や貢献度を考慮して決定する、といった合理的な方針が必要になるものと推測されます。

3 会社補償・D&O保険の規律の整備

補償

これまでにも、損害賠償を恐れた役員などが職務の執行にあたって萎縮しないように、会社補償が必要だという指摘がありました。
他方で、会社補償の範囲をあまりに広くしてしまうと、役員などにおいて職務の適正性が損なわれたり、役員の責任などを定める規定の趣旨が損なわれたりするおそれもあります。

このような経緯を踏まえ、会社補償とD&O保険の規律が整備されました。

具体的には、職務執行に関して、役員などに法令違反が疑われるなどして、責任追及を受けたことで必要となる費用などを会社が補償する旨の規定が創設されました。
もっとも、役員が請求を受けた金額のすべてについて会社補償が認められるわけでなく、相当な範囲に限定されて会社補償が認められる場合もあります。

また、D&O保険に関する規定が新たに設けられました。
D&O保険(Directors and Officers Liability Insurance・役員等賠償責任保険契約)」とは、会社が保険者と締結する保険契約のうち、役員などがその職務執行に関して責任を負うことを約するものや責任追及を受けることによって生ずる損害を保険者が補填することを約するものであって、被保険者を役員とする契約のことをいいます。

このD&O保険契約を締結する際には、契約内容について、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議を経ることが必要になります。

会社補償やD&O保険契約については、既に締結している会社もあると思いますが、改正を踏まえた手続きが別途必要になる可能性があるため、いまいちど会社補償やD&O保険契約の内容を確認することをお勧めします。

4 社外取締役の設置義務化

社外取締役

会社と取締役が利益相反の関係にある場合、社外取締役が会社を代表するというケースがありますが、この場合、社外取締役は会社と利益相反の関係にならないのかといった問題の指摘がありました。

このような経緯を踏まえ、社外取締役を設置している株式会社(指名委員会等設置会社を除く)において、株式会社と取締役が利益相反の関係にあるときなどは、株式会社は、その都度、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、業務執行を社外取締役に委託できるとする旨の規定が創設されました。

また、一部の大規模な監査役会設置会社においては、社外取締役を設置することが義務付けられることになりました。
社外取締役を設置することが相当でない理由を株主総会で説明して義務を免れることができなくなりますので、注意が必要です。

5 社債管理補助者の創設

補助者

現状において、社債管理者を設置するためには、高いコストが必要になるため、多くの会社は社債管理者を置いていません。

今回の改正により、社債管理補助者が創設されました。
社債管理補助者」は、社債管理者より責任や権限が限定されており、一定の場合を除き、社債権者のために、社債の管理の補助を行うことができます。

社債管理補助者として想定されているのは、弁護士や弁護士法人です。
今後は、社債を発行する場合には、社債の発行額などを考慮したうえで、社債管理者と社債管理補助者のいずれを置くのかを決定することが求められます。

6 株主総会資料の電子提供制度の創設(2022年度予定)

電子

2022年予定とされていますが、株主総会資料の電子提供制度が創設されます。
電子提供」とは、電磁的方法により、株主に情報提供をすることをいいます。
会社は、定款で定めることにより、計算書類や事業報告書、議決権行使書面といった株主総会参考資料を電子提供できるようになります。

電子提供をする場合において、取締役会設置会社のように株主総会の招集通知を書面で行う必要がある場合には、株主総会の日の3週間前、もしくは、株主総会の招集通知を発した日のいずれか早い日から、株主総会の日後3ヵ月が経過するまでの間、株主総会の日時や場所、計算書類・事業報告記載事項(会社による招集の場合)などについて、 電子提供を行わなければなりません。

また、電子提供をする場合には、公開会社・非公開会社を問わず、株主総会の日の2週間前までに招集通知を発しなければならないことに注意が必要です。

7 まとめ

今回の改正は多岐にわたっており、改正の内容も複雑です。
会社形態に応じて、変更しなければならない内容もあります。

施行まであまり時間がありませんが、施行前に準備を進めていくことをお勧めします。

弊所は、法改正を踏まえたリーガルチェック等にも対応しております。
弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

勝部 泰之 (Yasuyuki Katsube)

   

トップコート国際法律事務所CEO。弁護士として稼働する傍ら、プログラマ・PMとして稼働した経験を活かし、システム開発に関連する業務を多く手掛ける。
法律相談チャットボットサービス「スマート法律相談」開発者。

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