商標権とは?取得することのメリットや発生する2つの効果を解説

2023.05.16

はじめに

商品やサービスの目印ともなる「商標」ですが、そもそも商標権を取得することに、どのようなメリットがあるかご存知でしょうか。

商標権は出願さえすればすぐに取れるもの?といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

商標権を取得しようと検討している事業者は、「商標権」について正しい知識を身につけておくことが必要です。

今回は、「商標権」について、その全体像をわかりやすく解説します。

1 商標権とは

商標」とは、自社が取り扱う商品やサービスを他社のものと区別するために、事業者が使用するマークのことをいいます。

商品を購入したりサービスを利用したりする場合、商品やサービスのマークを目印として選ぶ人もいるのではないでしょうか。
商品やサービスに信用力がついてくると、それに伴い、商標にも「信頼」や「安心」といったブランドイメージがついていきます。

このように、商標は、事業者にとって、商品やサービスの顔となるものであり、このような商標を財産として守るのが「商標権」です。

商標には、文字や図形をはじめ、記号、立体的形状などのように、さまざまなタイプがあります。

(1)商標権を取得するメリット

商標権を取得するメリットは、主に以下の2点にあります。

  • 自社の商標として独占的に使用できる
  • 自社の商標と同一または類似する商標の使用を禁止できる

商標権を取得した事業者は、登録時に指定した商品やサービスについて、登録した商標を独占して継続的に使用することができます。

そのため、指定した商品やサービスについて、他社は同一または類似する商標を勝手に使用できなくなります。

(2)商標権の期間

商標権は、設定登録の日から10年が経過することにより失権します。

もっとも、例外なく10年で失権するとなると、それまで事事活動によって蓄積された信用が保護されないことになります。

そのため、必要に応じて、商標権の存続期間を10年更新することができるようになっており、更新は何度でもすることができます。

2 商標権は出願すればすぐに取れる?

商標権を取得するためには、特許庁へ商標を出願して、商標登録を受ける必要があります。

出願をすると、商標審査官による審査が実施され、審査に通過した場合にのみ商標登録を受けることができます。

もっとも、ここでいう審査は、出願した書類につき形式的な不備がないかを審査する「方式審査」と商標権としての権利化を認めるべきかを審査する「実体審査」とに分かれており、出願したからといってすぐに商標権の登録を受けられるわけではありません。

なお、特許庁サイトによれば、令和3年2月時点で、商標登録の出願後、審査に着手するまでの期間の目安はおよそ1年とされています。

審査に着手するまでにおよそ1年を要することになりますので、実際に権利化されるまでは、それ以上の期間を要することになります。

※商標審査期間を短縮する方法については、「商標審査期間を短縮するためには?3つの審査方法をわかりやすく解説」をご覧ください。

3 商標権の効果

審査に通り登録料を納付すると、商標権が発生します。

先に見たメリットとも重複しますが、商標権が発生すると、その効果として、権利者は以下のようなことができるようになります。

  1. 登録商標の独占的使用
  2. 登録商標と同一または類似する商標の使用排除

(1)登録商標の独占的使用

指定した商品やサービスについて、登録した商標を独占的に使用できるようになります。

商品とサービスは、それぞれ複数に区分されており、たとえば、商品の区分としては、「貴金属・宝飾品」や「おもちゃ」などが挙げられます。
また、サービスについては、「広告」や「電気通信」などが例として挙げられます。

商標は、指定した商品やサービスとセットで登録されるため、指定した商品・サービスとの関係では、登録した商標を自社が独占して使用することができるようになります。

(2)登録商標と同一または類似する商標の使用排除

指定した商品やサービスと同一または類似する商品・サービスに、登録商標と同一または類似する商標を使用する事業者に対して、その使用をやめさせることができます。

商標権は、日本国内であれば全地域にその効果が及ぶため、遠方の地域で自社の登録商標と同一または類似する商標を使用している者に対しても、その使用をやめさせることができます。

もっとも、以下のような場合には、商標権の効果は及ばないこととされているため、登録商標を使用しても商標権を侵害したことにはなりません。

  • 事業者の名称を普通に用いられる方法で表示する場合
  • 商品やサービスの普通名称や品質などを普通に用いられる方法で表示する場合

たとえば、自社の名称と同一の登録商標があった場合、自社の名称を示すことを目的としている場合には、問題なく使用することができます。

また、商品やサービスの普通名称や品質を示す文字などが登録されている場合、商品やサービスの普通名称や品質を示すことを目的としている場合には、第三者も自由に使用することができます。

このような場合にまで、商標権の効果を及ぼしてしまうと、経済活動に支障が生じる可能性があるため、このような例外が設けられているわけです。

4 まとめ

商標登録は、「早い者勝ち」であるため、たとえその商標を先に使用していたとしても、登録を受けていなければ、登録を受けた者に対抗することができません。
つまりは、先に商標登録をした事業者が保護されるということです。

事業が軌道に乗ってきた矢先、商標を横取り的に先に登録されてしまうことは少なくありません。
このようなことにならないように、商標はできるだけ早めに権利化しておくことが大切です。

弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
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現在は、弁護士としての企業顧問と、大学院での研究という2軸の活動をしています。 弁護士としては、IT・ゲーム・フィンテック領域を中心とした企業法務をサービスの中心としています。 大学院では、一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1)において、法令工学に基づいて処理済みのデータを計量統計的に処理する研究しています。 証券会社の社内弁護士として、暗号資産交換業の法制化初期に、登録申請やコンプライアンス体制の整備に従事し、独立後も国内外の暗号資産交換業者、投資助言・代理業者、資金決済関連事業者の顧問業務を担当し、許認可・当局対応から契約、社内規程、サービス設計まで幅広く支援してきました。 ゲーム・デジタルコンテンツ、AI・データ分野では、開発・運営に関する契約、利用規約、著作権、個人情報保護、データの取得・利用条件、課金・サービス提供スキームなどを取り扱っています。また、日常的な契約・会社法務、資本政策、資金調達、株主・役員関係、紛争対応など、企業の成長段階に応じたジェネラル・コーポレート業務にも対応しています。 また、中小企業診断士として、財務分析、事業計画、資金繰り、融資・エクイティを含む資金調達の検討にも関与しています。法的な可否やリスクを指摘するだけでなく、事業性、財務、オペレーションを踏まえた実行可能な選択肢を示し、契約、規程、業務フローに落とし込むことを重視しています。 【経歴】 2006年 弁護士登録。複数の法律事務所において、企業間紛争、訴訟その他の企業法務に従事。 2015年~2016年 米国ジョージ・ワシントン大学ロースクールに留学し、Intellectual Property Law LL.M.を取得。コンピュータ・ソフトウェア産業における知的財産保護、著作権、ライセンス及び契約法を研究。 2016年~2017年 証券会社の社内弁護士として、法制化初期の仮想通貨交換業、現在の暗号資産交換業に関する登録申請及びコンプライアンス体制の整備に従事。 独立後、海外大手企業を含む複数の暗号資産交換業者、金融商品取引業者(投資助言・代理業)、資金決済関連事業者の顧問業務を担当。許認可・当局対応、契約・規約、社内規程、事業スキームの設計などを支援。

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