退職時に有給消化は40日分まとめてできる!給料と消化方法を解説

退職を考えているが、有給が40日も残っている…という方。
「40日も一気に消化できるの?」「40日も休んでちゃんと給料はもらえる?」といった不安や疑問があるでしょう。
結論をいえば、退職時に残っている有給は、たとえ40日であっても「まとめて」消化できます。
なお40日分の給料について言えば、交通費などの実費手当などを除き、原則として全額を受け取れます。
ただしほとんどの場合、会社からは「引き継ぎを済ませてから有給消化してくれ」と要求されると思っておきましょう。
本記事では、40日の有給をまとめて消化できる法的な根拠と給料の計算方法、引き継ぎ〜有給消化までスムーズに行える流れを解説していきます。
なお、中には転職先がすでに決まっており、「有給のお金だけもらって退職は早くしたい」という方もいるでしょう。
こういった方に向けて、40日の有給をいち早く消化して、最短2週間で退職する方法も紹介しています。ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 退職時に40日残っている有給は、まとめて消化できる!
- 退職前に40日分一気に消化しても、原則いつもと同じ給料がもらえる
- ただし、会社は40日の有給消化前に引き継ぎを完了するよう求めてくるケースがほとんど
- よって40日の有給消化する上で基本となる流れは以下の通り
- 40日分の給料だけもらって、早く転職したい方は、以下の2つの方法で「退職日」を早められる
- 引き継ぎはして、有給は「買取」にしてもらう(退職日まで1ヶ月〜2ヶ月程度)
- 引き継ぎもせず、有給も買い取ってもらって最短で辞める(退職日まで最短で2週間)
- 退職日を早めたい方は、会社との交渉が拗れやすいため、弁護士が運営する「退職代行サービス」を使うのもおすすめ!
なお、退職時の有給消化について、基本的なルールや手続きは以下の記事で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
[banner id=”17046″ size=”l”] [articleIndex]1.退職時に40日分まとめて(一気に)有給消化できる!

まず結論として、退職時に残っている有給は、たとえ40日であっても「まとめて」消化できます。
有給消化は労働者に保証された権利であり、会社が拒否したら「違法」になるからです。
ただしほとんどの場合、会社からは「引き継ぎを済ませてから有給消化してくれ」と要求されます。
そのため、40日の有給をトラブルなく消化しきるには、しっかりと引き継ぎを済ませて、そのあとで有給消化に入るのが正攻法です。

この方法であれば、会社としても40日まとめて有給消化されても困ることはないので、嫌がられたり却下される心配もありません。
そのため本記事では、主にこの「引き継ぎをしっかり完了してから40日の有給を消化する」ケースを想定して解説していきます。
ただし、中には早く転職先での勤務を開始したい」「退職日が3〜4ヶ月先では困る」という方もいるでしょう。
このような方は、ややハードルが上がるものの、最短2週間〜1ヶ月で40日の有給消化をしつつ退職する方法があるので、そちらをチェックしてください(リンクからジャンプできます)。
2.退職時に40日の有給消化する場合の法的なルール

冒頭で、退職時は有給が40日残っていてもまとめて消化できると述べました。
ここでは、その有給消化の法的なルールについてより詳しく解説します。
会社と話し合う時、法的にどういうルールになっているか把握しておくことは大切です。
法的なルールを知っていることで会社との話し合いがしやすくなりますし、会社に言いくるめられて本来消化できる有給を減らされたりするリスクも避けられます。
1)40日の有給はまとめて消化できる
繰り返しになりますが、たとえ40日という日数でも、退職時にまとめて有給消化することはできます。
労働基準法では、1度に消化できる有給の日数に制限はない、と定められているからです。
そのため、今からあえて40日の有給を何回かに分けて消化しようと考える必要はありません。
なお会社としても、後任への引き継ぎを済ませた後なら、40日まとめて有給消化されても困りません。
こういった事情も踏まえて、あくまで「引き継ぎを終わらせてから40日まとめて消化する」という意識でいると良いでしょう。
2)退職前なら「時季変更権」は認められない
退職前の有給消化であれば会社から「時季変更権」を使われることもありません。
時季変更権とは、会社にとって不都合な時季に有給申請された場合、会社側から日の変更を求める権利です。
ですが、退職時の有給消化に対しては、会社の「時季変更権」が認められません。
時季変更権とはあくまで、「別の時季に有給をとらせる」権利です。
退職日を過ぎてしまえば、そもそも「有給消化できない」ですから、時季変更権は認められないのです。
3)本来は「引き継ぎなし」でも有給消化できる
法的なルールでいえば、本来は「引き継ぎなし」でも有給消化はできます。もちろん40日まとめてでもOK。
「引き継ぎができていなければ有給消化を拒否してよい」というルールはどの法律にも書かれていないからです。
また、労基法5条では強制労働を禁止しており、これも根拠の1つとして挙げられます。
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
引用元:労働基準法5条
ただし現実的には、「引き継ぎなしで40日有給消化する」というと反対されるケースがほとんどで、トラブルのリスクになるだけです。
そのため、「引き継ぎなしですぐに退職したい」特別な理由がない限り、この権利を主張するのはおすすめできません。
逆に、以下のような事情がある方は、このルールに則って引き継ぎなしで辞めることもできるので、その方法を検討してみてください(後の項目で解説)。
【引き継ぎなしでの有給消化がおすすめな人】
- 職場でのストレスが大きく、引き継ぎを完了するまで働き続けるのが辛い
- 転職先がすでに決まっており、すぐ来てくれ(入社してくれ)と言われている
3.【原則全額もらえる!】退職時にまとめて40日有給消化した場合の給料はいくら?

退職時に有給を40日まとめて消化する場合、「本当にその分の給料はもらえる?」「金額が引かれたりしないのか?」といった不安もあるでしょう。
結論をいえば、退職前に40日まとめて消化したからといって、給料の金額が引かれることはありません。
有給を消化した時は、原則「普通に出勤した場合と同じ金額」を支給することがルールとして決まっているからです。
厚生労働省は有給の給料について、「普通に働いた時と同じ金額がもらえる」というルールを定めています。
一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことです。
引用:厚生労働省
「基本給」以外に固定で支払われる手当なども全てきちんと払ってもらえます。
ただし、「実費(実際にかかった分だけ支払われる)支給」の手当は支給されないこともあるため、いつもの金額より低くなることはあり得ます。
【例:支払われる手当・支払われない手当】
- 固定手当:有給でも支払われる手当
- 役職手当
- 資格手当
- 家族手当
- 住宅手当、など
- 実費支給手当:有給だとカットされることがある手当
- 通勤手当(実費支給の場合や就業規則で規定されている場合)
- 残業手当
- 休日出勤手当
- 深夜勤務手当(基本夜勤の場合は支給される場合もあり)
- 日当や出張手当(実際の勤務に応じて支給される場合)
上記のような「実費手当」を除く給料が、以下のような計算で40日分支払われることになります。
【給料の計算方法】
| 給与の支払い方法 | 有給取得時の給与計算方法 |
|---|---|
| 時給 | 時給×所定労働時間 |
| 日給 | そのまま |
| 週給 | 週給÷その週の所定労働日数 |
| 月給 | 月給÷その月の所定労働日数 |
| 出来高払いなど | 賃金総額÷総労働時間数×1日の平均所定労働時間数 |
金額は当然ながら有給の日数によっても変わるので、日数の確認も忘れずにしてください。
なお、基本的にはこのような計算で通常の賃金がそのまま支払われますが、一部の職業(シフト制や歩合制)の人は特殊な計算方法で給料がつけられるケースがあります。
シフトや歩合制で、月々の給料が変動しがちな方は、これらの計算方法についても、リンクから詳しい解説をチェックしてみてください。
4.退職前に有給が40日残っている場合にまずすべき3つのこと

退職時に有給が40日残っている方は、有給消化の手続きをスムーズにするために、以下の3つを、まずやりましょう。
【まずするべき3つのこと】
- 余裕を持って早めに上司に相談する
- 有給の日数確認する
- 引き継ぎ資料をまとめる
1)余裕を持って早めに上司に相談する
退職を考えた時点で有給が40日近く残っている方は、なるべく早めに上司に相談しましょう。
余裕のある時期に上司と話を共有しておけば、引き継ぎも含めたスケジュールを立てやすく、トラブルのリスクも抑えられます。
具体的なタイミングとして、できれば転職先が決まる前に相談することをおすすめします。
会社を辞める場合、「転職先が決まってから退職を申し出たい」という気持ちは多くの方が持っているでしょう。
ですが、有給が40日残っている場合は、実際に退職日を迎えるのは3ヶ月〜4ヶ月後になります。
退職がそれだけ先の話になると、転職先に「いつから勤務できるか」伝えるのが難しく、転職先の会社としても対応に困ってしまいます。
そのため少なくとも、引き継ぎのスケジュールをきちんと立てるまでは、今の会社のことだけ考えられる状態がベターです。
40日の有給を消化するなら約2ヶ月はありますから、有給消化している期間中にでも十分に転職活動はできるはずです。
2)有給が本当に40日あるか確認する
そもそもあなたの有給が40日残っているか、今一度しっかり確認することも重要です。
長く勤めていて、有給を全く消化してないから40日残っているだろうと思って、なんとなく「40日くらい残ってそう」とイメージしている方も多いのではないでしょうか。
ですが、実際はそんなに残っていない場合があります。
【例:実は40日も残っていなかったケース】
- 年末年始やお盆が公休だと思っていたが、有給消化で休みになるルールだった
- 体調不良で数日有給を使っていたのを忘れていた…etc
有給の正確な日数がわからなければ、引き継ぎも含めたスケジュールを立てることもできません。
そのためまずは、以下で解説する方法で、有給の日数をチェックしてみてください。
①簡単な確認方法
有給が何日残っているか、手軽な確認方法は、以下のようなものがあります。
【手軽な確認方法】
- 給料明細から確認する
- 勤怠管理システムから確認する
- 有給消化の担当部署に聞いてみる
給料明細や勤怠管理システムには、下図のように「有給残日数」という箇所があったりします。これらから確認できれば、1番手っ取り早いでしょう。
また、有給の管理を担当している部署や人(人事部・総務部・経理担当などが管理していることが多い)に日数を聞いてみて、正確な日数を答えてもらえればそれでOKです。
②自分で有給日数を求める方法
これらの方法で確認できない場合は、法律で定められた日数から、自分で数える必要があります。
有給の日数は、以下のように長く勤めるごとに増えていきます。
【勤続年数と有給の日数】
| 付与されるタイミング(※) | 有給の付与日数 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 10日 |
| 1年6ヶ月 | 11日 |
| 2年6ヶ月 | 12日 |
| 3年6ヶ月 | 14日 |
| 4年6ヶ月 | 16日 |
| 5年6ヶ月 | 18日 |
| 6年6ヶ月以上 | 20日 |
| それ以降毎年 | 20日 |
※:働き始めてからの期間
なお有給は、与えられた日から2年間が消化期限です。
上表のように、6年6ヶ月以上勤めている方は、前年の有給を消化せず、翌年に持ち越していれば、最大で40日の有給があることになります。
ただし、これはあくまで付与される有給の日数を数えられるだけなので、有給を「使ってないか」は担当部署などに聞いて確認する必要があります。
以上を踏まえて、あなたには実際何日の有給があるのかチェックしてみてください。
3)引き継ぎ資料をまとめる
先述の通り現実的には、40日の有給は、引き継ぎが済んでからでなければなかなか消化できません。
そのため、スムーズに消化するには、引き継ぎを効率的に行うのが1番のカギです。
そこでおすすめなのが、引き継ぎ内容を1つの「資料」としてまとめておくことです。
【引き継ぎ資料にまとめる内容】
| 内容 | 具体的な記載項目 |
|---|---|
| 表紙 | 引き継ぎ者と後任者の名前、作成日を記載 |
| 目次 | 内容の全体像を把握しやすくする |
| 業務概要 | 担当業務の目的、概要、全体の流れを説明 |
| 詳細な業務内容 | 各業務の具体的な手順や注意点を記載 |
| スケジュール | 日次・週次・年次の業務スケジュールを提示 |
| 関係者リスト | 社内外の関係者の連絡先を記載 |
| トラブル対応 | 過去のトラブル事例と解決策、得られたノウハウを共有 |
| データ保管場所 | 必要なファイルやデータの保管場所を明記 |
後任者が決まっている場合は、その人と話し合う時間をとりつつ、上のような資料も使いながら引き継ぎをしてみてください。
このような資料を使って引き継ぎを効率的にすれば、引き継ぎにかかる期間を短縮でき、結果として40日の有給消化も確実に・早く実現できます。
またもし後任がはっきり決まっておらず、誰に引き継ぎしたらいいか曖昧な場合も、「この資料があれば問題なく引き継ぎはできるはず」といえば納得してもらいやすいでしょう。
5.退職時に40日の有給を消化する手順・流れ

それでは実際に40日の有給を消化して退職する場合の流れを解説していきます。
先述の通り、40日の有給を消化するには、しっかりと引き継ぎを済ませて、そのあとで有給消化に入るのが正攻法であり、無難です。
そのためここでは、「引き継ぎをしてから」40日の有給を消化するケースを想定して、手順・流れを述べます。
「転職先で早く勤務開始したいので、3ヶ月〜4ヶ月後の退職では困る」という方は、こちらの項目へジャンプしてください。
1)退職と有給消化の希望を伝える
退職を決めた時点で多めに有給が残っている方は特に、退職と有給消化の希望を一緒に伝えるのがおすすめです。
というのも、先に退職だけ伝えてしまうと、有給消化を考慮しないスケジュールで、退職日だけが先に決まってしまう場合があるからです。
退職日をすぎてしまうと、有給が失効になるため、絶対に消化できなくなってしまいます。
このような事態を避けるため、「退職」と「有給消化」をセットで伝えることが大切なのです。
また、退職と有給消化の希望は、(ⅰ)直属の上司と(ⅱ)有給消化の担当部署の両方に伝えましょう。
【相談が必要な相手】
- 直属の上司(同じ部署の先輩など)
- …有給に入るまでの引き継ぎの方法やスケジュールについて相談する必要があるため
- 有給消化の担当部署(人事や総務などが担当していることが多い)
- 有給の申請方法、日数の確認、退職日や最終出勤日などについて相談する必要があるため
それぞれ違った面から相談が必要になるため、必ず両方に相談をしましょう。
なお、余計なトラブルを避けるには、「言い方」も重要です。
- 「◯月あたりに退職したいのですが、有給40日消化しなきゃいけなので、少しずつ引き継ぎを進めていきたいです。大丈夫でしょうか?」
「引き継ぎをちゃんと考慮している」ことを示しつつ、上司の判断を仰ぐ言い方をするのがベストでしょう。
2)引き継ぎしつつ有給消化できるスケジュールを調整する
有給消化について上司に伝えたら、引き継ぎしつつ有給消化できるスケジュールを立てます。
スケジュールは具体的に、以下の3点をはっきりさせる必要があります。
【スケジュールの立て方】
- ◯月◯日〜◯日まで引き継ぎをして
- ◯月◯日〜◯日まで40日有給消化して
- ◯月◯日を退職日とする
これは直属の上司・部署内の上司や、後任の人と綿密に話し合いながら決めましょう。
この時に、先に紹介した「引き継ぎ資料」を用意しておくことで、スケジュールが立てやすくなるはずです。
まずあなたの部署の方で引き継ぎのスケジュールを立てた後、有給消化の担当部署に「この日までに引き継ぎが終わるので、そこから有給に入っても大丈夫ですか?」と聞いてみてください。
担当部署としても、引き継ぎが問題なくできることが分かれば、スムーズに手続きしてくれるでしょう。
3)会社の定める方法で有給申請する
先述のスケジュールがまとまったら、会社が定めている形式で有給申請するとよいです。
申請書に必要事項を記入して人事に提出する、といった形式であれば、それにならいましょう。
正規の手順であればトラブルになりにくいですし、会社の担当者も処理が楽になるので歓迎されるはずです。
なお、有給申請の理由の書き方が気になる方もいるでしょう。
本来であれば有給の申請に理由は必要ありませんが、以下のような書き方が通例となっています。
【有給申請の理由の書き方】
- 「退職前の有給休暇消化のため」
- 「退職に伴い、年次有給休暇を消化するため」
- 「私用のため」
いずれにしても、簡潔な書き方で大丈夫です。
4)引き継ぎが終わってから有給消化に入る
スケジュールの通り引き継ぎができたら、いよいよ40日の有給を消化して退職することになります。
有給消化のパターンとしては、主に下記の2通りがあります。
【2つの有給消化パターン】
- 最終出勤日の前に有給消化
- →引き継ぎが終わってから有給消化に入り、消化明けに最終出勤
- 流れ: 有給消化 → 最終出勤日 (=退職日)
- 最終出勤日の後に有給消化
- →引き継ぎが終わって、最終出勤してからから有給消化に入る
- 流れ: 最終出勤日→有給消化→退職日

どちらのパターンでも制度上問題はないので、会社との話し合いで決めます。
労働者(あなた)目線でいえば、2つ目の「最終出勤日の後に有給消化する」パターンの方が、転職活動などのスケジュールを立てやすくて良いでしょう。
希望を聞き入れてもらえそうなら、パターン2の方で退職できるよう希望してみてください。
6.早く転職したい方|40日の有給をいち早く消化して退職する2つの方法

ここまで述べてきた通り、40日の有給を消化するには、しっかりと引き継ぎをして、40日の有給を消化してから退職日を迎えるのが正攻法です。
ですが、この方法だと、退職日は3ヶ月〜4ヶ月後になるのは避けられません。
退職を決めている方の中には、転職先がすでに決まっており、1ヶ月〜2ヶ月後にはその転職先で勤務を開始したいという方も多いのではないでしょうか。
こういった方は、正攻法とは別に、40日の有給をいち早く消化して退職する方法を考えてみてください。
言い換えれば、40日分の給料だけもらって、退職を早める方法ともいえます。
【早く退職する方法2つの方法】
- 引き継ぎはして、有給は買い取ってもらう(退職日まで1ヶ月〜2ヶ月程度)
- 引き継ぎもせず、有給も買い取ってもらって最速で辞める(退職日まで最短で2週間)
ただし、これらの方法はどちらも会社と少し込み入った「交渉」が必要になるため、トラブルになるリスクも高めです。
それぞれの方法について解説するので、今の会社を早く辞める必要がある方は、チェックしてみてください。
1)引き継ぎはして、有給は買い取ってもらう方法
1ヶ月〜2ヶ月程度で退職日を迎えたい方は、有給の「買取」を提案してみてください。
有給の「買取」とは、有給消化の期間を設けず、給料の精算だけ行う方法です。

有給を買い取ってもらえば、40日の有給を消化する前に退職日を迎えられるため、退職日が約2ヶ月分早められます。
なお、有給の買取は「違法」と聞いたことがあるかもしれません。
ですが、これは「会社が一方的に有給休暇を買い取る」ことが違法という話であり、あなたから買い取りを持ちかける分には法的に大きな問題ありません。
とはいえ会社からすれば正規の手続きではないため、応じてくれるかはあなたの会社によります。
買取を提案するときは、「転職先の入社を早めたい」という理由をきちんと述べて、相談してみてください。
なお、有給の買取については以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
2)引き継ぎもせず、有給も買い取ってもらって最短で辞める
2章で解説した通り、法的なルールからすれば、本来「引き継ぎなし」で有給消化に入り、そのまま退職しても問題はありません。
そのため、「引き継ぎなしで有給を全て消化し、そのまま退職したい」と主張することはできます。
その場合、民法627条に則って、最短2週間で退職日を迎えることができます。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法627条
やむを得ない事情がない限りおすすめはできませんが、以下のようなケースでは主張してみてもいいでしょう。
【この方法がおすすめな人】
- 職場でのストレスが大きく、引き継ぎを完了するまで働き続けるのが辛い
- 転職先がすでに決まっており、すぐ来てくれ(入社してくれ)と言われている
ただし、当然ながら会社からは反対されることが多く、合意をとるのは難しいです。
この辞め方を目指す場合は、法律と交渉のプロである弁護士の「退職代行サービス」に頼るのがおすすめです。
[banner id=”17046″ size=”m”]7.引き継ぎに関係なく「40日の有給消化はできない」と言われたら?

ここまで解説してきたように、会社が40日の有給消化を渋る場合、引き継ぎが大きな問題であるケースがほとんどです。
ですが、会社によっては引き継ぎや退職時期にかかわらず、退職時の有給消化自体を拒否してくるところもあります。
こういった会社は、退職する社員に対して「有給分のお金を払う気がない」ので、ここまで解説してきたのとはまた違った交渉が必要になります。
ここでは、その交渉のポイントを3つ紹介します。
なお、退職時に有給消化できないと言われた場合の対応法については以下の記事でも解説しているので、あわせて確認してみてください。
1)有給消化の担当部署に確認をとる
「有給消化できない」と言ったのが人事など、有給消化の担当部署の人でなく、直属の上司だった場合は、まず担当部署に確認をとってみましょう。
「上司にはこう言われたが、有給消化はやっぱりできないのか」と聞いてみてください。
というのも、直属の上司に「有給消化できないよ」と言われた場合、法的な話を度外視している可能性があります。
担当部署ではない上司に対して「有給消化できるのは法的なルールです」といった話を持ち掛けても伝わりにくいものです。
人事などの担当部署に確認をとってみると、「引き継ぎも含めてこういうスケジュールでなら消化できますよ」と言われる可能性も十分にあります。
2)法的な正当性を主張して交渉する
法的には40日であろうとなんであろうと、退職時に残っている有給は消化できるルールになっています。
会社としては、「引き継ぎが終わってからにしてくれ」とスケジュール的な要求をしてくることは問題ありませんが、「有給消化させない」というのは明らかに違法です。
退職時の有給消化に関するルールは先の2章で解説していますので、今一度チェックして、その内容をもとに、あなたの正当性を主張してみてください。
なお、この交渉は、人事・総務など、有給の消化を管理している担当部署を相手にしましょう。
担当部署ではない上司(直属の上司・同じ部署の上司など)と話しても、法的な視点を持たず、交渉が一向にまとまらない可能性があるからです。
担当部署の人であれば、法的なルールも考慮して、最終的に有給消化を認めてくれる可能性が比較的高いです。
3)弁護士に相談する
上で解説したような交渉しても有給消化できそうにない場合は、「弁護士」への相談をおすすめします。
弁護士は、あなたの代理人となって、有給消化についての交渉を全て引き受けてくれます。
先述の通り、退職する時に「有給消化できる」ことは法的に決められたルールです。
法的な正当性がある以上、弁護士は何があっても交渉で負けることはありません。
なお、弁護士の中には「退職代行」というサービスも同時にやっているところもあり、当サイトでは非常におすすめしています。
退職代行までやっている弁護士なら、初めから有給消化の交渉を全てやってくれますし、そのまま退職手続きまで代行してくれるからとても便利です。
[banner id=”16503″ size=”m”]8.退職時にまとめて40日の有給を消化する場合によくある質問

最後に、退職時、40日の有給をまとめて消化したい方からよく挙げられる質問をまとめました。
気になる疑問がある方はぜひ確認してみてください。
1)40日有給消化している間にボーナスの支給があった場合、ボーナスは受け取れますか?
退職前の有給消化中でも、「退職日」が過ぎていなければボーナス(賞与)は支払われます。
多くの会社では、ボーナス支給日の時点で会社に「在籍」していることが条件となっています。
退職日の前に40日の有給を消化している間は、まだ会社に「在籍」はしていますから、支給対象となります。
ただし、会社によってはこういった背景を無視して不支給の処理をしてしまうところもあるため、注意してください。
また、有給を「買取」してもらう場合(4章で解説)は、すでに退職している扱いになるため、ボーナスも支給されません。
ボーナス支給に有給消化時期が重なる場合は、担当部署に「ボーナスは支給されるか」と確認をとっておきましょう。
なお、退職時の有給消化中のボーナスの支給については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
2)公務員でも退職時に40日の有給消化できますか?
公務員であっても、退職時に残っている有給は40日でもすべて消化できます。
公務員の場合、「年次休暇」と呼ばれるものが有給に相当するので、正確にいえば、退職時に残っている年次休暇を、40日すべて消化できるということです。
ただし、公務員の場合、そもそも退職するのには「任命権者(公務員の人事権を持っている人)」の許可が必要です。
許可を得るには、ほぼ確実に引き継ぎを完了させることが条件になるため、一般企業よりもハードルは高めです。
3)アルバイト・パートでも退職時に40日の有給消化できますか?
アルバイト・パートでも、退職時に40日の有給が残っている場合は全てまとめて消化できます。
ただし、アルバイト・パートの場合、出勤日数や労働時間によって付与される有給の日数が違ってきます。
具体的には、週30時間以上または週5日以上勤務している方は正社員と同じだけの日数が付与されます。
一方、週30時間未満、かつ週4日以下しか出勤していない方は、以下のように、付与される有給の日数が少なくなります。
【勤務日数ごとの有給日数】
- 週1日勤務: 6ヶ月で1日
- 週2日勤務: 6ヶ月で3日
- 週3日勤務: 6ヶ月で5日
- 週4日勤務: 6ヶ月で7日
以上を踏まえて、有給が40日あるかどうかチェックしてみてください。
4)定年退職で、退職日までに引き継ぎが終わらない場合、有給はどうなりますか?
定年退職の場合、4月末日が退職日と決まっているため、引き継ぎの都合で退職日を動かすことができません。
今から引き継ぎをしても定年退職日まで間に合わない場合は、会社に有給の「買取」を提案してみてください。
5)40日の有給を消化する際、公休に有給休暇を充てられますか?
原則、有給消化は公休以外の日にしかできません。
公休とは、会社が就業規則などで定めた「労働義務のない日」つまり休日のことです。
「労働義務のない日」は、ノーワーク・ノーペイの原則により、労働も給料も発生しないと考えられるため、有給消化には充てられないのです。
40日の有給は公休(基本は土日祝日など)以外の日に消化していくことになるので、実際の期間としては消化しきるまでに2ヶ月近くかかることになります。
まとめ
退職時に有給が40日残っている方は、退職前に必ず「まとめて」消化できるのでご安心ください。
ただし、会社からは40日の有給消化前に「引き継ぎを完了する」よう求められるケースがほとんど。
そのため、40日の有給をトラブルなく消化しきるには、しっかりと引き継ぎを済ませて、そのあとで有給消化に入るのが正攻法です。
逆にいうと、この方法であれば会社から嫌がられたり却下される心配はありません。
40日の有給消化する上で基本となる流れは以下の通りです。
- 退職と有給消化の希望を伝える(できれば早めに)
- 引き継ぎしつつ有給消化できるスケジュールを調整する
- 会社の定める方法で有給申請する
- 引き継ぎが終わってから有給消化に入る
なお、40日分の給料だけもらって、早く転職したい方は、以下の2つの方法で「退職日」を早められるので、検討してみてください。
- 引き継ぎはして、有給は「買取」にしてもらう(退職日まで1ヶ月〜2ヶ月程度)
- 引き継ぎもせず、有給も買い取ってもらって最短で辞める(退職日まで最短で2週間)
ただし、このような方法で有給消化しようとすると、会社から反対されることも多く、交渉が拗れやすい点には注意が必要です。
この交渉は、弁護士が運営する「退職代行サービス」であれば問題なく成功させてくれるのでおすすめです。
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