利用規約とは?契約との違いや作成時における4つの注意点を解説!

2022.03.30

はじめに

利用規約」という言葉をご存知の方は多いと思います。

ウェブサービスやアプリなどを利用する場合には、必ずといっていいほど、この「利用規約」のページを目にします。

このように、事業者が新たなウェブサービスやアプリなどを始める際には、「利用規約」を作成する必要があります。
もっとも、なぜ利用規約が必要になるのか、契約との違いは何なのかなど、利用規約についてあまり詳しくないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、「利用規約」が必要となる理由や契約との違いを中心に、作成時の注意点にも触れながら弁護士がわかりやすく解説します。

この記事を執筆したのは

弁護士 勝部 泰之
弁護士・中小企業診断士 勝部 泰之
東京弁護士会 所属
注力:知的財産権・著作権/ライセンス、ブロックチェーン、データ・AI法務
GWU Law LL.M.(知的財産法)
事業の成長とリスクを両立する実務寄りの助言に注力しています。

1 利用規約とは?|なぜ必要?

利用規約」とは、事業者が作成するサービスの利用上のルールのことをいいます。

利用上のルールを設けることにより、サービスを阻害するような利用者を排除することができ、利用者との間でトラブルが生じた場合にも迅速に解決することが可能になります。

また、多数に上るサービスの利用者と個別に契約を締結していては膨大な手間がかかるため、多くのウェブサービスなどでは利用規約という形が採られているのです。

以上のような理由で、「利用規約」はウェブサービス等を始める場合にはその作成が必須となるわけです。

2 「利用規約」と「契約」の違い

「利用規約」と「契約」は、主に以下の2点に違いがあります。

(1)交渉の有無

利用規約は、サービスを提供する事業者によって一方的に定められるルールです。
そのため、利用者が事業者と交渉するなどしてその内容を変更することはできません。

これに対し、契約は契約当事者の交渉によって、その条件などを調整していくことが一般的です。
そのため、相手方との交渉により、その内容を変更することも可能です。

(2)一方的な内容変更の可否

利用規約の多くは、改正民法が定める「定型約款」にあたります。

改正民法では、一定の条件を満たしていれば、事業者は一方的に利用規約(定型約款)の内容を変更することができるとされています。

本来であれば、利用者から個別に変更への同意を得る必要がありますが、このような対応を求めることは現実的ではありません。
そこで、改正民法は、一定の条件の下で、利用者の同意を擬制し、個別の同意を得ることなく利用規約(定型約款)を変更できるようにしているのです。

これに対し、契約の場合、契約当事者が一方的に契約の内容を変更することはできません。
契約の内容を変更するためには、その変更について必ず相手方と合意することが必要です。

※「定型約款」について詳しく知りたい方は、「利用規約を作成する際に押さえておくべき6つの法律を弁護士が解説!」をご覧ください。

3 利用規約を作成する際の注意点

利用規約を作成する際には、主に以下の点に注意しながら進めていくことが大切です。

  1. 利用者とのバランス
  2. 禁止事項とペナルティ
  3. 免責事項
  4. 各種法令の遵守

(1)利用者とのバランス

利用規約は、サービスを提供する事業者によって一方的に定められるルールであるため、どうしても事業者に有利な内容になりがちです。

ですが、その内容があまりに利用者に不利な内容になっていると、消費者契約法により無効として扱われる可能性があります。
それだけでなく、ネットでの炎上を招くなど、利用者の反発を買う要因にもなります。

このような事態を避けるためには、利用者の目線に立つなどして、事業者と利用者のバランスに配慮した利用規約を作成することが大切です。

(2)禁止事項とペナルティ

サービスを円滑に運用していくためには、「禁止事項」を定めておくことが必要です。

もっとも、禁止事項を定めるだけでは、抑止力として十分ではありません。
そのため、禁止事項に加えて、禁止事項に違反した場合のペナルティを定めることが必要です。

この場合、できるかぎり具体的に定めておくことが必要であり、解釈に疑義が生じるような内容にしていると、トラブルの要因にもなるため注意が必要です。

※禁止事項の定め方について詳しく知りたい方は、「利用規約の禁止事項の定め方は?3つのポイントをわかりやすく解説!」をご覧ください。

(3)免責事項

免責事項」とは、サービスに関して発生しうる損害賠償責任について、制限や免除を設けた条項のことをいいます。

事業者としては、できるだけ会社に責任が生じないような内容に作成したいところですが、以下のように、利用者に一方的に不利となる場合、その条項は消費者契約法・民法により無効となる可能性があります。

  • 会社はいかなる場合も損害賠償責任を一切負わない
  • 会社に故意・重過失がある場合も、利用者が責任を負う

以上のような免責事項を利用規約に定めることは可能ですが、実際に損害が発生した場合において、裁判上で損害賠償を請求された場合、当該規定は無効と判断され、損害賠償を命じられる可能性が高いため、注意するようにしましょう。

※免責事項の定め方について詳しく知りたい方は、「利用規約の免責事項を作成しよう!4つのビジネスモデル別に徹底解説」をご覧ください。

(4)各種法令の遵守

サービスの内容に応じて、各種法令を遵守する必要があります。

たとえば、最近でも多く見受けられますが、いわゆる投稿型のサービスにおいては、投稿されるものについて著作権が誰に帰属するのかなどを明確にしておく必要があります。

また、多くのサービスでは、利用者情報を取り扱うことになるため、個人情報保護法に則った個人情報の取り扱いが必要になります。

4 まとめ

利用規約は、作成を誤ると、炎上や利用者とのトラブルに発展するおそれがあります。

サービスの内容、利用者とのバランス等を十分に考慮したうえで、適切な利用規約を作成することが大切です。

弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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現在は、弁護士としての企業顧問と、大学院での研究という2軸の活動をしています。 弁護士としては、IT・ゲーム・フィンテック領域を中心とした企業法務をサービスの中心としています。 大学院では、一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1)において、法令工学に基づいて処理済みのデータを計量統計的に処理する研究しています。 証券会社の社内弁護士として、暗号資産交換業の法制化初期に、登録申請やコンプライアンス体制の整備に従事し、独立後も国内外の暗号資産交換業者、投資助言・代理業者、資金決済関連事業者の顧問業務を担当し、許認可・当局対応から契約、社内規程、サービス設計まで幅広く支援してきました。 ゲーム・デジタルコンテンツ、AI・データ分野では、開発・運営に関する契約、利用規約、著作権、個人情報保護、データの取得・利用条件、課金・サービス提供スキームなどを取り扱っています。また、日常的な契約・会社法務、資本政策、資金調達、株主・役員関係、紛争対応など、企業の成長段階に応じたジェネラル・コーポレート業務にも対応しています。 また、中小企業診断士として、財務分析、事業計画、資金繰り、融資・エクイティを含む資金調達の検討にも関与しています。法的な可否やリスクを指摘するだけでなく、事業性、財務、オペレーションを踏まえた実行可能な選択肢を示し、契約、規程、業務フローに落とし込むことを重視しています。 【経歴】 2006年 弁護士登録。複数の法律事務所において、企業間紛争、訴訟その他の企業法務に従事。 2015年~2016年 米国ジョージ・ワシントン大学ロースクールに留学し、Intellectual Property Law LL.M.を取得。コンピュータ・ソフトウェア産業における知的財産保護、著作権、ライセンス及び契約法を研究。 2016年~2017年 証券会社の社内弁護士として、法制化初期の仮想通貨交換業、現在の暗号資産交換業に関する登録申請及びコンプライアンス体制の整備に従事。 独立後、海外大手企業を含む複数の暗号資産交換業者、金融商品取引業者(投資助言・代理業)、資金決済関連事業者の顧問業務を担当。許認可・当局対応、契約・規約、社内規程、事業スキームの設計などを支援。

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