はじめに

bitFlyerの様な仮想通貨取引所の開設やICOの文脈で仮想通貨交換業の登録をしたいけれども、その方法・流れや申請書類の書き方などがよくわからず、困っている方は多いのではないでしょうか。

仮想通貨交換業の登録制度は始まったばかりな上、実際に登録が認められた事業者数もまだまだ少なく、登録方法をネットで調べようとしても詳しく解説しているコンテンツは少ないのが現状です。

そこで今回は、仮想通貨交換業とは何か、仮想通貨交換業の登録をうけるための要件や申請登録の流れ、提出書類などを、弁護士がわかりやすく解説していきます。

目次

1 登録申請から登録までの4ステップ

4ステップ

具体的な解説に入る前に、仮想通貨交換業登録までのおおまかな4ステップを確認します。以下の図を見ながら解説をご覧ください。

仮想通貨交換業登録の4ステップ、

仮想通貨交換業の登録申請をする前に、まずは、①自社で実現しようとしているプロジェクトの中身が「仮想通貨交換業」にあたるのかを確認する必要があります。この時点で仮想通貨交換業にあたらないと判明した場合には、登録をうけなくてもサービスの提供をすることができます。

次に、②仮想通貨交換業の登録に必要な「要件」を備えているかの確認をします。要件を備えていない場合には、仮想通貨交換業の登録をすることはできません。ということは、検討しているサービスについても実現不可能となってしまいます。

仮想通貨交換業の登録に必要な要件を備えていることを確認したら、その後にようやく③登録の申請手続きです。申請手続きには事前面談や事前審査がありますが、これらをクリアして④仮想通貨交換業の登録完了となります。

それでは以下で、仮想通貨交換業登録の具体的な中身について解説していきます。

2 仮想通貨交換業規制の全体像

仮想通貨交換業

(1)仮想通貨交換業って何?

仮想通貨交換業」とは、ビットコインなどの「仮想通貨」の売買・交換に関するサービスを行うことをいいます。

ビットコインをはじめとした「仮想通貨」を扱う「仮想通貨法(改正資金決済法)」では、「仮想通貨交換業」の要件を以下のように定めています。

  1. 仮想通貨の
  2. 売買または仮想通貨同士の交換をすることorこれらの行為の媒介・取次・代理をすること
  3. 「2」の行為に関して、利用者の金銭or仮想通貨の管理をすること
  4. 以上の行為を「事業」として行うこと

この要件をすべて満たす事業のみが「仮想通貨交換業」となります。そして、「仮想通貨交換業」を行う事業者のことを「仮想通貨交換業者」といいます。

現在(2018年3月7日時点)、日本国内での仮想通貨交換業者の登録をしている会社は、16社あります(※仮想通貨交換業者登録一覧を参照)。

仮想通貨取引所の開設をはじめ、この「仮想通貨交換業」に当てはまる事業をやろうとする場合には、金融庁に仮想通貨交換業者の登録申請をして金融庁から「登録」という形でお墨付きをもらう必要があります。

そのため、「仮想通貨交換業」にあてはまるのにもかかわらず、金融庁を無視して登録をせずに事業を行った場合、

  • 最大3年の懲役
  • 最大300万円の罰金

というペナルティを受けてしまいます。

反対に、そもそも「仮想通貨交換業」に該当しないような事業であれば、金融庁への登録申請は必要ありません。交換業のルールは適用されないため、自由に事業を運営していいわけです。

そのため、これから仮想通貨取引所の開設をはじめ、仮想通貨ビジネスを始める企業は、申請うんぬんの前に、自社の事業が「仮想通貨交換業」に当てはまるかどうかを確認する必要があります。

次の項目では、どのような場合に「仮想通貨交換業」にあたり、どのような場合に当てはまらないのかを、事例を挙げながら詳しくみていきます。

(2)仮想通貨交換業の登録が必要な場合・不要な場合

平成29年4月1日に施行された仮想通貨法(改正資金決済法)により、仮想通貨の取扱をするためには「仮想通貨交換業」の登録を受けなければならなくなりました。言い換えれば、きちんと登録を受けていないのであれば、仮想通貨を扱うサービスをしてはいけません

繰り返しになりますが、「仮想通貨交換業」とは、

  1. 仮想通貨の
  2. 売買・交換or「売買・交換」の媒介・取次・代理をすること
  3. 「2.」の行為に関して、利用者の金銭or仮想通貨の管理をすること
  4. 「2.3」を「事業として」行うこと

の要件をすべてみたす事業のことをいいます。

各要件についてみていきましょう。

①-1「仮想通貨」を扱うこと

仮想通貨」とは、インターネットを通じてユーザーが直接やりとりできる実態のない通貨で、スマホやパソコンなどのネット環境があれば世界中どこにいても使うことができます。

仮想通貨は、「通貨」といっても、私たちが普段使っている円やドルなどの「法定通貨」ではありません。もっとも、2017年に施行された「仮想通貨法(改正資金決済法)」で、仮想通貨は財産的価値を持ち、決済手段として使用できるもの、と認められました。最近ではビックカメラなど、多くのお店で仮想通貨による決済が可能となりましたね。

さて、仮想通貨法(改正資金決済法)では、仮想通貨を以下の2つに分けて定義しています。

  • 1号仮想通貨
  • 2号仮想通貨

以下で順番に確認しましょう。

①-2 1号仮想通貨

    【1号仮想通貨の定義】

  1. 物品の購入・仮受け、または役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用できること(要件1:不特定性)
  2. 不特定の者を相手方として購入・売却を行うことができる財産的価値であること(要件2:財産的価値)
  3. 電子機器その他の物に電子的方法によって記録され、電子情報処理組織を用いて移転することができるものであること(要件3:電子的記録)
  4. 日本通貨・外国通貨、通貨建資産でないこと(要件4:非法定通貨)

これらの要件をすべてみたすものを「1号仮想通貨」といい、代表的なものとして、ビットコインイーサリアムがあります。

上に示した要件の中でも大切なのが、「不特定性」の部分です。そのうえで1号仮想通貨の要件を簡単にまとめると、以下のようになります。

    【1号仮想通貨といえるには】

  • 不特定の人との間で、
  • +

  • 物を売ったり買ったりするときに決済手段として使えること
  • 仮想通貨そのものを売ったり買ったりできること

言い換えれば、特定の人との間でしかやり取りができないようなものは、1号仮想通貨にはあてはまらず、これを使ったプレジェクトに関しては仮想通貨交換業の登録をする必要ありません

①ー3 2号仮想通貨

    【2号仮想通貨の定義】

  1. 不特定の者を相手方として、1号仮想通貨と交換することができる財産的価値であること(要件1:交換可能性)
  2. 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの(要件2:電子的記録)

これら2つの要件をみたすものが「2号仮想通貨」です。1号仮想通貨との大きな違いは、2号仮想通貨とは、1号仮想通貨と交換できるものである、という部分です。

ビットコインなどの1号仮想通貨にあてはまらない仮想通貨は、それ自体の価値がとても低く、決済手段としての利用方法などは想定されていません。その代わり、「財産的価値の高い1号仮想通貨と交換できること」が要件となっています。

なお、2号通貨の場合も、「不特定のものを相手方として」という要件があるため、特定の人としか交換できないものについては要件をみたさず、仮想通貨交換業の登録は必要ありません。

※仮想通貨の定義についてさらに詳しく知りたい方は、「仮想通貨の法律規制とは?仮想通貨法6つのポイントを弁護士が解説!」・「仮想通貨事務ガイドライン」をご覧ください。

②-1:売買・交換

仮想通貨の「売買・交換」とは、事業者自身がユーザーの相手方となって、ビットコインなどの仮想通貨を売ったり買ったり、交換をすることをいいます。たとえば、ビットコインを買いたいユーザーに対して、事業者がビットコインを売る場合です。

②-2:媒介・取次・代理

仮想通貨の売買・交換の「媒介・取次・代理」とは、ユーザーからの売買や交換の注文を仮想通貨交換業者へつなげることをいいます。たとえば、取引所で売り注文と買い注文をマッチングさせることや(=媒介)、ユーザーの代わりに仮想通貨の売り買いをすること(=取次・代理)をいいます。

③「①・②」の行為に関して、利用者の金銭or仮想通貨の管理をすること

利用者の金銭や仮想通貨を「管理」することとは、取引所などにおいて、ユーザーが保有する仮想通貨や、仮想通貨を買うときに使う・または売ったときに生じたお金を管理することをいいます。ビットフライヤーなどの取引所に、自分の仮想通貨やお金を預けている人は多いのではないでしょうか。

なお、この要件に関しては、「仮想通貨の売買・交換・媒介などの行為に関して」という条件が付いているため、実質的には「仮想通貨の売買・交換・媒介などを行っているのか(条件①・②)」がポイントとなります。

④事業として行うこと

さらに、仮想通貨交換業の定義の最後に、「以上の行為を事業として行うこと」とあります。「事業として行う」とは、事業者が、「商売(事業内容)」として何回も継続的に仮想通貨の売買・交換、媒介などをすることをいいます。

以上の要件をみたすプロジェクトのみが「仮想通貨交換業」となり、金融庁へ申請して「登録」という形でお墨付きをもらう必要があります。

反対に、これらの要件のうち、一つでもみたさないものがあれば、「仮想通貨交換業」の登録は不要となります。

もっとも、どういう場合に仮想通貨交換業にあたるのかの具体例があった方がわかりやすいかと思いますので、以下では具体例を示しておきます。

(3)仮想通貨換業の登録がいらない場合・いる場合の具体例

①仮想通貨交換業の登録がいらない場合

    【事例1】
    そもそも取扱う暗号通貨が改正資金決済法上の「仮想通貨」に当たらない場合

ICOの文脈で企業が発行する「独自トークン」が技術的な譲渡制限がかけられている、アプリ内コインのように、サービス内でしか使えないなど、改正資金決済法に定義する「仮想通貨」に当たらないケースでは、仮想通貨をそもそも取り扱っていないことになるので、交換業の登録は不要です。

※ICOの詳細を知りたい方は、「ICOの8つの法律規制と合法的資金調達のやり方とは?弁護士が解説」を参照ください。

    【事例2】
    単に仮想通貨を発行するだけの場合(特に他の仮想通貨とのエクスチェンジをしない場合)

仮に、発行ないし取り扱うコインが「仮想通貨」に当たる場合でも、交換業が必要なのは、あくまでも仮想通貨を「売買・交換」or売買・交換の「媒介・取次・代理」をしている場合に限られます。

そのため、単に仮想通貨を「発行(保有)」しているだけでは、交換などはしていないので「仮想通貨交換業」の登録は不要です。

    【事例3】
    企業が、単発で資産として仮想通貨を買う場合

たとえば、ある企業が、自社の資産を増やすためにビットコインを1,000万円分買った場合です。

このように、企業が仮想通貨を買う場合でも、それが単発でしかも資産目的なのであれば、「事業として行う」という要件をみたさないため、仮想通貨交換業の登録をする必要はありません。

    【事例4】
    商品やサービスの代金を仮想通貨で支払う・支払ってもらう場合

有名なところではビックカメラなどで導入されている、代金の支払いをビットコインなどの仮想通貨で行えるパターンです。

商品やサービスを売ったり買ったりした場合に、その代金をビットコインなどの仮想通貨で支払うor支払ってもらう行為は、法律上は「代物弁済」にあたります。「代物弁済」とは、お金ではなく「モノ」によって支払いをすることをいいます。この「代物弁済」をすること・されることについては、仮想通貨法(改正資金決済法)上とくに規制は設けられていません。

そのため、これらの行為をするにあたって仮想通貨交換業の登録は必要ありません。

    【事例5】
    個人が単発で、家族や友人と仮想通貨の売り買いや交換をしたり、代理行為をする場合

たとえば、家族に頼まれて、代わりに仮想通貨を買う場合です。

この場合、あくまでも個人が単発で、身内や知り合いのために仮想通貨の売り買いをするのであれば、「事業として行うこと」という要件をみたさないため、仮想通貨交換業の登録は必要ありません。

もっとも、個人であっても、普段から不特定多数の人向けに仮想通貨の売買や交換、媒介行為をしていて、それを商売にしているのであれば、仮想通貨交換業の登録が必要となるため注意が必要です。

②仮想通貨交換業の登録が必要な場合

    【事例6】
    企業がZaifbitFlyerの様な仮想通貨取引所の開設をする場合

仮想通貨の取引所では、ビットコインやイーサなどの仮想通貨の売買・交換の「媒介・取次」などをしていることになりますので、ドンピシャで「仮想通貨交換業」の登録が必要になります。

    【事例7】
    ICOにより発行されたトークンが既に国内または海外の取引所において取り扱われている場合
    ※「一般社団法人日本仮想通貨事業者協会」が平成29(2017)年12月8日付で発表したICOガイドラインを参照

企業がICOをする際には、イーサやビットコインなどの「仮想通貨」による払い込みと引き換えに、「独自トークン」を発行・交付します。

この独自トークンが、LINEコインのようにサービス内でしか使えないといった制限がなく、お金と同じように市場価値がつき、取引所において取引の対象とされているような場合、その独自トークンは「仮想通貨」にあたる可能性があります。

そのため、この「仮想通貨」としての独自トークンをICOにおいてイーサなどとのエクスチェンジをする場合、そのICOプロジェクトは「仮想通貨交換業」にあたり、登録申請の手続きが必要になると考えられています。

    【事例8】
    ICOをする際のトークンの発行時点において、将来の国内又は海外の取引所への上場可能性を明示又は黙示に示唆している場合
    ICOガイドラインを参照

ICOをする際のホワイトペーパーやwebサイト上などで、「弊社の独自トークンは、将来、仮想通貨取引場に上場する予定です」のような記載がある場合や、このような直接的な記載がなくとも、コンテクストなどから上場可能性が示唆されている場合にも、その独自トークンが「仮想通貨」にあたり、仮想通貨交換業の登録が必要になる、とされています。

    【事例9】
    ICOをする際の独自トークンについて発行者が、本邦通貨又は外国通貨との交換及び1号仮想通貨との交換を、トークンの技術的な設計等において、実質的に制限していないと認められる場合
    ICOガイドラインを参照

ICOをする際に発行する独自トークンを支えるブロックチェーンの「技術面」で、イーサなどの「仮想通貨」とのエクスチェンジを制限していない場合、発行した独自トークンを「仮想通貨」とみなし、仮想通貨交換業の登録が必要になる、とされています。

※もっとも、以上のICOガイドラインの考え方には異論もありえるところです。金融庁の公式見解ではないので、ICOの際には、金融庁との密な連携を取りながら慎重に進めましょう。

(4)ペナルティ

以上の検討の結果、自社の検討しているプロジェクトが「仮想通貨交換業」にあてはまる場合には、交換業の登録が必要となります。

それにももかわらず、登録を受けないまま仮想通貨の取扱いをすると、

  • 最大3年の懲役
  • 最大300万円の罰金

のどちらか、もしくは両方が科される、という厳しいペナルティが発動される可能性があります。そのため、この場合には金融庁へ登録申請をして、必ず登録を受けるようにしてください。

仮想通貨交換業者への規制について詳しく知りたい方は、「仮想通貨の法律規制とは?仮想通貨法6つのポイントを弁護士が解説!」ご覧ください。

これらを踏まえて、次の項目からは、①どのような流れで仮想通貨交換業の登録申請手続きが進むのか、という形式面と、②実際に登録を受けるためにはどういった要件を満たす必要があるのか、③登録を受けるためのポイントを解説していきます。

3 仮想通貨交換業の登録の流れ

登録の流れ

まずは、仮想通貨交換業の登録申請をしてから、登録が完了するまでのフローを確認しましょう。

仮想通貨交換業の登録の流れは以下のようになります。

  • 仮想通貨交換業の登録に必要な要件を備えていることの確認
  • 登録の申請①:事前相談・事前審査
  • 登録の申請②:本申請
  • 仮想通貨交換業の登録が完了

仮想通貨交換業の登録について、すぐに申請できて登録が完了する、と思っている方もいるかもしれません。

ですが実際は、本申請の前に事前相談や事前審査があり、意外と面倒な手続きになります。事前審査をクリアして初めて、「本申請」ができる関係にあります。

審査は2段階あるということですね。

次の項目から順番に確認していきます。

4 仮想通貨交換業の登録をうけるための要件

要件

仮想通貨交換業の登録は、誰でもできるわけではありません。登録を受けようとする事業者は、次の要件を備える必要があります。

  1. 組織的な要件
  2. 財産的な要件
  3. 業務遂行に関する要件(社内体制)
  4. 法令遵守に関する要件(社内体制)
  5. 商号についての要件
  6. 他事業についての要件

これらの要件を備えた上で登録申請をすると、審査がなされ、これをクリアすると仮想通貨交換業の登録をうけることができます。言い換えれば、これらの要件をみたさないまま申請しても、登録をうけることができません

以下で要件を順番にみていきましょう。

(1)組織的な要件

登録を申請する事業者は、

  • 株式会社であること
  • or

  • 国内に営業所・代表者を置く外国仮想通貨交換業者であること

が必要です。

(2)財産的な要件

財産的な要件として、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 資本金の額が1,000万円以上であること
  2. 純資産額がマイナスではないこと

資本金の額に最低ラインが設けられているのは、仮想通貨交換業を始める上で、取引を適正かつ確実に行えるだけのシステムを準備する必要があり、これにはある程度の初期投資が必要だからです。

また、純資産額がマイナスでないことという要件については、債務超過の事業者が仮想通貨交換業者となることを防ぐためであると考えられます。

(3)業務遂行に関する要件(社内体制)

仮想通貨の取引が決済手段の1つになりつつあることなどに鑑みて、ユーザーの金銭や仮想通貨の分別管理など、利用者保護のための措置が適切に行われる必要があります。

そのため、仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する社内体制が整備されていることが必要です。

具体的には、内部管理部門や内部監査部門の機能強化、適切な業務管理体制を確保するためのモニタリングがなされているか、などです。

(4)法令遵守に関する要件(社内体制)

仮想通貨交換業者が法令をきちんと守り、適正・確実な業務運営に努めることで、ユーザーの仮想通貨交換業に対する信頼を向上させることになります。そのため、仮想通貨法の規定を遵守するために必要な社内体制が整備されていることが必要です。

具体的には、コンプライアンスに対する研修や教育体制が確立されているか、役職員のコンプライアンス意識の向上・醸成に努めているかどうか、などです。

(5)商号についての要件

仮想通貨交換業の登録をする場合、他の仮想通貨交換業者が使っている商号や名称と同じ、もしくは似ているものは登録することができません

同じ名前の仮想通貨交換業者がいると、ユーザーを混乱させ、公正な取引や取引の安全を保つことができなくなるからです。

(6)他事業についての要件

仮想通貨交換業を行おうとしている事業者が、これ以外に他の事業を行っている場合、この「他の事業」が公益に反しないことが必要となります。

以上が、仮想通貨交換業の登録を受けるための要件になります。

5 仮想通貨交換業の登録申請①:事前相談・事前審査

事前相談

上記要件をみたすことを確認したら、本申請の前に事前相談をし、その後事前審査を受けることになります。

(1)事前相談

事前相談の手順は以下のとおりです。

  1. 財務局へ電話する
  2. 書類を準備する
  3. 担当者と面談する

順番にみていきましょう。

①財務局への電話

まずは自社の所在地を管轄する財務局に電話して、「仮想通貨交換業の登録をしたいです!」と伝えます。東京の事業者の場合は、金融庁の仮想通貨モニタリングチーム(03-3506-6000)という仮想通貨の専門部署に連絡しましょう。

なお、全国の申請窓口一覧は以下のとおりです。

仮想通貨交換業登録申請先一覧1

仮想通貨交換業者届出申請先一覧2

②書類の準備

登録を受けたい旨を伝えると、電話窓口の人に事前に準備するべき書類を指定されます。書式のフォーマットは担当者の方が送ってくれるので、漏れのないように以下の内容を記載した書類を作成します。

  • 会社概要(株主や役員、資本金額、純資産額など)
  • 仮想通貨交換業の予定される形態・内容(売買、交換、媒介、取次、代理から選択)
  • 取扱予定の仮想通貨の種類
  • 仮想通貨交換業を開始する時期
  • 取り扱う仮想通貨の適切性
  • 差金決済取引の有無

この書類は次の「③担当者との面談」で使用するので、嘘や間違いがあってはいけません。

なお、本申請のときには提出するべき書類がかなりたくさんあります。これらの書類をこの段階で準備して担当者に提出しておくと、本申請までの流れがスムーズになります。

後ほど詳しく説明しますが、本申請に必要な提出書類は以下のとおりです。

    【本申請の際の主な提出書類】

  1. 登録申請書
  2. 登録申請者が登録拒否事由に該当しないことの誓約書
  3. 取締役、監査役、会計参与、外国仮想通貨交換業者の場合は国内における代表者(取締役等)の住民票の抄本
  4. 取締役等が成年被後見人、被保佐人および破産者等に該当しないことの証明書(取締役等が外国人である場合、取締役等が成年被後見人、被保佐人および破産者等に該当しないことの誓約書)
  5. 取締役等の履歴書または沿革
  6. 株主名簿
  7. 定款
  8. 登記事項証明書
  9. 外国仮想通貨交換業者の場合、外国の法令の規定により当該外国において仮想通貨交換業の登録と同種類の登録を受けた者であることを証する書面
  10. 最終の貸借対照表及び損益計算書またはこれらに代わる書面(新設法人の場合には、開設時の貸借対照表)
  11. 会計監査人設置会社の場合、登録の申請の日を含む事業年度の会計監査報告の内容を記載した書面
  12. 事業開始後3事業年度における仮想通貨交換業に係る収支の見込みを記載した書面
  13. 取り扱う仮想通貨の概要を説明した書類
  14. 仮想通貨交換業に関する組織図(内部管理に関する業務を行う組織を含む)
  15. 仮想通貨交換業を管理する責任者の履歴書
  16. 仮想通貨交換業に関する社内規則
  17. 利用者と取引を行う際に使用する契約書類
  18. 仮想通貨交換業の一部を第三者に委託する場合は、当該委託に係る契約の契約書
  19. 苦情処理措置および紛争解決措置の内容
  20. その他参考となる事項を記載した書面

現在、仮想通貨交換業の登録はとても混み合っているため、モタモタしていると登録が遅れてしまいます。「登録手続きはスピード感が大事!」と意識することが大切です。

③担当者との面談

書類が準備できたら、次は財務局の担当者との面談です。東京の事業者の場合は、金融庁で仮想通貨モニタリングチームの担当者の方と面談をします。

所要時間は1時間半ほどで、金融庁の「仮想通貨事務ガイドライン」に記載されている事項を中心にヒヤリングが行われます。

面談の具体的な内容は以下のとおりです。

  • 仮想通貨の仕組みやリスクの説明
  • 「内部管理」、「内部監査」を行う部署・部門
  • 外部監査について
  • 本人確認措置を行う部署
  • 分別管理の方法
  • 反社会勢力のチェック方法
  • 犯収法上の取引確認、疑わしい取引の届出方法
  • 紛争解決措置の方法

上記の内容をかなりつっこんでヒヤリングされますので、きちんと答えられるように事前に「仮想通貨事務ガイドライン」の内容を把握し準備しておくことが重要です。

(2)事前審査

面談の後、本申請のための申請書の書き方見本審査内容に関する166項目のチェックリストが渡されるので、これに従って申請書を作成します。

もっとも、本申請をするためには、申請書だけではなくいろいろな社内規定も整備しなければなりません。一部ですが、具体的には以下のとおりです。

  • コンプライアンス規定
  • 利用者保護規定
  • 財産の分別管理に関する規定
  • 帳簿書類保管に関する規則
  • 取引時確認等の措置
  • 反社会的勢力による被害の防止に関する社内規則
  • 苦情処理に関する社内規則
  • ADR制度に対する社内規則
  • システムリスク管理に対する社内規則
  • 外部委託に関する社内規則

定める項目は各規定につき10個以上あるので、ゼロベースで作成するのはかなり大変かと思います。ですが、これらをきちんと作成しなければ本申請に進めません。

申請書とこれらの社内規定をまとめた必要書類を提出すると、担当者による事前審査が行われます。担当者とのやり取りは基本的にメールで行われ、書類の内容に不備があれば修正して再提出⇒確認してもらうという作業を、OKがでるまで繰り返します。

この事前審査を通過すると、本申請をすることができます。なお、事前相談から事前審査を通過するまでに3~4ヶ月かかるため、余裕を持って早めに事前相談に行くことをおすすめします。

6 登録の申請②:本申請

申請書

事前審査を突破することができたら、いよいよ本申請です。

(1)本申請に必要な書類

本申請をするためには、申請書の他にもたくさんの提出書類が必要となります。

以下が主な提出書類です。

    【本申請の際の主な提出書類】

  1. 登録申請書
  2. 登録申請者が登録拒否事由に該当しないことの誓約書
  3. 取締役、監査役、会計参与、外国仮想通貨交換業者の場合は国内における代表者(取締役等)の住民票の抄本
  4. 取締役等が成年被後見人、被保佐人および破産者等に該当しないことの証明書(取締役等が外国人である場合、取締役等が成年被後見人、被保佐人および破産者等に該当しないことの誓約書)
  5. 取締役等の履歴書または沿革
  6. 株主名簿
  7. 定款
  8. 登記事項証明書
  9. 外国仮想通貨交換業者の場合、外国の法令の規定により当該外国において仮想通貨交換業の登録と同種類の登録を受けた者であることを証する書面
  10. 最終の貸借対照表及び損益計算書またはこれらに代わる書面(新設法人の場合には、開設時の貸借対照表)
  11. 会計監査人設置会社の場合、登録の申請の日を含む事業年度の会計監査報告の内容を記載した書面
  12. 事業開始後3事業年度における仮想通貨交換業に係る収支の見込みを記載した書面
  13. 取り扱う仮想通貨の概要を説明した書類
  14. 仮想通貨交換業に関する組織図(内部管理に関する業務を行う組織を含む)
  15. 仮想通貨交換業を管理する責任者の履歴書
  16. 仮想通貨交換業に関する社内規則
  17. 利用者と取引を行う際に使用する契約書類
  18. 仮想通貨交換業の一部を第三者に委託する場合は、当該委託に係る契約の契約書
  19. 苦情処理措置および紛争解決措置の内容
  20. その他参考となる事項を記載した書面

このように、かなり多くの書類を提出しなければなりません。

これれらの提出書類のうち、登録申請書や誓約書、履歴書などは様式が用意されています。以下に様式の見本とリンクを貼っておきますので、ぜひご活用ください。

【申請書様式】

ダウンロードはe-Gov「仮想通貨交換業の登録の申請」の下部「書面による手続きに関する情報」から行えます。

①登録申請書(一部抜粋)

登録申請書1

登録申請書2

登録申請書3

②登録申請者が登録拒否事由に該当しないことの誓約書

登録拒否事由に該当しないことの誓約書

③取締役等が成年被後見人、被保佐人および破産者等に該当しないことの証明書

青年被後見人でないことの誓約書

④取締役等の履歴書

履歴書

⑤取締役等沿革

沿革

⑥株主名簿

株主名簿

※上記様式のダウンロードはこちらから。

(2)申請方法

本申請の申請方法は以下の2つのどちらかです。

    【申請方法】

  1. 書面による申請
  2. 電子申請システムによる申請

①書面による申請

上記書類を用意したら、管轄財務局・財務事務所・出張所へ直接持っていくか、郵送で提出します。

各地の財務局・財務事務所・出張所の所在地と連絡先一覧は財務省の「一覧ページ」から確認できます。

②電子申請システムによる申請

電子申請システムにより申請する場合は、「e-Gov電子申請システム」から行います。

リンクをクリックすると、以下の画面が表示されます。

イーガブ

電子申請システムを初めて利用する方は、左側のボタンを押していただくと、申請の一連の流れを確認することができます。

申請システム初めて1

イーガブ2

電子申請システムの利用準備をするには、最初の画面で右側のボタンをクリックします。

電子申請2

次のページに表示される確認項目にすべてチェックを入れると、申請手続きの検索画面が出てくるので、「仮想通貨交換業 登録」で検索します。

イーガブ検索

検索結果

検索すると上の2件が表示されますので、日本の事業者の方は下のリンクから、外国の事業者の方は上のリンクから表示画面に従い順番に手続きを行ってください。

提出書類のうち、印鑑証明書や会社の登記簿抄本、戸籍謄本など、原本を提出する日強のある書類については、電子申請とは別に郵送などで提出する必要があります。

別送書類一覧はe-Gov「別送書類一覧」から確認できます(詳細は窓口担当の方にお問い合わせください)。

なお、電子システムによる申請は24時間365日可能です。

(3)書面・電子システム両方に共通する事項

登録の申請をする際は、上で示した提出書類一式と登録申請書の写し2通を提出する必要があります。また、諸事情により日本語以外の言語で書類を記載した場合は、訳文も一緒に提出します。

登録自体に手数料はかかりませんが、登録免許税として15万円が別途かかります。

なお、登録が認められるかどうかは、仮想通貨法(改正資金決済法)に定められている「登録拒否事由」に該当するか否かを基準に判断されます。

登録拒否事由」にあたる場合とは、最初に挙げた「登録を受けるための要件」6つをみたさない場合や、登録申請書・添付書類のうち重要な事項について嘘の記載があった場合、また、重要な事項の記載が欠けていた場合などです。

(4)登録手続きが完了するまでの期間

本申請後、申請内容に問題がなければおよそ1~2ヶ月で登録が完了します。事前申請から合わせると、従来であれば、トータルで6ヵ月ほど(「標準処理期間」)で登録手続きが完了するとされていました。

ところが、最近では、実際の所要期間は、トータルで8ヶ月~12ヶ月程度かかるとみておくの無難です。

というのも、金融庁の担当者いわく、仮想通貨交換業の登録申請をしている企業数は、現時点で知る限り100社を超え、標準処理期間を過ぎているにもかかわらずいまだ審査が通っていないからです。

このような状況を踏まえると、登録までにかかるスケジュールの目安は、登録申請の手続きに着手してから数えて、およそ8ヶ月~12か月と考えておくのがよいでしょう。

もっとも、取り扱う仮想通貨の種類によって登録にかかる期間は変わります。

たとえば、取り扱う仮想通貨がビットコインなどの有名な仮想通貨の場合、審査期間は短めになる傾向があります。一方、ICOの際に発行する独自トークンなど、無名のものである場合、仮想通貨への該当性や、仮想通貨交換業への該当性について判断する必要があるため、審査期間は長くなる傾向があります。

どちらにせよ、仮想通貨交換業の登録にはある程度の時間がかかるため、提出書類の準備や社内規定の整備など、時間に余裕を持って早めに動き出すことが大切です。

7 小括

まとめ

仮想通貨交換業の登録は時間かかる上に準備も大変です。加えて、昨今のコインチェック仮想通貨流出事件の影響もあり、今後は、登録審査はさらに厳しくなると考えます。

ですが、これをきちんと済ませないまま仮想通貨を取り扱うと仮想通貨法(改正資金決済法)違反となり罰則を受ける可能性があります。そのため、自社のプロジェクトが仮想通貨交換業に当てはまる場合には、必ず事前に登録をすることが重要です。

反対に、ICOの文脈でなどで仮想通貨交換業にの登録をせずスピード感をもってビジネスを進めたいのであれば、そもそも自社プロジェクトが「仮想通貨交換業」に当てはまらない形でスキームを構築すべきですね。

※合法的にICOでの資金調達を実現したい方は、「ICOの8つの法律規制と合法的資金調達のやり方とは?弁護士が解説」をご覧ください。

8 まとめ

これまでの解説をまとめると以下のとおりです。

  • 「仮想通貨交換業」とは、仮想通貨の売買・交換に関するサービスを行うことをいう
  • 平成29年4月1日に施行された仮想通貨法(改正資金決済法)により、仮想通貨の取扱をするためには「仮想通貨交換業」の登録を受けなければならなくなった
  • 仮想通貨交換業の登録を受けるためには、①組織的な要件、②財産的な要件、③業務遂行に関する要件(社内体制)、④法令遵守に関する要件(社内体制)、⑤商号についての要件、⑥他事業についての要件をみたす必要がある
  • 登録の本申請をする前に、「事前相談・事前審査」が必要
  • 本申請は①書面で申請する方法、②電子システムで申請する方法がある
  • 事前相談から登録が完了するまでは、だいたい8ヶ月~12ヶ月ほどだが、取扱予定の仮想通貨の種類によって期間は変わる