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古物営業法に違反した時のペナルティは?罰則と行政処分の2つを解説

ペナルティ

はじめに

リサイクルショップやインターネットオークション、フリマアプリなどの運営者やこれらの利用者に関係してくる法律が、「古物営業法」です。

事業として古物を扱う場合には、古物営業法上の許可が必要になり、無許可で事業を行うと、古物営業法違反となり、罰則や行政処分を課される可能性があります。

 

そこで、この記事では、

  • 古物営業法が定めるペナルティーの内容
  • どのような場合に古物営業法違反となるのか

などについて、弁護士が詳しく解説をします。

 

1 古物営業とは

古物営業法

「古物」とは、以下の3つのいずれかを満たすものをいいます。

  1. 一度使用された物品
  2. 使用していない物品で、使用のために取引されたもの
  3. 1、2に幾分の手入れをしたもの

特に2については、使用済みの中古品に限らず、未開封の新品であっても、他人との取引を経ていれば「古物」扱いになることに注意が必要です。

 

古物を扱う「古物営業」とは、下記3つの業態のことを指します。

  • 古物を売買・交換し、または委託を受けて売買・交換する営業(古物商)
  • 古物市場を経営する営業(古物市場主)
  • 古物の売買をしようとする者のあっせん競りの方法で行う営業(古物競りあっせん業)

これらの古物営業を行うには、事業所が所在する都道府県の公安委員会から許可を受けなければなりません。

また、許可を受けた後も、事業者には、古物営業法上の規制が課されることになります。

 

※古物営業法については、「古物営業法とは?古物取引で知っておくべき9つのルールについて解説」の記事で詳しく解説しています。

2 古物営業法に違反した場合のペナルティー

ペナルティ

古物営業法に違反した場合、事業者は、

  1. 罰則
  2. 行政処分

という2つのペナルティを課される可能性があります。

3 罰則

罰則

古物営業法で罰則の対象となる代表的な違反行為は、主に以下の5つです。

  1. 無許可営業
  2. 名義貸し
  3. 不正手段などによる許可の取得
  4. 営業停止命令違反
  5. 本人確認義務違反

(1)無許可営業

公安委員会から許可を受けることなく、古物商、古物市場主を行うことはできません。

たとえば、個人でフリマアプリを利用して、古物(着ることがなくなった衣服など)を売買・交換するだけでは、古物商にあたりませんが、営利目的で継続して出品したりしているような場合には、「古物商」と見なされる可能性があります。

この場合に、公安委員会から許可を受けていないと、罰則を科される可能性があります。

(2)名義貸し

名義貸し」とは、他社や他人に自社の名義を貸して、その会社(人)に自社の名義を使って営業などをさせる行為をいいます。

古物商などの許可を受けた事業者が、許可を受けていない事業者または個人に、自社の名義を貸して営業させた場合が「名義貸し」に当たります。

(3)不正手段などによる許可の取得

虚偽の内容に基づく申請で許可を受けたり、不正な手段を使って許可を受ける場合がこれに当たります。

(4)営業停止命令違反

古物商や古物市場主が、古物営業法や古物営業に関する他の法令に違反した場合において、盗品の売買の防止、迅速な盗品の発見などを阻害されるおそれがあるときは、公安委員会により古物営業の許可を取り消されたり、最長で6ヵ月の営業停止を命じられることがあります。

営業停止命令違反」とは、このような命令が公安委員会からなされているにもかかわらず、古物営業を続けるような場合を指します。

 

上記の(1)~(4)にあたる行為を行うと、

  • 最大3年の懲役
  • 最大100万円の罰金

のいずれかを科される可能性があります。

(5)本人確認義務違反

古物商は、古物の買受や交換、または売却や交換の委託を受ける際には、相手方の本人確認をしなければなりません。

具体的には、主に以下の1~3のいずれかの方法により本人確認をとらなければなりません。

  1. 住所、氏名、職業、年齢の確認
  2. 1が記載され、本人の署名がある書類を受領する
  3. 1が電磁的に記録され、その内容について本人の電子署名があるものの提供を受ける

なお、1については、身分証明書や運転免許証、国民健康保険被保険者証などを提示してもらう形で確認しなければなりません。

 

本人確認義務に違反した場合は、

  • 最大6ヶ月の懲役
  • 最大30万円の罰金

のいずれかを科される可能性があります。

 

また、(1)~(5)にあたる違反行為を法人の従業員が行った場合、従業員とは別に、法人に対しても、それぞれに設けられている罰金刑が科される可能性があります。

4 行政処分

行政処分

古物営業法に違反すると、事業者は、罰則とは別に、行政処分を課される可能性があります。主な行政処分は、以下の3つです。

  1. 指示
  2. 営業の停止
  3. 許可の取消し

(1)指示

公安委員会は、古物商や古物市場主などが、古物営業法やその他の法令に違反しており、盗品等の売買の防止、盗品の速やかな発見が阻害されるおそれがあると認める場合は、適正な業務の実施を確保するために必要な指示をすることができます。

公安委員会から受けた指示に従わない場合、事業者は、営業停止や営業の許可取消しの処分を受ける可能性があります。

(2)営業の停止

古物商や古物市場主などが、古物営業法やその他の法令に違反した場合において、盗品等の売買の防止、盗品の速やかな発見が阻害されるおそれがあると認める場合、または、古物営業法上の処分(たとえば、(1)にある「指示」など)に違反した場合、6ヶ月を超えない範囲で営業の全部・一部の停止を命じられる可能性があります。

(3)許可の取消し

古物商や古物市場主などにおいて、以下のような事実が判明した場合、その許可を取り消される可能性があります。

  1. 不正な手段で営業許可を受けた
  2. 6ヶ月以上営業をせず、現に休業している
  3. 古物営業法などの法令に違反し、古物営業の許可を取り消されてから5年を経過していない
  4. 役員が禁錮以上の刑罰を受け、その執行が終わり、または執行を受けることが消滅した日から5年を経過していない
  5. 営業所、古物市場の所在地を確知できない

 

もっとも、5については、公安委員会が「所在地を確認できない旨を公告してから30日を経過しても当事者から申出がない」場合でなければ、許可を取り消すことはできません。

古物営業の許可を取り消された場合、取り消された日から起算して5年間は再度の許可を受けることはできません。

 

※古物営業法に基づく指示や許可の取り消しなどの基準は、警察庁が「古物営業法に基づく指示、営業停止命令及び許可の取消しの基準」で公開しています。

5 古物競りあっせん業者が違反した場合の罰則

競り

古物競りあっせん業者」とは、インターネットオークション事業者のことをいい、「ヤフオク」などインターネットオークションの運営業者がこれに当たります。

古物競りあっせん業者を対象とした罰則は、以下の2つです。

  1. 届出義務違反
  2. 競りの中止命令違反

(1)届出義務違反

古物競りあっせん業者は、営業を開始してから2週間以内に、以下の事項を記載した届出書を公安委員会に提出しなければなりません。

  • 氏名(名称)及び住所、代表者の氏名
  • 事務所の名称及び所在地
  • 法人の場合、役員の氏名及び住所
  • 競りの方法など

 

届出書を提出しなかった場合、または、虚偽の届出をした場合は、

  • 最大20万円の罰金

を科される可能性があります。

(2)競りの中止命令違反

あっせんの相手方が売却しようとする古物が盗品である疑いがあるときは、警察は事業者に対し、競りの中止を命じることができます。

にもかかわらず、この命令に従わなかった場合は、

  • 最大6ヵ月の懲役
  • 最大30万円の罰金

のいずれかを科される可能性があります。

 

また、(1)~(2)にあたる違反行為を法人の従業員が行った場合、従業員とは別に、法人に対しても、それぞれに設けられている罰金刑が科される可能性があります。

6 古物営業法の改正

改正

古物営業法は2019年に改正され、2020年4月から改正古物営業法が全面施行されました。

改正があったのは、主に下記の4点です。

  1. 許可単位の見直し
  2. 営業制限の見直し(営業所以外でも古物を受け取れる)
  3. 欠格事由の追加
  4. 非対面取引の本人確認方法の追加

(1)許可単位の見直し

従来、古物営業を営もうとする事業者は、営業所などがある都道府県ごとに古物営業の許可を受けなければなりませんでした。

そのため、たとえば、東京都で古物営業の許可を受けた事業者が、その後、神奈川県に営業所を置こうとする場合は、神奈川県でも古物営業の許可を受けなければなりませんでした。

ですが、今回の改正により、古物営業を営む場合、営業所などの所在地を管轄する公安委員会の許可を受けておけば、その他の地域で営業所を構える場合には「届出」で足りることになりました。

(2)営業制限の見直し

これまで、古物商は、営業所や取引相手の住所地でなければ、買受けなどのために古物を受け取ることはできませんでした。

ですが、今回の改正により、古物を受け取る日時や場所を事前に公安委員会に届け出ることで、仮設店舗でも古物を受けることができるようになりました。

(3)欠格事由の追加

これまでは、一部の財産犯に関し、罰金刑や禁錮以上の刑を受けた者などが古物営業許可の欠格事由となっていました。

今回の改正により、さらに、暴力団員などの反社会的勢力やその関係者などが欠格事由として追加されました。

この欠格事由は、法人である場合には、その役員について判断されることになります。

(4)非対面取引の本人確認方法の追加

古物商がインターネットを利用するなどして、相手方と非対面取引を行う場合、電子署名や印鑑証明書の送付などといった方法で本人確認をしなければなりません。

具体的には、異なる2つの身分証を郵送する方法、ICチップ情報を郵送する方法などが追加されました。

7 小括

小括

身の回りにある使わなくなった物などをお金に変えることができるため、インターネットオークションやフリマサイトなどの利用者は近年増加しています。

もっとも、個人的な領域を超えて、事業として古物を扱う場合には、古物営業法の規制に注意する必要があります。

これらの規制に違反してしまうと、場合によっては、ペナルティを科される可能性があります。

そのようなことにならないよう、まずは、自社の事業が古物営業法の規制対象となるかどうかをきちんと確認することが大切です。

8 まとめ

これまでの解説をまとめると、以下の通りです。

  • 「古物営業」とは、①古物商、②古物市場主、③古物競りあっせん業の3つの総称である
  • 「古物」とは、①一度使用された物品、②使用していない物品で使用のために取引されたもの、③①と②を補修・修理をしたものをいう
  • 古物営業法の規制に違反した場合は、罰則と行政処分を課される可能性がある
  • 罰則は、主に①無許可営業、②名義貸し、③不正手段による許可の取得、④営業停止命令違反が対象となる
  • 行政処分としては、①指示、②営業の停止、②営業許可の取り消しの3つが挙げられる
  • 古物競りあっせん業者は、①届出義務違反、②競りの中止命令違反の2つの行為について罰則を科される可能性がある
  • 古物営業法の主な改正点は、①許可単位の見直し、②営業制限の見直し、③欠格事由の追加、⑥非対面取引の本人確認方法の追加の4つである
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