著作権(知財)
256 PV

著作物を引用する際の3つの要件と注意点を弁護士がわかりやすく解説

この記事は「スタートアップに強い」トップコート国際法律事務所の弁護士監修による記事です。

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

なお、記事の内容は投稿時の法令・制度に基づいており、投稿後に法改正等がなされている可能性があります。
記事をご参考にされる際は、必ずご自身の責任において最新情報をご確認下さい。

はじめに

自社のウェブサイトなどにおいて、著名人の写真・文献などを「引用」する場合には、一定のルールに従わなければなりません。
深く考えずに引用してしまうと、著作権侵害となり、責任問題に発展する可能性があります。

とはいえ、引用する際のルールを正確に理解していない方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、他者の写真・文章などを引用する場合(著作物を引用する場合)に守るべきルールを中心に、弁護士がわかりやすく解説します。

1 著作物の引用とは

著作物の引用」とは、自分の表現物に他者の著作物を取り入れることをいいます。

ここからもわかるように、「著作物の引用」といえるためには、引用の対象が著作権法上の「著作物」にあたることが必要です。
引用の対象が「著作物」にあたらない場合は、そもそも著作権法の適用を受けないため、著作物の引用が問題となることもありません。

ここでいう「著作物」とは、以下の3つの要件をすべて満たすものをいいます。

  1. 思想・感情が表れていること
  2. 個性が表れていること
  3. 文芸・学術・美術・音楽の範囲であること


このように、表現された思想や感情に個性が表れているものを「著作物」といい、著作者に与えられる著作物の独占的利用権を「著作権」といいます。

他者の著作物を利用する場合には、原則として、著作者本人から許諾を受けることが必要ですが、その利用が著作権法上の「引用」にあたる場合には、著作者から許諾や譲渡を受けずとも著作物を利用することができます。

2 著作権法が定める「引用」とは

著作権法上の「引用」といえるためには、以下の3つの要件をすべて満たすことが必要です。

  1. 著作物が公表されていること
  2. 公正な慣行に合致するものであること
  3. 引用の目的上正当な範囲内で行われるものであること

(1)著作物が公表されていること

著作物が発行され、または、著作権者の許諾の下で上演・上映等されるなど、公衆に提示されていることが必要です(「著作物の公表」といいます。)。

著名人の写真・文献などは、一般的に公衆(不特定の者+特定かつ多数の者)に提示されていると考えられるため、公表された著作物にあたります。

(2)公正な慣行に合致するものであること

「公正な慣行」がどのようなことを指すのか、よくわからないという方も多いと思います。

この要件については、明確な基準があるわけではありません。

公正な慣行に合致しているかどうかは、著作物の種類や引用の目的などから、社会通念上妥当といえるかどうかで判断されることになります。

(3)引用の目的上正当な範囲内で行われるものであること

引用目的に照らし「正当な範囲内」で引用されていることが必要です。

「正当な範囲内」にあるか否かは、以下の3つの基準から判断されます。

  1. 引用の必要性の有無
  2. 引用の量・範囲が引用目的との関係で必要な範囲内にあるか
  3. 引用方法が適切か


これらは、個別の事案ごとに判断するほかなく、これまでの裁判例においても、正当な範囲内にあるか否かの判断が分かれています。

3 著作物を引用する際の注意点

他者の著作物を引用する場合には、以下の5点に注意する必要があります。

  1. 引用の必要性
  2. 主従関係を明確にすること
  3. 引用部分が明確に区別されていること
  4. 引用部分に修正を加えていないこと
  5. 引用元が明記されていること

(1)引用の必要性

そもそも引用の必要性がなければ、それはもはや正当な「引用」とはいえません。

たとえば、他人の記事を批評する場合には、その記事を引用しなければ、批評することができないため、そこに引用の必要性が認められます。

(2)主従関係を明確にすること

主従関係」とは、作成するコンテンツにおいて、オリジナル部分と引用部分がメイン(主)と補足(従)の関係にあることをいいます。

たとえば、分量を比較した場合に、オリジナル部分が引用部分に比べわずかであるような場合には、双方の部分が主従関係にあるとはいえないため、正当な「引用」とはいえません。

(3)引用部分が明確に区別されていること

引用部分がオリジナル部分と明確に区別されていることが必要です。
引用部分があたかもオリジナルであるような引用方法は、正当な「引用」とはいえません。

両者を明確に区別する方法としては、引用部分に「」(カギかっこ)を使用したり、引用部分を太字にすることなどが挙げられます。

(4)引用部分に修正を加えていないこと

他者の著作物を引用する場合は、修正を加えずにそのまま引用しなければなりません。

もっとも、引用部分が長くなる場合には、その部分を要約して引用することができますが、その場合、著作物の趣旨に忠実に要約することが条件となります。

要約の方法によっては、著作物の趣旨に反することになる可能性もあるため、要約をする場合には十分に注意しなければなりません。

(5)引用元が明記されていること

引用をする場合は、引用元を明記する必要があります。

たとえば、文献から引用する場合には文献の名称と著者名を、ウェブサイトから引用する場合にはウェブサイトの名称とURLを明記する必要があります。

4 まとめ

著作権者の許諾を受けずに著作物を引用する場合には、「引用」に必要な3つの要件を満たしているかどうかをきちんと確認することが必要です。
また、実際に引用する際には、今回見てきた5つの注意点をしっかりと押さえるようにしましょう。

著作権を侵害するような事態になると、ウェブサイトやメディアが炎上するだけでなく、損害賠償責任を負う可能性もあるため、注意が必要です。

弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

なお、記事の内容は投稿時の法令・制度に基づいており、投稿後に法改正等がなされている可能性があります。
記事をご参考にされる際は、必ずご自身の責任において最新情報をご確認下さい。    

勝部 泰之 (Yasuyuki Katsube)

 

弁護士、株式会社リーガル・テクノロジーズ代表取締役。弁護士として稼働する傍ら、プログラマ・PMとして稼働した経験をもとにシステム開発に関連する業務を多く手掛ける。
法律相談チャットボットサービス「スマート法律相談」開発者。東大AIベンチャーのTDAI Labと共同で法令検索機能をリリース(PRTIMES)。

事務所概要、詳しいプロフィールはこちら

"著作権(知財)"の人気記事はこちら
TOPCOURTコミュニティに参加しませんか?
           
あなたのビジネスや法的なお悩みを気軽にお話ください。私たちがすぐにフォローアップいたします。
お問い合わせ