暗号資産(仮想通貨)/ブロックチェーン
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資金決済法に違反するとどうなる?3つの事業に応じた罰則などを解説

違反

はじめに

暗号資産(仮想通貨)を扱うサービスやアプリ内でコインやポイントを購入するサービス、個人間で送金するサービスなどに対しては、「資金決済法」が一定の規制を設けています。

資金決済法では、それぞれの事業について、細かくルールが定められているため、知識として万一ルールに違反してしまった場合の罰則も把握しておきたいと考える事業者の方もいらっしゃると思います。

そこで、この記事では、

  1. 資金決済法における主な罰則
  2. 規制の回避方法

などについて、詳しく解説します。

※なお、本文中の記事リンクは過去に当サイトで掲載したものであるため、2020年5月施行の「改正資金決済法」に対応していない内容の記載もございます。あくまでも参考としてご利用ください。

1 資金決済法における罰則とは

罰則

資金決済法は、主に下記の3つについて定めた法律です。

  1. 暗号資産(仮想通貨)交換業
  2. 前払式支払手段
  3. 資金移動業

資金決済法では、これらに関する規制が細分化されており、規制に違反した場合の罰則も設けられています。罰則は、対象者が個人か事業者かによって、科される罰金や懲役の金額、長さが異なります。
以下では、上記3つの分野について、主な罰則を紹介していきます。

2 暗号資産(仮想通貨)交換業

暗号資産交換業

これまで「仮想通貨」と呼ばれていたものは、改正資金決済法により「暗号資産」と呼ばれるようになりました。

資金決済法上、暗号資産(仮想通貨)交換業は以下の行為のいずれかを事業として行うことをいいます。

  1. 暗号資産の売買や他の暗号資産との交換
  2. 1の媒介や取次ぎ、代理
  3. 1、2に関して、利用者の金銭を管理すること
  4. 他人のために暗号資産を管理すること

これらのいずれかにあてはまる場合は暗号資産交換業にあたり、事業者は、内閣総理大臣の登録を受けなければ、事業を行うことはできません。

また、登録を受けた後も、事業者は暗号資産交換業者としてさまざまな規制を課されます。

これらの規制に違反すると、事業者は、以下のような罰則を科される可能性があります。

(1)登録に関する罰則

先に見たように、暗号資産交換業を行う事業者は、内閣総理大臣から登録を受けなければなりません。

にもかかわらず、無登録で暗号資産交換業を行ったり、虚偽の情報に基づき登録申請を行った場合には、以下のとおり、罰則を科される可能性があります。

①無登録で暗号資産交換業を行った

無登録で暗号資産交換業を行った場合、

  • 最大3年の懲役
  • 最大300万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

また、法人である場合には、違反行為者とは別に、法人に対しても、

  • 最大300万円の罰金

が科される可能性があります。

②登録申請時の虚偽記載

事業者が、暗号資産交換業者として登録を受けるためには、登録申請をする必要があります。

このとき、登録申請書や添付書類に虚偽の記載をした場合、

  • 最大6ヶ月の懲役
  • 最大50万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

(2)登録業者の義務違反に対する罰則

登録を受けた後においても、事業者にはさまざまな義務が課されます。

以下では、そのうち2つの義務に違反した場合の罰則について見ていきます。

①広告の表示義務違反

暗号資産交換業者は、広告を出す際、下記のことを表示するよう義務づけられています。

  • 暗号資産交換業者の商号
  • 暗号資産交換業であることと、その登録番号
  • 暗号資産は日本の通貨または外国通貨ではないこと
  • 暗号資産の性質のうち、利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして、内閣府で定めるもの

これらの表示義務に違反した場合、

  • 最大6ヶ月の懲役
  • 最大50万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

また、法人である場合には、違反行為者とは別に法人に対しても、

  • 最大50万円の罰金

が科される可能性があります。

②財産の分別管理義務

暗号資産交換業者は、その事業に関して、自社と利用者の金銭が混同しないように、分別して管理し、信託会社などに信託しなければなりません。

また、事業で取り扱う暗号資産についても、自社と利用者の暗号資産が混同しないように、分別して管理する必要があります。

にもかかわらず、分別して管理をしなかったり、信託会社などに信託しなかった場合は、

  • 最大2年の懲役
  • 最大300万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

また、法人である場合には、違反行為者とは別に法人に対しても、

  • 最大3億円の罰金

が科される可能性があります。

※暗号資産交換業者に科される罰則について、詳しくは「仮想通貨交換業の法律規制とは?改正資金決済法を弁護士が5分で解説」の記事を参照ください。

3 前払式支払手段

前払式支払手段

前払式支払手段」とは、ゲーム内で使う通貨(コイン)やポイント、決済のために使用する電子マネーなど、事前に購入するものをいい、「自家型」と「第三者型」の2種類があります。

それぞれの違いは以下の通りです。

  • 自家型  ⇒ 発行している事業者が提供するサービス内でのみ使えるものをいい、たとえば、アプリ
          ゲーム内でのみ利用可能なコインや通貨などが自家型にあたります
  • 第三者型 ⇒ 発行している事業者が提供するサービス以外でも使えるものをいい、たとえば、コンビ
          ニなどで利用できる交通系電子マネーなどが第三者型にあたります

自家型を発行する場合、基準日における自家型前払式支払手段の未使用残高が1000万円を超えていない限り、届出などの手続きは不要ですが、第三者型を発行する場合には、あらかじめ財務局長等の登録を受けておくことが必要です。

にもかかわらず、無届出・無登録で前払式支払手段を発行すると、事業者は、以下のような罰則を科される可能性があります。

(1)無届出業者・無登録業者に対する罰則

自家型前払式支払手段を発行する事業者が、届出が必要であるにもかかわらず、これを怠ると、

  • 最大6ヶ月の懲役
  • 最大50万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

また、無登録で第三者型前払式支払手段を発行すると、

  • 最大3年の懲役
  • 最大300万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。これは個人も事業者でも同様です。

さらに、法人である場合には、違反行為者とは別に、法人に対しても、

  • 最大50万円の罰金(無届出業者)
  • 最大300万円の罰金(無登録業者)

が科される可能性があります。

(2)前払式支払手段発行者に対する罰則

前払式支払手段発行者は、届出や登録の要否を問わず、主に、以下のような義務を課されます。

  1. 情報提供義務
  2. 供託義務
  3. 払い戻し義務

①情報提供義務

前払式支払手段の発行者は、Webサイトなどを使い、発行者の氏名(名称)や前払式支払手段の支払可能金額等、相談窓口の所在地や連絡先などの情報を提供しなければなりません。

発行者に情報提供義務を課すことにより、ユーザーは、トラブルなどに遭遇した場合もすぐに発行者に連絡を取るなどして、解決を図ることができます。

このように、前払式支払手段発行者には情報提供義務が課されますが、事業者が情報を提供しなかったり、提供したもののその情報が虚偽のものである場合は、

  • 最大30万円の罰金

が科される可能性があります。

②供託義務

供託義務」とは、前払式支払手段発行者が倒産などにより事業が継続できなくなった場合に備え、利用者に返金するお金(発行保証金)を保全しておくことを義務付けるものです。

供託義務は、毎年3月末または9月末を基準日として、発行済みの前払式支払手段の未使用残高が1000万円を超えている場合に事業者に課されるものです。

この場合、事業者は、未使用残高の半額にあたる金額を供託などの方法により保全しなければならないため、最低でも500万円を保全する必要があることになります。

事業者が供託義務に違反し、発行保証金を供託しなかった場合、

  • 最大6ヶ月の懲役
  • 最大50万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

また、法人の場合は、違反行為をした従業員とは別に法人に対しても、

  • 最大1億円の罰金

が科される可能性があります。

③払い戻しに関する広告・情報提供義務

前払式支払手段発行者が、発行業務の一部または全部を停止する場合、発行者は利用者から預かっていた金銭を払い戻さなければなりません。

具体的には、自家型を発行している事業者が提供するゲーム等のサービスを終了した場合や第三者型を発行している事業者が登録拒否事由にあたることとなって登録が取り消された場合などに、事業者は、利用者に対して金銭を払い戻さなければなりません。

利用者に払い戻しをする場合、事業者は、主に、下記の事項を公告するとともに、利用者に対して下記事項に関する情報を提供しなければなりません。

  • 払い戻しをすること
  • 前払式支払手段の保有者は、60日以内の一定の期間内に事業者まで申し出ること
  • 申し出のない保有者については、払戻し手続きから除外すること

事業者が、これらの事項を公告しなかったり、虚偽の公告をした場合、

  • 最大1年の懲役
  • 最大300万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

4 資金移動業

資金移動業

資金移動業」とは、金融機関(銀行など)以外の事業者が、100万円を上限とした為替取引を事業として行うものです。

資金移動業を行うためには、内閣総理大臣の登録を受ける必要があり、登録後も資金移動業者として一定の規制を課されることになります。

これらのルールに違反した事業者は、以下のとおり、罰則を科される可能性があります。

(1)無登録業者に関する罰則

登録を受けずに資金移動業を行うと、金融機関(銀行など)以外の事業者が為替取引を行ったことになるため、資金決済法ではなく、銀行法違反となります。

この場合、

  • 最大3年の懲役
  • 最大300万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

不正な手段で登録を受けた場合も同様です。

また、法人の場合は、違反行為者とは別に法人に対しても、

  • 最大3億円の罰金

が科される可能性があります。

(2)登録業者の義務違反に対する罰則

資金移動業者として登録を受けた事業者には、主に下記3つの規制が課されます。資金移動業者がこれらの規制に違反した場合、以下で見るように、一定の罰則が科される可能性があります。

  1. 履行保証金の供託等
  2. 名義貸しの禁止
  3. 帳簿書類の作成・保存義務

①履行保証金の供託等

資金移動業者は、送金途中で滞留している資金の全額以上の額を「履行保証金」として保全しなければなりません。滞留している資金が1000万円以下であっても保全すべき履行保証金額は1000万円となるため、事業者は、最低でも1000万円の履行保証金を供託などの方法により保全しなければならないことになります。

事業者が、履行保証金の供託等に違反した場合、

  • 最大1年の懲役
  • 最大300万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

②名義貸しの禁止

資金移動業者は、自社の名称を使って他社に資金移動業を行わせてはなりません。

名義貸しを許してしまうと、実質において、無登録の事業者に資金移動業を行わせることを許すことにもなり、また、利用者において、名義を貸した事業者(登録を受けた事業者)と誤認するおそれがあるためです。

このように、登録を受けた資金移動業者は、他者に名義を貸すことが禁じられていますが、これに違反すると、

  • 最大3年の懲役
  • 最大300万円の罰金

を科される可能性があります。

また、法人である場合には、違反行為者とは別に、法人に対しても、

  • 最大300万円の罰金

が科される可能性があります。

③帳簿書類の作成・保存義務

資金移動業者は、事業に関する帳簿書類を作成したうえで、これを保存しなければなりません。

にもかかわらず、帳簿書類を作成・保存しなかったり、虚偽の内容の帳簿書類を作成した場合には、

  • 最大1年の懲役
  • 最大300万円の罰金

のいずれか、または両方を科される可能性があります。

また、法人である場合には、違反行為者とは別に、法人に対しても、

  • 最大2億円の罰金

が科される可能性があります。

5 規制を回避するには?

規制回避

暗号資産交換業や前払式支払手段の発行事業、資金移動業を営む場合には、それぞれにさまざまな規制が課されることになりますが、これらの規制を回避する方法はあるのでしょうか。

(1)暗号資産(仮想通貨)交換業

暗号資産交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができません。

もっとも、暗号資産交換業者として登録を受けるためには、極めて厳しい条件をクリアしなければならず、スタートアップなどにとっては現実的ではありません。

そのため、いかにして暗号資産交換業にあたらないようにするかを考える必要があります。

ここでいまいちど、「暗号資産交換業」の定義について確認しておきましょう。

  1. 暗号資産の売買や他の暗号資産との交換
  2. 1の媒介や取次ぎ、代理
  3. 1、2に関して、利用者の金銭を管理すること
  4. 他人のために暗号資産を管理すること

このように、暗号資産交換業にあたるためには、①~④のうちどれか一つを満たしていることに加え、満たしている行為について事業性が認められることが必要です。

逆にいえば、これらの条件のうち、一つでも満たさない条件がある場合には、暗号資産交換業にあたらないことになります。

たとえば、暗号資産交換業にあたるためには、その前提として、「暗号資産」を取り扱うことが必要ですが、暗号資産にあたらないように設計することで、暗号資産の該当性を回避することができ、その結果、暗号資産交換業にあたらないようにすることが可能です。

※暗号資産の該当性を回避するための考え方については「日本で新たな仮想通貨を販売する際の2つの法律規制を弁護士が解説!」をご参照ください。

(2)前払式支払手段

先に見たように、前払式支払手段発行者はいくつかの義務を課されることになりますが、その中でも事業者にとって負担の大きい義務が「供託義務」です。

供託義務を回避するには、下記の2つの方法があります。

  1. 利用規約にエクスパイア条項を設ける
  2. サービス内でコインやポイント消費イベントを開催する

①利用規約にエクスパイア条項を設ける

前払式支払手段は、その有効期限が発行日から6ヶ月以内である場合には、供託義務が課されないこととなっています。

そのため、利用規約などにあらかじめ「エクスパイア条項」(有効期限について定めた条項)を設けるなどして、有効期限を6ヶ月(または180日)以内とすることで、供託義務を回避することができます。

※前払式支払手段の有効期限について、詳しくは「資金決済法にいう「6ヶ月」とは?前払式支払手段の有効期限を解説!」の記事をご参考ください。

②サービス内でコインやポイント消費イベントを開催する

供託義務は、基準日となる3月末と9月末の時点で発行済みの前払式支払手段の未使用残高が1000万円を超えている場合に生じるものです。

このように、供託義務が発生するかどうかは、基準日における未使用残高によって決まるため、たとえば、基準日において未使用残高が1000万円を超えないようにしておくことも方法のひとつです。

具体的には、アプリやサービス内でイベントを開催し、利用者がコインやポイントを消費しやすくするようにしておくことが考えられます。

※供託義務の回避方法について、詳しくは「資金決済法の供託金とは?支払義務の回避方法2つを弁護士が徹底解説」でも説明しています。

(3)資金移動業

資金移動業に当たるサービスを展開するためには、登録を受ける必要があり、登録後においても、事業者は様々な規制を課されることになります。

資金移動業の登録は、暗号資産交換業と同様に、ハードルが高くなっているため、登録を受けることが難しい事業者は、可能なかぎり、資金移動業にあたらないスキームを構築する必要があります。

たとえば、考えられるスキームとして、「収納代行スキーム」が挙げられます。

収納代行」とは、商品などの提供者から代金の受領について委託を受けた事業者が、利用者や購入者から代金を受け取り、商品の提供者に代金を渡す仕組みをいいます。身近なところでいうと、コンビニで支払う公共料金などが収納代行にあたります。

収納代行は、利用者・購入者が収納代行業者に代金を支払った時点で、利用者の支払義務が消滅するため、収納代行業者は資金移動業にあたらないのが原則です。

もっとも、収納代行という形をとっているすべてのケースにおいて、資金移動業にあたらないというわけではありません。

たとえば、収納代行の仕組みを採っている「割り勘アプリ」が、資金移動業の規制対象に入れられる予定になっているなど、収納代行については、今後規制が強化される可能性があります。

現状では、収納代行のうち、コンビニでの公共料金の支払いやエスクローサービス、宅配などに利用される代引きなどについては、資金移動業の規制が及ばないとされているため、これらを参考に、サービスを構築する必要があります。

※「収納代行」に関する改正案について、詳しくは「割勘アプリに規制が!資金決済法改正ポイント3つを法律案を基に解説」の記事を参考にしてみてください。

6 小括

小括

資金決済法が定める罰則は細かく分かれており、懲役や罰金の程度も様々です。

一方で、2020年3月に国会に提出された資金決済法の改正案によれば、前払式支払手段や資金移動業、収納代行などについて、一部改正が行われることが予定されています。

そのため、これまでは規制対象となっていなかったスキームが規制対象となるなど、改正点もきちんと押さえておく必要があります。

これから新規サービスを展開する予定の事業者は、罰則も含め、自社のサービスに及ぶ規制をきちんと理解したうえで、適切に事業を展開していくようにしましょう。

7 まとめ

これまでの解説をまとめると、以下の通りです。

  • 資金決済法は、主に、①暗号資産(仮想通貨)交換業、②前払式支払手段、③資金移動業などについて定めた法律である
  • 無登録で暗号資産交換業を行った場合、①最大3年の懲役、②最大300万円の罰金のいずれか、または、その両方を科される可能性がある
  • 届出が必要であるにもかかわらず、届出をすることなく、自家型前払式支払手段を発行すると、①最大6ヶ月の懲役、②最大50万円の罰金のいずれか、または、両方を科される可能性がある
  • 無登録で第三者型前払式支払手段を発行すると、①最大3年の懲役、②最大300万円の罰金のいずれか、または、両方を科される可能性がある
  • 無登録で資金移動業を行うと、銀行法違反となり、①最大3年の懲役、②最大300万円の罰金のいずれか、または、両方を科される可能性がある
  • 暗号資産交換業にあたらないようにするための方法として、暗号資産の該当性を回避することが考えられる
  • 前払式支払手段発行者に課される供託義務を回避する方法として、①利用規約などにエクスパイア条項を盛り込む、②前払式支払手段の消費を促すイベントの開催、などが考えられる
  • 資金移動業にあたらないようにするためには、エスクローサービスなどの収納代行スキームを検討する必要がある
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